
世界最古、120年の記念すべき歴史を持つモーターショーであるパリショーが開催されました。
毎年フランクフルトとの交互開催となっている秋の祭典は、私たちのクルマ選びを楽しくさせてくれるニューカマーが目白押しです。
中でも元気なのがドイツ勢。
既にこのブログにてピックアップした、BMW3シリーズ、メルセデスBクラス、アウディA1、プジョー508SWなどの出展車種は、来年の私たちのクルマ選びに大きく影響を与えそうです。
一方の地元フランス勢は、SUVモデルを中心に勢いをつけていて、中でもシトロエン&DSは、ブランド自体がSUV/クロスオーバー専売になってしまうのでは?と思うくらいにラインナップ攻勢をかけています。
過去より宣言しているように、SUVジャンルには未だ疎い私わんどら。
近年徐々にモデルの体験機会も増えてきましたが、かつて日産キャシュカイが火をつけた世界的プームも10年続くと、一過性ではない実用的なバリューがあることを認めて受容していくことが大事かもと、少し自身の目線を変える必要があるのかもしれません。
そんなパリショーからの個人的に気になるクルマを、いつものように"明日買える"視点でピックアップしてみたいと思います。
まずはこちら、タイトル写真にあるのばルノーK-ZEです。
急速に進む欧州のディーゼル離れに加え、特に都市部においては電気自動車を走らせるインフラは充実しつつある中、ルノーは欧州勢の中では一歩進んだ感があります。
やはり日産アライアンスの元での技術共用は強みのようで、電気自動車はもちろん、今後はクリオやメガーヌという量販車にPHEV(日産グループである三菱の技術)を取り入れたりするようです。
そして今回、フランスではよく見るようになった既販車種のコンパクトカーZoeでの実績を引きつれて、この新型はBセグSUVの方向で登場です。
なんとなくシトロエンC3の市場受けを意識したようなデザインに見えなくもないですが、コンパクトに可愛くまとまっていてなかなか良いですね。
メインの市場は中国とのことですが、もちろん欧州でも販売されるとのことで、電気自動車の普及を加速させる1台となりそうです。
次は、なんと遂にベトナム発の自動車メーカーの登場です。
VinFastというブランド名の企業は、ベトナムで主に不動産開発などを手がけている巨大企業が作り上げた自動車メーカーなんだとか。
今回欧州上陸を果たしたのは、LUX A20というセダンとLUX SA20というSUV。

ピニンファリーナにより仕上げられたデザインの良し悪しはあれど、アジアのメーカーが欧州にチャレンジするという意気込みだけは応援したい気分です。
お次は同じくアジアンメイクスから。キアプロシードGTです。

キアと言えば、先般のサッカーワールドカップロシア大会の三角看板(イマドキはLEDですが)で盛んにロゴが露出していたので、日本未導入なのになんだか知っている気になってしまうブランド。
ヒュンダイグループでコンパクトカーカテゴリーを受け持つ存在にて、トヨタとダイハツ的な棲み分けなのかと想像します。
欧州でも主に中欧、東欧では結構たくさん走っていて、得意の新興国含めて世界的に受け入れられているブランドからの新型は、定番Cセグハッチモデル"シード"派生のシューティングブレークでした。
スタイルはまさにメルセデスCLAって感じですが、模倣しつつ個性を与えてるあたりに注目します。
次は、チェコ発VWグループのシュコダから、ビジョンRSです。

シュコダは過去に一度だけ、オクタビアというCセグノッチセダンに乗った事がありますが、何だか硬くて真面目なブランドという印象があります。
ところがこの新型車から受けた(見た目の)印象は、何だか躍動感あるぞ、ということ。
VWの1.5TSIエンジンをベースにHV化したという心臓をもつ新型は、ブランドアイデンティティである縦ルーバーのフロントグリルは健在ながら、伸びやかなルーフラインを持ったハッチバックスタイルはこれまでにない新しさを感じます。
(少し、昔のアコードエアロデッキというクルマを思い出してしまいました。)
まだまだ続きます。
お次はメルセデスAクラスセダンです。

日本ではいよいよハッチバックの新型Aクラス登場となり、新世代モデルの体験が楽しみですが、欧州では300hp超えのAMG A35など次々とバリエーションが発表されています。
そのバリエーションのもう一つであるセダンは、パッケージングが上品にまとまっているように見受けられます。
ライバルのアウディA3セダンも含め、少し前までのDセグセダンってこんなサイズだったじゃん⁈と、その必要十分なサイズ感に好印象を持っていました。
このAクラスセダンもきっと、手頃なサイズ感で多くのニーズを叶えてくれるものと思います。
次はスポーツカーからひとつ、インフィニティ"プロジェクトブラックS"です。

既販車種Q60をベースとしつつ、ルノーF1のテクノロジーをふんだんに盛り込んだモンスターマシンです。
F1の話題でたまに聞く、MGU-KとかMGU-Hといつエネルギー回生システムを搭載しているというから本格的です。
"レースは市販車開発の実験場"なんて言われたりしますが、まさにそれをそのまま実践した形のモデルですね。
さて、最後に我らがシトロエンから。
まずはDS3クロスバックです。

既販のハッチバックモデルより178mmストレッチして4ドア&SUV化した、ミニクロスオーバーの手法同様のバリエーション。
電気自動車E-Tense仕様も用意され、上位車種DS7とのラインナップ展開を図るようです。
そして最後はシトロエンC5エアクロスです。

今回のパリショーは、アウディQ3&SQ2、BMW X5、ポルシェマカン、シュコダコディアックvRS、セアトタラコ、ルノーキャプチャーなどなど、フェイスリフト含めて沢山のSUVモデルが発表されています。
このC5エアクロスもその1台。
モデルのデザインはまとまりがあって好感が持てますが、もうシトロエンからはSUVしか登場しないのでは?と、ブランドの転換期を感じさせる1台です。
こちらもPHEV仕様にて、ルノー同様フランス車は電気エネルギーシフトが進んでいます。
しかしシトロエンは、今回のモデルからエアバンプをやめちゃったとのこと。
C4カクタスもフェイスリフトでエアバンプが薄く消えてしまったこと踏まえると、大胆なエアバンプという意匠は失敗だったということでしょうか。
気になるクルマは以上となります。
春のジュネーブ、秋のフランクフルトまたはパリの祭典を通じて、毎年サイクルで"次の候補"をチェックするのが楽しみな私わんどら。
今回のパリはなかなか粒ぞろいな魅力がありました。
そしてそれらのいくつかはやがて日本でも体験できるだろうと、その時を楽しみにしたいと思います。