![[試乗インプレッション]日産「ノート e-POWER」"X FOUR"2モーターAWD [試乗インプレッション]日産「ノート e-POWER」"X FOUR"2モーターAWD](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/044/974/342/44974342/p1m.jpg?ct=a901fed1ec9a)
短時間ながら注目の新型モデル、日産「ノート e-POWER」を試乗した。グレードは先日追加されたばかりの2モーター式AWDモデル。上級グレード「X FOUR」であった。北国ユーザーが待ち望んでいたグレードだろう。
まず本体価格は244万円。そこにメーカーOPでカーナビとプロパイロット系のセットOP(+42万円)と、LEDヘッドランプ(+9.9万円)が装着されていたから、合計で296万円のクルマだった。
まぁアチコチで言われている通り、割安に感じる値付けではないのは確かだろう。個人的にこの価格帯を目指すならば名称は「ノート」では無い方が良かったかも。
初めて実車と対面し、グルグルと新型「ノート」の外周を回りデザインを読み込んでみたが、最近では珍しく(?)Web等で事前に見ていた印象と大きな差異は無かった。全般的に無機質なテイストで、これが新世代の日産デザインなのだろうか。
私見だが、他と類型的ではないという意味でオリジナリティの高さは認めたい。先代「ノート」のデザインは全般的に安普請で没個性。趣味の対象物としては見れなかった。新型は先代モデルが果たせなかった、デザイン面でもe-POWERの先進性表現にチャレンジしたことは評価されるべきだろう。
まぁ"撮る系カーマニア"としては、乗る度にカメラを向けパシャパシャしたくなる様な美しい造形のクルマではないのが残念。
インテリアについては、事前の印象より物足りない印象で、新型「ノート」の割高な価格を見てしまうと、各部の質感はもう少し気を遣うべきだった。流石に全面ハードプラのダッシュボードには興醒め。そのあたりは今後登場する「ノート・オーラ」なる上級モデルが担うのかもしれないが、更に価格も上がるだろうから素直に喜べない。
さて。新型「ノート」のインプレッションを。
e-POWERは100%モータードライブだから、極低速域からトルクフルであることは美点。2WDモデルと比較し、+120kgの1340kgとなるAWDモデルでも力不足は感じない。後輪用のモーターも常時動作する様で、スッーと爽快に加速していく様は従来のガソリン車には無かった感覚。
5ナンバー枠に収まるボディサイズから想像される「コンパクトカー」然とした軽快感とかヒラヒラした走り...という表現は正直相応しくない。「CMF-B」と呼ぶルノーが中心になって開発した新プラットフォームを土台とするだけに、ガシッとした剛性感は大したもの。
今回は混雑する市街地を20分程度走っただけだが、恐らく直進安定性にも優れるクルマ。総じて先代までの「ノート」から連想される安物的なフィーリングは完全に払拭されていた。
ただ雑誌やYoutube等で絶賛されている高い静粛性について、正直なところ事前の期待ほど静粛な車内環境では無かった。(但しスタッドレスタイヤを装着していたことは割引いて見るべきだが)
新型「ノート」はエンジンの始動する頻度や時間を極力短くしようとする工夫が施されており、確かにその効果は体感出来る。また発電用にエンジンが稼働している最中のノイズレベルも低く抑えられている。
一方で、気になったのはエンジンノイズに変わってロードノイズが「ザー」とキャビンに入ってくるのが妙に耳障りで気になった。まぁ慣れが解決しそうな気もするレベルの話ではある。所謂高級車然とした外界と隔離されたような静粛性とは少し性質が違うものだと感じる。
前後2基のモーターが生み出すアウトプットに不満はなく、一般的なエンジン車に比べレスポンスが速いことも魅力。また以前はワンペダルドライブと呼んでいた回生ブレーキも前後モーターそれぞれで動作するらしい。このあたりはもう少し長時間走り込まないと理解が深まらない印象。
短時間の試乗を終えた感想として、製品の完成度はかなり高く、これから加速していくクルマの電動化を現実的に牽引する可能性を秘めている事に疑いはない。
しかし正直なところ、今回のインプレッションの結論としては非常に複雑な感情に戸惑っている。
もしかしたら、次期マイカー候補の筆頭に入るのではないか....と事前の期待が大きく膨らんでいたことは否定しない。
マンションに住む北国ユーザーとして、理屈からいえば現時点で最も理想的なパワートレーンを持つクルマと評価して良いと思う。高価で重いバッテリーを大量に搭載し、不自由な外部充電をするよりも、クルマの中で直接発電しながら走るほうが効率的かも知れないとすら思う。
しかし、マイカーとして見れば、どうにも愛着が湧きそうにない。正直言って退屈で、事務機器を触っているような印象とでも言えば良いのだろうか。もっと運転したい、遠回りをして帰りたい...と感情に訴えてくる様な素振りが全く感じられない。ある意味不思議なクルマ。残念ながら、次期マイカー候補には入りそうにない。
勘違いして頂きたくないのは、モーター駆動=退屈ではない。むしろモーター駆動のクルマ特有の楽しさは確実にある。
以前乗ったBMW「i3」は色々とアンバランスなクルマだが、理屈抜きに楽しいクルマだった。
そろそろ結論を。
とても良く出来た完成度の高いハードウエアを手に入れた新型「ノート」だが、クルマ趣味の対象物として評価すると、どうにも事務的に感じてしまったのは残念だった。恐らく、今後NISMOバージョンなどが登場し、そういうマニアックなニーズを拾っていくのだろう。
但し、今回はかなり短時間かつ市街地に限定した試乗だったので、もう少し場所を変え、長時間のテストをしてみたい。もしかすると大きく印象が変わるかも知れない。
新型「ノート」で感じたモヤモヤ(笑)を晴らすため、別のクルマをテストすべく次のお店へ移動した。その話題はまた次回。
そういえば、日産のクルマを試乗するってかなり久しぶりな気がする...。ブログの過去記事を探しても、
2010年10月に追浜のテストコースで発売前の「リーフ」に乗せて頂いて以来。
日産のお店で...となれば2008年に
「スカイラインクーペ」や
「エクストレイル」に乗った記録がある。13年も経過しているのか。いくらゴーン以降の日産が嫌いとはいえ、大いに反省....。(もちろんレンタカー等で日産車に触れてはいるのだが、記事にしたいと思わなかった。)
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Posted at
2021/03/29 23:01:32