物が持つ価値

年末に、スターリングシルバーのジッポを購入しました。

数年前50th Anｎiversary のシルバージッポを紛失して以来しばらく他のジッポを使っていましたが、何か物足りなくて税込約24,000円で手に入れました。
シルバーのジッポは使い込んでいくといい味がでて好きです。でも真鍮製と違って開けた時に「チンッ」と硬い澄んだ音はしません。以前持っていた物は会社の同僚に「いい音しないね、音は大事だよ」とちょっとバカにされた記憶があります。

今回のジッポも音は期待していませんでしたが、これが意外と「コンッ」と確かに鈍くはあるものの、丸みがある重厚で品があるいい音がします。点火時も「シュボンッ」と余韻がある着火音。
表面に施された槌目のせいでしょうか？
まだ使い始めて間もないので、見た目はきれいすぎますけれども、この先何年かするとツルッと光る部分や、銀が黒ずんだ部分が出てきそうなのは容易に想像できます。
ベンツのバッテリーは先送りになってしまいましたが、思った以上に満足してしまいました。

24,000円って言う価格以上に価値が見いだされてしまいました。

私の場合に限ってです。

タイバーツに換算すると現在8,000バーツあまりですが、これは大学新卒初任給に近い額と思います。学卒のタイ人はほとんどたばこは吸いません。彼らにしてみれば一月分の給料と同額のライターなんて何の価値も見いだせないでしょう。

これはまだましな方で、そもそもたばこを吸うなんて行為は「百害あって一利なし」で生きるためにはないほうがよっぽどいいのは事実でしょう。
いまだにその日を生きるために必死にならなければならない人たちがいる中で「自分は何に対して価値を見出しているのか？」とつくづく考えてしまいました。

今日ベンツで高速を走ってみて「やっぱりセルボとは違うな～」と自己満足していましたが、セルボでも普通に高速を走ることはできるので、「違うな～」と言う部分にずいぶん大きなコストをかけているわけです。

本当にちょっとした違いにブー垂れたり、満足したりしている自分自身に疑問を感じました。

普段好きなものを食べたり、風呂に入って暖かい寝床で当たり前のように寝ることができるという、ある人たちにとっては、夢のような生活を送れることができる幸せを忘れてはならないように思いました。

追記　2016/2/1

学卒初任給について不安になって調べたら、レートと給与がかなり変わっていました。
今日時点で約3.4円/バーツですので24,000円は約7,060バーツになります。
また学卒初任給も上昇し続けていて現在は10,000バーツを超えているようです。帰国後7年も経ち記憶の中で書いてしまいました。従って24,000円だと初任給の7割足らずとなり、結構違ってしまっています。（最低賃金は200バーツ/日ほどで25日/月働いて月収5000バーツほど）
申し訳なし！

ただし彼らにとっては小さくない金額には変わりないと思います。
為替では1,000バーツ≒3,400円であっても、タイで過ごしていた頃の感覚では、一般消費財の価格を考えると1,000バーツ≒10,000円くらいの価値がありました。ちゃんとした店でリーバイスのジーンズが1200バーツほど。当時の若い中堅社員の給与が総額23,000バーツ前後≒23万円と考えると「そんなものかな？」と思えました。7,000バーツのライターは我々の感覚なら7万円くらいでデュポンクラスとなり、おいそれとは買える金額ではなくなります。