【第二話・サーキット志向ではなく、普段使いで楽しめるクルマを目指す。】
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商品開発実験部CEV 高沢 仁
今回の商品を開発するにあたり、動的性能開発部隊である私たちのスタンスは、今まで培ってきた技術に加え、記念車/限定生産ならではチャレンジをプラスしよう、ということでした。



高回転化による気持ちの良い加速感と官能的なサウンド。手に余る性能ではなく、自分で100%使い切れる性能 (ストイックにライバルと競うのではない操る喜びを感じたい)。ずっと走り続けたくなる動性能と上質な乗り味の高次元バランス・・・という、商品企画から提示された狙いの性能を咀嚼し
サーキット志向ではなく、普段使いで楽しめるクルマ。
と再定義しました。そして、そのうえで思い切ってやれることやる。
30周年の記念車だからこそ、きわめて少量販売の車だからこそできる、独自性を作り込もう。 言うなれば、ナンバーワンではなくオンリーワンをめざし、記録よりも記憶に残る車を作ろう、と意思表示し、せっかく記念車なのだから動力性と操安性の目標設定の中で「トレードオフしないこと」をめざしました。
気持ちいい動力性能にコダワり、実用域の余裕と高回転まで落ちないトルクを「トレードオフ」することなく実現したい。そのためのキーアイテムは、排気量の確保、高回転化、そしてその中での快感の作り込みです。
次に、操縦性/安定性にコダワり、ワインディングの楽しさとクルージング時の快適性を「トレードオフ」することなく実現することです。これの実現のためには、ロール剛性の飛躍的な向上、骨格となる車体剛性のアップ、しなやかなサスペンションの動き、そして私たちが目指す車の特性を実現する最適なタイヤ選定です。
高速道路においては、コンパクトカーらしからぬクルージング性能により、長距離/長時間の走行でも疲れない性能を・・・

ワインディングロードにおいては、コンパクトカーらしい快活なフィーリングにさらに磨きをかけ、爽快なハンドリングを・・・
そして、街中の交差点を一つ曲がるだけでも、ニヤリとしてしまうフィーリングをお届けしよう・・・

このようにして、シーンを規定し、動的性能の作り込みに着手しました。
異次元の速度やG領域に突入することによってのみ実感できる楽しさではなく、逆に低次元での過敏な反応を楽しさとしてアピールするのでも勿論ない、しっかりとしたスタビリティや懐の深さを感じさせながら、生き生きとした楽しい走りを目指して、実走行での熟成を重ねています。


*Phtoto A30試作車(外観は最終仕様ではありません)
<次回は、SV開発部課長の中山から、ボディ&シャシー系の達成手段についてお話します。>
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オーテック創立30周年記念車 | クルマ
Posted at
2016/03/10 16:52:57