
先週末にマーチボレロA30の動画を公開しました。 いままでに画像はお見せしてましたけど音は一度も出ていなかったので、楽しみにしていた方もおおかったと思います。 やっと、職人が手組する絶品エンジンが奏でるサウンドをご堪能いただける日がきました。
で、僕はこの車の収録に立ち会っていたのですが、実はその時に『おっ!』って思ったことがありました。
僕は開発部門の人間ではないので、そうちょいちょいこの車(試作車)が走っている姿を見られるわけではなく、前回この車が走っている姿を見たのは1月です。
その1月の試作車に比べて、今回撮影した車では、さらに音が気持ちよくなっていたのです。
1月の車は、綺麗に回るし十分いい音だけど、なんていうか今ひとつ一本調子な吹け方でした。 それが今回の車は、上の方でグイッとトーンが持ち上がるような感じになっています。
動画を見て感じた人もいると思うけど、本当に気持ちのいい音。
雑誌などで、1月の試作車にのったジャーナリストさんたちは、あれでも『気持ちいい』って言ってくれていたので、こりゃ相当いいぞ、と期待できると思います。
で、開発担当に『ちょっと変わった?』って聞いたら、排気系を変更したとのこと。
実は、1月の試作車についていたマフラーは、加速騒音試験において法規基準に全く余裕のない状態で、そこをなんとかする必要があったらしい。
で、周波数成分をチェック、もっともヤバい周波数域に狙いを絞って、そこをつぶせる内部構造をシミュレーション。
シミュレーションでは、これまでの試作マフラーは高周波は良く消音しているけど、問題となっている音域が消せていないことも判明。
そして導いた対策案というのは、サブマフラーの中を通すパンチングパイプの、パンチングの穴数、穴径、穴の並べ方、グラスウール量の変更。
(↓サブマフラーのイメージ図)
この車のマフラー、既にご紹介している通り藤壺技研さんの協力を得て生産する計画なので、その設計変更案を藤壺さんに連絡したところ・・・『マジですか?』って反応だったとのこと。
その穴数って・・・とか、グラスウールの量減らすとか・・・などなど。
(何Hzを消したかったのかとか、何Hzを出したかったのか、穴数?穴径?グラスウール量とか、秘匿情報が多すぎて書けなくてごめんなさい)
おまけに、設計変更したパンチングパイプは藤壺さんでは加工できないとのことで、そこのパイプだけは別の会社に作ってもらって、藤壺さんに納入するという方法で実現。
かくして完成した改良品は、これまでの試作品に対して音量は抑えられつつも、その一方で高回転でキレイに抜けるさらにいい音に d(^-^)
めでたく、本番仕様のマフラーが確定したのであります!
ちなみに、このシミュレーション~設計変更をしたのは、昨年入社の若手君。
(藤壺さんが驚いた理由はここにもあるみたいw)
A30は特殊な車であり、ごく一部の人しかその技術に触れることができないけれど、こうしてこの車の開発に関与した若手エンジニアが成長する、そして、そのノウハウがこれから先のオーテック車に生きてくる・・・と考えると、A30という車に取り組んだ価値というのは計り知れないものだな、と言えますね(言い過ぎかw)。
う~ん、よかった、よかった。
もう一回聴いておきますか?
くぅ~、気持ちいい!
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オーテック創立30周年記念車 | クルマ
Posted at
2016/06/20 18:08:44