
このところA30の話ばかり書いていますが(爆)、だってしょうがいないでしょ、ネタは豊富だし・・・って感じ。
A30は、ノートニスモにも搭載している専用チューンドHR16DEをベースに、手組みで作ることを前提にさらにチューンナップし、レブリミットもアップさせている、というか、レブアップを実現する為にバランス取りも必要なので手組みにしている、というか、なんともいえないのですが、まぁ、それはそれは手の込んだことをしています。
で、今日はコンロッドの話です。
そう、例のAUTECHロゴが刻印されているコンロッドね。
念のため説明しておくと。コンロッドっていうのは、ピストンとクランクをつなぐ部品・・・コネクティングロッド、略してコンロッド。 上下に丸い穴があいていて、小さいほうがピストン側、大きいほうがクランク側です。
で、このA30専用コンロッドは、標準車のものに比べて、約20%の強度upと 約5%軽量化を実現しています。 どうやって実現しているかというと、そもそもの材質の違いと、総削りでやっている、ってこと。
なんで総削りだと軽くて強いものができるかというと、ざっくり言うと(ほんと、ざっくりですが)下記のように、深く掘れることと、余肉をギリギリまで落とすことができるからだそうです。 あ、これは断面です。
で、このコンロッドの製作には、田中工業(JUN)さんという企業のご協力をいただいています。
今回の記事は、こちら『田中工業さん』のご紹介です。
田中工業さんさんは、東京都練馬区にある、内燃機用の金属加工のプロフェッショナルで、なんと創業70年の老舗です。

会社を訪問したら、いきなりど~ん!とデモカーのR35がお出迎え。

4200ccで987.2psだそうです。
田中工業さんの製品としては、カムシャフト、クランクシャフト、コンロッド、ピストンなどがあり、それらはレースやチューンナップの世界で絶大な信頼を寄せられているのだけど、それだけではなく、量産メーカーが新型エンジンを開発する際の試作部品の供給というのがかなりのウェイトをしめているとのこと。
上に載せた図に示す通り、量産エンジンに使われるのは左側のような形状のコンロッドだけど、田中工業さんが作っているのは右側のようなもの。右の形状のコンロッドで実験確認などの開発をして、量産車では左側の形状ってわけにはいきません。
つまり、右図のようなものを『高精度』で製作できる技術を駆使して、量産エンジンに使われる左図のようなものを試作部品として再現し、これを自動車メーカーに供給するってことみたいです。自動車メーカーはその試作品で実験を行い、その形状で量産用の型を作るわけです。
自動車メーカーにしてみても、鍛造の型はめっちゃ高いので、いきなり量産形状の型をつくるわけにはいかないですからね。
ちなみに、コンロッドがどんな製作工程をたどるか、というと・・・
汎用の鍛造素材を荒加工し、両端研磨したうえでボーリング、外形形状やザグリ加工をしたうえで、ショットピーニングを施し、熱処理後に再度両端研磨、ボーリング、スプラッシュ穴加工を行い、ここでキャップ側を切断し、合わせ面の加工をしてボルト締結、その後ボーリングを2回して面取り後、ホーニングして仕上げ。
・・・という感じ。

この写真の、手前が素材、奥が完成したコンロッド。
メカマニアにはたまらん輝きですね。
しゃぶりつきたい!なんて人もいるでしょう(いないかw)。
とにかく丁寧な仕事が必要で、切削作業も切り粉を除去しながら徐々に徐々に掘り進めないといけないらしく、コンロッドは日に12本しかできないそうです(@@)
会社の中には金属加工設備がいっぱい。
A30専用の軽量&高剛性コンロッドも、こんな風に、丁寧に丁寧に作られるのであります。
当選した幸運な方は、大切にしてあげてくださいね。
(普段はまったく見えないけどねw)
ちなみに僕は、実家にOPTION誌の創刊号(1981年)を大切に保管しているという変態なんですが、田中工業さんがJUNオートメカニックという部門を設立されたのが1980年で、OPTION誌のなかにもJUNさんがちょいちょい登場していたのをよく覚えてます・・・。
■田中工業さん
http://www.junauto.co.jp/tanaka-ind/index.html
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オーテック創立30周年記念車 | クルマ
Posted at
2016/06/21 20:14:36