
写真は、フェアレディZバージョンニスモの開発中のものです。床下にジャングルジムのようにトラスバーが組んであります。かなりゴツくて相当重い(笑)
ご存知の通り、ボディはただ固めればいいってもんではなく適切な強さが必要。そしてその強さを、最小のコストと重量で安定的に生産できる内容にするのがオーテックが作る、ファクトリーカスタムのやり方です。
ノーマルボディにおいて、どの部分が変形が大きいかは、日産自動車が持っている構造解析データを開示していただいています。でも、あらゆるシーン、あらゆる仕向け国をカバーし、優れたバランスを実現すべく膨大な金と時間をかけて作りこまれているベース車のボディに対して、ただ変形を抑えれば性能が良くなるなんて簡単なものではありません。あくまでも僕たちの狙う性能を出すためのボディ特性のつくりこみです。
そこで、前述のようなトラスバーを部分ごとに取ったりつけたりしながら変形のしかたを変え、僕たちが求める性能を実現してくれるようなボディ特性を探って行きます。探りはスーパーコンピューターのシミュレーションと実走。でもって、いろいろやって、狙いの性能が出せるボディが出来上がったら、今度はそれと同等のボディ特性を実現できる市販仕様の開発に入ります。
最終的にフェアレディZバージョンニスモでは、①Aピラー部の溶接増し ②リアタワーバーへのパッチ追加 ③フロントラジコアサポートバー追加 が結論でした。トラスバーでこの性能をやるととてつもない重量ですが、市販仕様では全部で3キロ程度の重量増であのボディ性能が実現できています。

ちなみに上の写真は、以前もご紹介したマーチ12SR/15SR-Aの開発途中のリアボディですけど、この車の開発プロセスもZバージョンニスモとまったく同じ。市販仕様にはこんなバーはついておらず(当然ですね)、①テールクロスバー ②フロアサポート ③ハッチゲート下部左右のパッチ追加だけ。で、これ相当のボディ特性を実現してます。
今発売中のドライバー4月5日号で、オーテックが誇る現代の名工が取り上げられてまして、フェアレディZバージョンニスモの開発に・・・とあります。板金の名工が開発に?と思う人もいるかもしれません。が、こんな手先をもった人がいてくれるので、開発用のトラスバーもチャカチャカっと作ってもらえるし、それを市販仕様で実現するには、どんな形状のパッチをどこにどうつければOKか、なんて検討がバリバリッと進むのであります。
(チャカチャカ・・・とか簡単に書くと怒られるかも)
けっこうマジメに、かつ泥臭くやってます・・・ってお話でした。
Posted at 2007/03/08 20:05:05 | |
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