2010年10月15日
さて、先日お話したサスチューンの件、ぼちぼちご紹介していこうと思います。
(書いていたら話が発散してしまいました。お時間あればお付き合いください。)
そもそも、オーテックの商品というのは
①フルパッケージ(コンプリート状態)で販売される
②決まった仕様があり、それをカタログ化する
③限定販売ではなく継続的に生産&販売される
④全国の日産の販売会社で買えて、メンテナンスも受けられる
⑤標準の日産車とまったく同じ保証がつく
というのが特徴でして、ちょっと個性的な(尖った性格の)車を、ごく普通に買えちゃう・・・というのがいいところなわけです。 その『ちょっとした個性』というのは、量産ラインでは組み付けるのが難しい構造の部品とかを、特装というスキームを使うことで実現しているわけです。
けして量産品としては許してもらえないような特殊な(安全性や耐久性のマージンを削った)部品で作っているわけではありません。
何事もそうだと思いますが、モノつくりをするにあたっては、目標の設定を行います。
まずは、どんな性格の商品にしたいのか? 標準車の美点を損なうことなく、オーテックらしさを出していく。 ここで大切なのは、コンプリート状態で売ることが前提ですので、外観スタイルや内装『だけ』を気に入って買った人が後悔しないようなモノにしなくてはなりません。 なので、どんな人が買うのか、このスタイルに共感してくれる方はどんな足回りを求めるのかと考えて目標設定します。
次に大事なのは、いくらで売るのか? です。 金に糸目をつけずにやるのは簡単ですが、手が届かないようなモノを作っても、それは独りよがりというものです。 だから、適当な(適切な)価格というものを考えます。
で、サスペンションチューニングをするにあたり、よく言われるのは『操縦安定性と乗り心地のバランス』とかいう話です。一般的には、操縦安定性と乗り心地は相反する性能といわれています(実際には、好き嫌いもあるし、質の問題とかもあるので、そんなに簡単なものではないのですが・・・)。
下の左図のように、通常、乗り心地と操縦安定性というのは、弧①の点線上を動きます。乗り心地を良くしようとすれば、操縦安定性が下がる。 弧①のポテンシャルの車の宿命っつうか限界。

これを乗り心地も操縦安定性も、いいとこ取りする(★の仕様にする)には、弧①から弧②に移る必要があります。 この①→②に移るというのは、車全体の基本ポテンシャルが上げることを意味します。
このポテンシャルを上げる方策としては、タイヤ性能を上げる、ボディ性能を上げる(補剛とか減衰とか)、サスペンションの仕様をおごる・・・などなどがあります。
サスペンション・・・特にショックアブソーバーは、けっこういろんな仕様があり金額の幅もありますが、オーテックの場合は標準車と同じ生産・販売・保証などなどを約束する関係上、標準車と同じもの(メーカーも)を使う場合がほとんどです。ぶっちゃけ特別なものは使わず(使えず)、特性を煮詰めるだけです。
で、もっとも商品のキャラクタに影響力の大きいのがタイヤ。 オーテックの足回り開発は、多くの場合タイヤ選定から入ります。 人によっては、金かけてサスペンション換えるよりもまずはタイヤ!といいます。 それくらいタイヤによる変化は大きい。 タイヤ性能っつ~とすぐ限界グリップの話に行きがちですが、グリップはたくさんある性能要素のひとつに過ぎません。 いろんな性能要素があり、車との組み合わせにより違う表情を出します。 そんなのを含めてトータルの性能です。 けれど、いろんなメーカーからいろんなタイヤが発売されていて、それをひとつひとつ試すことなんて無理ですよね。 そこで、オーテックはそれを皆さんに代わって実行しているって感じですね。 選定候補になるのは、数種類から時に十数種類。 冒頭に言ったように、限定車ではないので、連続供給できるか?とか、ライン納入は可能か?とかね・・・けっこう大変なんすよ。
ということで、つづく。
またらいしゅ~♪
Posted at 2010/10/15 18:34:54 | |
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