
パフォーマンスダンパーは、ヤマハさんが開発した制振ダンパーで、超微小なストロークでも減衰を発生させることができる、単筒×高圧ガス封入のオイル式ショックアブソーバー。
現在オーテック扱いの車としては、E52ライダーハイパフォ、C26ライダーパフォ、Z12ライダーパフォ、Z34ニスモに、ヤマハさんのパフォーマンスダンパーを採用しています。
過去を振り返ると、Z33、E51、C25、E11、J32、V36(IPL)とまぁ、ずいぶんと開発実績が蓄積されたものだとしみじみします。
パフォーマンスダンパーは皆さんかなり関心が高いパーツで、流用チューン用に単品で買えないか?という質問をいただくこともあります。 中には、補修部品を調達してネットオークションに出品し、あろうことか商品説明はこのブログにリンクを貼ってる・・・というとんでもない輩もいて、びっくりしたこともあります。
でも、僕たちはコンプリートカスタムとしてトータルチューニングしているので、後改造のためにはパーツ販売していません。 すみません m(_ _)m
ボディに手をいれるというと、補強パーツを装着するのが一般的で、パフォーマンスダンパーも補強の延長と考えている人も多く、補強しつつもしなやかになる・・・みたいな理解をしている人もいるかもしれません。
でも、このパーツ・・・メーカーによって装着する場所や装着のしかたも違い、利かせ方に対して各社コンセプトが異なるのがわかります。
下の図は、とある車にパフォーマンスダンパーを装着した場合としない場合で振動の大きさの差を計測したデータですが、これを見ると全般的にパフォーマンスダンパー付きのほうが振動レベルが抑えられているものの、周波数域によっては逆に振動が大きくなっているところもあることがわかります。

これは、パフォーマンスダンパーも文字通りダンパーなので、速く動かすときとゆっくり動かすときで減衰力が違い、つまり補強部品として効くピストンスピード領域と、振動減衰部品として効くピストンスピード領域があるということになります。
話をもとに戻して、メーカーにより、パフォーマンスダンパーの使い方が違うと書きましたが、ざっくりと下の図2-1、図2-2のような大別できると思われ、装着方法-Aのほうは前述したダンパーの特性(周波数によって固さが違う)を応用して補強と振動減衰の両方に効かす発想。一方、変形防止は棒(青)で行い、そこにパフォーマンスダンパー(赤)を付けるという方法が装着方法-B。

オーテックのやり方は基本的には全部Bのほうになります。補強とセットでやっていない場合でも変形の極少ない部分に装着しています。
剛性を上げるということは変形を抑えるということですが、ここでいう変形は荷重を抜けば元に戻る範囲の変形で、荷重を抜かれたボディはバネのように振動します。オーテックではパフォーマンスダンパーには変形の抑制は担わせず、主に振動の減衰に使っているっていう感じです。
ボディはバネ・・・ということは、車によって、あるいはその車に施した補強によってバネ定数が違う、ということなので、当然ショックアブソーバーに相当するパフォーマンスダンパーの減衰力は車種ごとにいろんな数値でテストして、ベストマッチする減衰力にしています。
装着方法-Aの場合に比べてBのつけ方だと全然ストロークしないから、ダンパーとしての効果が使えていないんじゃないか?ということをよく聞かれますが、以前ヤマハの技術者の方が『鉄の塊から削りだしてボディを作っても分子レベルではプリンみたいなもの』って話をされていた通り、ガッチガチに固めたところにつけても変化が出るんです。
ボディを固めれば変形は減るが、振動の特性は高周波に寄っていくので、キンキンビリビリといった不快感が出てきます。それをパフォーマンスダンパーで抑えている、という感じ。
このへんは発想の違いとか、設計思想みたいなものであるのでしょう。 つくづくクルマというのは面白いですねぇ。
Posted at 2014/01/28 13:20:07 | |
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