11月15日の土曜日は、神戸マラソンの前日エントリーのため朝から神戸方面へ。
少し手前のJR芦屋駅で降車。初めて訪れた芦屋の街を山の手側へ。
にんにく料理の店「アグリオ」で少し早い昼食をいただきました。
開店時間の午前11時に予約したため、モダンな雰囲気のお店に一番乗りです。
私は「モッツァレラチーズのミートスパゲティ」のパスタセット。妻は「小いわしとあさつきのスパゲティ アンチョビ風味」のパスタセット。どちらもガーリックパン付きです。炭水化物とスタミナの補給ができました。
昼食後は、住宅街をさらに山の手へ。急峻な「ライト坂」の手前で目的地の名建築が見えてきました。
国指定重要文化財「ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)」。数年前から訪ねたいと思っていた名建築です。
こちらの建物は、灘の酒造家の別邸として近代建築の三大巨匠のひとり、フランク・ロイド・ライトが設計した建物であり、ライトがアメリカへ帰国後、今から101年前に弟子の建築家である遠藤新と南信によって建設されています。
敷地の南側奥の玄関に向かいます。1階部分が車寄せと玄関。ライト設計の建築物らしく、どこまでも水平基調のデザインであり、大谷石の多用されており、幾何学模様の意匠が施されていました。
大谷石が敷き詰められた車寄せの奥から芦屋の市街地を見下ろすことができました。
玄関の前には大谷石で作られた水盤が2つあり、それぞれ金魚とメダカが泳いでいました。
1階の玄関から2階に上がる階段の意匠です。邸内のあちこちが、この植物の葉がモチーフとなった「飾り銅板」で飾り付けてあり、銅板は錆て緑青が形成されていました。
2階の応接室。車寄せの上部に位置するこの建物の中で一番広い部屋です。
応接室の東側と西側には、周りの風景を切り取るような大きな窓が設けられていました。
応接室の太い柱も大谷石。幾何学模様の意匠が凝らされています。
大きな暖炉にも大谷石が使用されていました。
応接室内のソファーやテーブルは、ライト設計の建物に合わせて一般公開前に造作されたものですが、建物の様々な箇所に凝らされた意匠によく合っているものでした。
3階に上がります。一番南側にある広間(家族の談話室)にこの建物の模型が置かれていました。六甲山系から南に伸びる尾根の先端部分の細長い敷地。東側の緩やかな斜面には、建設当時、池やサンルームのような建物があったことが分かります。この部分の敷地が分割されて別の住居が建っていたようですが、現在は住居が取り壊され、往時の状況を調べるための発掘調査が行われていました。
3階の南側半分は、和室が3部屋連なっています。元々、ライトの設計には和室がなかったようですが、施主の強い希望で和室が設けられたそうです。
和室ではありますが、ガラスや飾り銅板が多用され、洒落た雰囲気になっています。
床の間も和洋折衷の雰囲気です。
欄間の部分も木製のものではなく、飾り銅板がはめ込まれていました。
こちらの和室の窓がたいへん気に入りました。とっても洒落ています。
こちらは和室の西側に伸びる廊下です。長い廊下に同じ意匠の窓が連なります。
木漏れ日による光と影が廊下に伸び、とっても素敵な空間でした。
西側の斜面のモミジの色付きが窓に映し出されていました。
3階の中央の階段を上がり、4階の食堂へ。この建物の中で最も装飾が凝らされている部屋です。
中央部に向かって高くなる天井。意匠の凝らされた照明や木製の飾り。
天井部の明り取りの三角形の小さな窓も印象的でした。
食堂の隣の大きな厨房。往時は西洋製の高価な電気製品が並んでいたそうです。この建物が建設された約100年前、一般の住居では電気を利用することができませんでしたが、こちらの建物は、遠く離れた鉄道から直接電線を引くことで、オール電化の生活だったとのことです。
食堂から南側のバルコニーに出ます。4階は、食堂、厨房のほかはバルコニーになっています。
バルコニーからは、神戸の街並みや大阪の湾岸エリアまで見渡すことができました。
バルコニーから北側、食堂の方に振り返ります。窓がたくさん設けられ、明るい食堂でした。
屋根周りの凝った装飾です。これらの装飾は、細かく砕いた大谷石とコンクリートで作られているそうです。
バルコニーからは六甲山系を見上げることもできます。非常に良いロケーションに建設されています。
4階から3階に戻り、北側のプライベートなエリアを巡ります。廊下の屋根が複雑な形状になっていました。
こちらは洗面室の洗面台。ガラスの棒が渡してある不思議な形状のものでした。
続いては浴室です。使用するお湯は電気で沸かされたものだったようです。
こちらは主寝室。こちらの部屋も南側に窓が設けられた明るい部屋でした。
部屋の中央には、最近復刻作成された机と椅子が置かれていました。遠藤新らがデザインしたものだそうで、どこか自由学園明日館で見た椅子と似ている感じがしました。
主寝室と廊下との間の建具です。縦格子のデザインが秀逸でした。
主寝室から階段を3段上がると隣に婦人室があります。
婦人室は和室でした。往時にはなかったと思いますが、現在の邸内には、ライトがデザインした照明のミニチュアがあちこちに設置されていました。
ヨドコウ迎賓館は、想像していた以上に心地良くて素晴らしく、まさに名建築でした。
もう一度訪れ、もっとゆっくり見学したいと思いながら建物を後にしました。
その後、JRとポートライナーを乗り継いで、ポートピアアイランドの神戸国際展示場へ。
神戸マラソンの前日エントリーを早々に済ませました。
三宮へ戻り、妻と合流して三宮の地下街「さんちか」へ。さんちか開業60周年を記念するわたせせいぞう氏による記念ビジュアルを見に行ってきました。わたせ氏の父親は北九州生まれ、母親は北海道生まれ。そんな二人が神戸の街で出会い生まれのがわたせ氏だそうです。なんとなくハートカクテルなお話です。
メインビジュアルのほかに神戸の街をモチーフにした4つの作品が展示してありました。
「港に吹く風~神戸ポートピアアイランド」
「港に吹く風~神戸六甲アイランド」
「港に吹く風~神戸北野異人館」
「港に吹く風~神戸ハーバーランド」
展示終了まで残り3日。間に合って良かったです。
その後、三宮からJRに乗って自宅とは逆方向の明石へ。駅のホームから明石城の石垣が望めました。
この日の宿泊は明石駅近くのビジネスホテル。7年前に神戸マラソンに出走した時は、前日エントリー後に一旦帰宅して、翌朝始発に乗って再び神戸に向かいましたが、今回は前泊してスタート地点の神戸市役所前に向かいます。
大会前日の三宮周辺のホテルは宿泊代が高く、少し離れて宿泊代がリーズナブルな明石を選択しました。
広くない部屋ですが、ホテルの部屋からは明石海峡大橋を望むことができました。
夕食にはまだ時間が早すぎるので、ホテルから海の方へ散歩に行きました。中崎みなと公園からは、明石海峡大橋だけではなく、対岸の淡路島までくっきり見えました。
夕食は、ホテルの近くの「タコあしCAFE」へ。名物の明石焼きをいただきました。
海鮮和風あんかけ明石焼きと淡路鶏の唐揚げ。
『アラカルト明石焼き』のプレート盛り。ぎゅうすじ×おろしネギ、モチ×めんたいこ、ぷりぷりエビ×マヨネーズ、ホタテ×ゆず、トマトクリームチーズ×バジルソースが入った特別な明石焼きです。
〆はちりめん山椒ご飯。最後に炭水化物をしっかり補給しました。
ホテルに戻ると部屋からライトアップされた明石海峡大橋を見ることができました。
翌日の神戸マラソンでは、三宮から明石海峡大橋を目指して走ることになります!
たいへん充実したマラソン大会前日でした。