本ブログでは、
表題アニメ作品のストーリー展開、
および作品に対する主観的かつ印象的な内容を
断定的な表現を用いて記述しています.
将来、本作品の視聴を予定される方がご覧になると
物語の展開を知り得てしまいます.
また作品の著作権を尊重する意図によりスクリーンショットの挿入を自重しています.
土曜の深夜と言うか早朝に、うっかり目が覚めてしまいました.
このまま仕事まで起きていようか、もう少し眠ろうかと思っていた時に、
メール着信.
ぽっちむさん、こんな時間まで絵を描いておられた事にびっくり、
ちょうど目が覚めた事も不思議でした.
ぽっちむさん作 「わたしの、最高の友達」
まどかとほむらの姿を見たら、
なんだか妙に目が冴えてしまって、
iPhoneに入れてある中から大好きな8話を見始めました.
結局この日は4回観てしまいました.
4回それぞれ同様に感動しました.
この物語はどの回も素晴らしく優劣などつけられませんが、
8話は格別に好きです.
1,結界内部(前話より継続)
さやかは肉体が傷つく痛みを麻痺させる能力を使い、魔女からの攻撃を防御しない(生きているのが不思議なほどの重傷を負いながら)自暴自棄な戦法で戦っている.
魔女との劣勢な戦闘を見かねて加勢にやってきた佐倉杏子に対し「お前はこれが欲しくて現れただけである」とせっかく獲得したグリーフシードを投げ与え、さやかの魔女退治に付いてきたまどか伴って去る.
「自分と契約して魔法少女になれば願いを叶える」と誘うキュゥべえに、幼い頃から想いを寄せている上条恭介の「不治の腕の治癒」を願って魔法少女となった美樹さやかでしたが、同級生の志筑仁美から「明日の放課後に自分は恭介に告白するから、もし恭介を想っているならば先に告白しろ」と告げられました.すでに魂をソウルジェムに変えられた自分は「もう人間の肉体を持たぬから女性として恭介に愛される資格はない」と絶望し、仁美に嫉妬する感情に自己嫌悪を募らせて、それでも魔女や使い魔から人々を守る事が魔法少女となった自分の唯一の存在意義であるべきと考え、葛藤します.
目と傷だけが強調された影絵のような異様なアニメーション、
さやかのクラウチングスタイル、
魔女に貫かれながら、剣で突き刺し、切り裂き、叩きつける攻撃はさやかの心情そのもの.
2,深夜のバス停
魔女との戦いで激しく傷つくさやかを案じるまどかにも容赦なく冷酷な言葉を浴びせるさやか.
恵まれた家庭に育ち、何気ない日常生活を送っていたはずの14歳の少女が、
善意と恋心をきっかけに交わした「契約」から徹底的に破滅してゆきます.
この回ではさやか役の喜多村江里の鬼気迫る演技に圧倒されます.
バス停のブース内外、多様な角度から捉えられた画像は実写では不可能です.
雨、光と影の表現など素晴らしいどのカットも素晴らしい映像です.
3,ほむらのアパート
ほむらは共闘を持ちかけた杏子を自宅に招きワルプルギスの夜に備えて作戦を練っている.
脚本では「古い木造和室の六畳間」とありますが大変モダンな作りの部屋です.
何枚もつり下げられたディスプレイ、時計のような振り子と歯車、素晴らしいこれらの小物が11話で印象的な効果を発揮します.
4,夕暮れの市民公園
学校を欠席し、恭介と仁美の様子を物陰から窺うさやか.
告白の後のシーンでも二人は談笑している事から恭介は仁美の想いを受諾した事がわかります.
夜間のシーンが多いこの回で唯一、暖色系で明るく描かれたシーンです.
まばゆいオレンジの光は幸福に包まれた仁美のようです.
5,魔女の結界(無人の建物内)
使い魔との無為な戦いを繰り返し憔悴しきったさやかの前に現れたほむら、濁りきったソウルジェムを直ちに浄化しないとまもなく死んでしまうと自らのグリーフシードを与えるが信用できぬと聞き入れないさやか.
ほむらは自らの行動原理は唯一まどかの安否のみである事を告げ「援助を拒むなら間もなく破滅してまどかを悲しませる、だから今すぐここで殺す」とさやかに迫るが駆けつけた佐倉杏子に制止される.
さやかはほむらを「転校生」としか呼びませんでした.
本作品のテーマを”Dis-communication"とする意見がありますが、この二人は(どの時間軸でも)最も仲が悪かったですね.ほむらを羽交い締めにした杏子が「こうすると妙な技(時間停止)もつかえない」事を鋭く察しますが、戦闘の際に自分が触れた対象が時間停止から除外される事=接触の拒絶=Disconnectを連想させます.さらに主題歌「コネクト」の「契約」「約束」をも想起させます.五人の魔法少女では杏子とさやかが剣、槍を用いた接触型、まどか、ほむら、マミが非接触型の武器を使用しています.
ほむらがここで使用したスタングレネード(閃光弾)も米軍基地から盗んだ物と思われます.
6,深夜の電車内
難を逃れたさやかは電車内でホストの男たちの女性を金ずるとしか思わない会話に食って掛かる.
「この世界って守る価値あるの?あたし何の為に戦ってたの?今すぐアンタが教えてよ.」
モノクロームで描かれたシーン、本編ではさやかがホストに対して何をしたかは曖昧にされています.
(コミック版では血のしたたる剣の描写あり)
さやかの行動原理である「正義」が幻想でしかない事を臆せず語る男達には、さやかのきつい罰が与えられたとぼくは想像しています.
(新房監督は「さやかはホストを殺していない」と言及しています)
7、夜の公園
さやかを探して夜更けの公園に辿り着いたまどかは、現れたキュゥべえに
「自分が魔法少女として契約する事でさやかの肉体をもとに戻す事ができるか?」
と尋ねる.
「君が望むなら万能の神にだってなれるだろうね」
と答えるキュゥべえにさやかの肉体を取り戻す条件でついに契約を決意するまどか.
「私、魔法少女に・・・」
一瞬でキュゥべえが射殺され、傍らにはほむらが現れていた.
自分こそずっとまどかを守ろうとしていたのだと告げて泣き崩れるほむらを残し、
まどかはさやかを探すため早々に走り去ってしまう.
素晴らしいシーン、これまで何度見た事でしょうか、何度観ても最高の緊迫感と衝撃に戦慄します.
ここでほむらがキュゥべえ殺害に使用した什器はベレッタM92Fとされていますが米軍基地から調達した武器であればM9(M92Fの米軍仕様)かもしれません.弾倉の15発全弾をキュゥべえに命中させています.
ほむらはついにその想いをまどかに告げるのですが、まどかはそんなほむらよりも、さやかを探すために走り去ります.
どこまでも報われぬほむらですが、新しいきゅぅべえが出現すると気丈に振る舞いますね.
インキュベーター=きゅぅべえ
名前の由来が明らかにされたキュゥべえ、自分の死体を食べて「キュップイ」とゲップ.
キュゥべえ役の加藤英美里さんは「げっぷ」と言ったつもりが「きゅっぷい」になったという説と、
アドリブで「キュイップ」と言った説があります.
思いがけず「まどかなら宇宙の法則をねじ曲げる事も可能だろう」と言ってしまいますが、まどかはこの言葉を覚えていたのかもしれません.
ならば、キュゥべえはとんでもない事を口走ってしまったと言えるでしょう.
8、真夜中の駅
夜更けの駅のベンチでさやかを発見する杏子、
「もうなにもかもわからなくなった」と涙を流すさやかのソウルジェムは既に濁りきっている.
「誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにいられない」
と言う魔法少女のシステムに気が付いた時はもう遅い、
「あたしって、ほんとバカ」
さやかは魔女と化す.
監督はこのさやかを描いたアニメーターが誰かわからないと発言しています.
アニメ史上に残る名シーン、素晴らしい表情です.
このシーンは絶対に実写では実現不可能です.
肉体を持たぬアニメのキャラでしか、この表情は実現できません.
できる物ならやればいい.
夜の街を見下ろしてキュゥべえが一人ごちる.
「この国では成長途中の女性を少女って呼ぶんだろ、
だったらやがて魔女となる君たちの事は魔法少女と呼ぶべきだよね」
ゆっくり目を開けるキュゥべえの描写(半目)が実に不気味ですね.
物語はほとんどのトリックを露出して凄い速度で転がり始めます.
次回予告では杏子が魔女化したさやかの救出を決意するセルフが流れる.
製作局MBSにて本作品が放映されたのがちょうど1年前、2月24日(木)25時25分だったはずです.
想いを寄せて、想いを巡らせて、もう一度観てみようと思います.
出典
1. 魔法少女まどか☆マギカ公式ガイドブック you are not alone.
2. ユリイカ2011年11月臨時増刊号 総特集=魔法少女まどか☆マギカ 魔法少女に花束を
3. 成熟という檻 『魔法少女まどか☆マギカ』論 山川賢一
4. 超解読 まどかマギカ (三才ムック vol.421) タブロイドと愉快な仲間たち
5. 魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story ニュータイプ編集部
ブログ一覧 |
Anime | 日記
Posted at
2012/02/24 23:49:00