知っているひとはとても良く知っているマイケル、ぼくは彼に多くの事を教わったし「何をカッコ良いと思うか」は彼を知ってから変わった.ちょっとびっくりしたのはウチのパソコンでメールを書く時にしゃべりながら書く.アメリカ人はみんなそうするのか?分からないけどぼくはたまに真似してみる.単語のエラーはパソコンが指摘してくれるけど、時制の不一致や人称の間違いは声に出して読むと直ぐにおかしい事に気が付く.面倒くさい文法だけど、結局あれは発音が不自然にならない為にあるだ.だからきちんと発音する必要があれば文法は意識しなくて良いと思う.すげー極論かつ真偽の程不明だけど.とにかくやっぱり英語はいつまでたってもまったく分からん.英語だけで思考する環境ならまだしも.
その何年か後でマイケルに渡されたナイトロのキットで、ま、ぼくのロードスターのスタイルは決まったようなものだった.実際にそれをトランクに放り込むのはもう少し後だったけど.これも運命だったのかな、と今は思う.
運命は勝手に手渡されて、後は自分で亜酸化窒素を充填するだけ、選択の余地などなかったわけ.
運命ってそういう事.
マイケルとユーノスロードスター(つまりミアータ)との出会い、本当はホンダのCR-Xを買うつもりで中古カーショップに行ったらしい.でもその日CR-Xはなかった.まさにこれが運命、お目当てを失ったマイケルはそこで赤いミアータと出会う.そして、多くの熱烈なマニアがそうだったように、彼も一目ぼれでそのミアータを購入する.これがカリフォルニアのとある中古車ショップで生涯をミアータに捧げるひとりの熱烈なエンスージアストが誕生した瞬間だった.その後、そいつがカリフォルニアと石川と青森とアラスカにいろんな種を蒔いた.
マイケルが初めて金沢に来た時、多分その夜、適当にアルコールが入ってからだけど「おっしゃ、これからミアータの話をしようぞ!」の流れになって、つたない読解力と表現力でそれらしい話になってから、彼が「アフォーダブル」という言葉を頻繁に使うのに気が付いた.これを「お安い、お求め安い」位の意味で理解してたのだが、彼が主張するのはもっと大きなアフォーダブルだったのかもしれない.その時はピンと来なかったのだけど.
このアフォーダブルこそ平井主査が徹頭徹尾妥協しなかった点.もちろん安い事は大事だがケチる事とは全然ちがう.そして単にクルマの値段が安いだけの話ではなく、燃費を含む維持費全般がアフォーダブルで、だからクルマで楽しむこと自体がアフォーダブルなのだ.
このアフォーダブルをどう説明したら良いのかずっと気になっていたのだけど、要するに「分母が小さい」クルマなのだ.そう考えると合点が行く.少なくとも自分では納得した.
分母が小さい=僅かな分子で「1」となる.
モディファイを含めて、この事を考えるとロードスターの最も大切な本質を理解できる.
アフォーダブルこそがロードスターの最も根幹を成す哲学.
ランニングコストも.
モディファイも.
ワックスのペーストの消費量も.
ドライバーのパフォーマンスも.
全部アフォーダブルだから.
浮いたお金で
フランネルのトラウザーズや
カシミアのマフラーや
ペッカリーのグラブズや
トッズのシューズや
クルマではなくドライバーに投資できる.
分母が小さいとはそういう事.
クルマライフが格段に豊かになる(見かけ上)こと.
いや、R32と暮らす若者がタイヤとオイルとガソリンに全てを費やす潔さも、
少し旧いリアエンジンポルシェと経済的に際どい暮らしをするセクシーさも、
物凄く好きだけど、
そういう一切のつま先立ちをチャラにして、
控えめに微笑むのがユーノスロードスター.
何にも無理しなくていいんだよ.
そういう、アフォーダブル.
それも残念ながら、
「できるだけ安く中古のNAを入手してヤフオクでいろんなパーツを手に入れて自分スタイルで楽しむ」
「飽きたらいい値段で売る」
という「消費行動」につながるんだけどね.
そんな人も
「昔乗ってたなー、ロードスター.今じゃこんな形なんだ」
と再び心をときめかす事もあるかも.
そうなら、いいよね.
なぁ、マイケル、
ぼくがNDを買うフリをしてホンダのS660でも買って乗って帰ってきたら、
おまえの時と反対だな.
あれはセクシーさと
アフォーダブルを受け継いでるぞ.
お前はNDが好きだろうけど.
ぼくはそうしてみようかな?
アフォーダブルにだよ.
Posted at 2014/12/16 23:54:08 | |
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