iPhone5のMapナビ

iPhone5（=iOS6）で最も大きく変更されたMapアプリ、ネット上では「使えない」意見が多く気になっていました．本日iPhone5が届きましたので早速この気になる点を確認してみました．



画面はある目的地を設定してナビゲーション中の画面です．
部分的に英語で表記されていますがこれはぼくが言語設定を英語にしているからで、日本語に設定されていれば問題なく日本語表記されるはずです．



3D表示だと遠くの進路も把握しやすいです．
案内音声も英語ですが難しい事は言われないので問題ありません．



指定ルートを無視すると初めはUターンを指示してきます



ルートを外すと直ちにリルートして新しい進路を音声と表示で指示します．
リルートは大変早いので驚きました．



施設の登録数はまだ少ないです．
増えるのを待つか、Googleのマップ（アプリが登場する？）を使ってしのぎましょう．
「都道府県道」じゃなくて県道で良いのに．





本体を横にするだけで横表示になります．
逆さまにしたら、逆さまのままでした．．



ナビゲーション中はオートオフを設定していても画面はスリープせずディマーにもならず表示し続けます．
その状態でスリープボタンを押してスリープさせる事もできますが、曲がるポイントが近づくと勝手にスリープ解除して曲がるポイントに近づいている事を音声と共に案内します．
これはちょっと驚きました．

ネットではお笑いネタにさえされているMapアプリですが、ナビゲーション機能は大変賢くスマートです．
見やすい3D表示は交差点では自動で2D表示になり、通過後は滑らかに3Dに移行します．



最近とても気に入ったカバーアート、ClariSのロゴが背後にちらりと見えていて可愛いですね．

古くからアップルの美点はその知的な振舞いです．
ハード、ソフト（OS）共に大変美しいデザインで、知性さえ感じさせるコンピュータです．
機能、性能的にこれを超えるものはあるでしょうが、使用者の心に訴えかけるなにかをもっているといえるでしょう．

仮に、ユーザーの声を最大限反映して、望まれる機能を盛り込んで「理想的な」製品を作る事ができたとします．
しかし、それは人の心、表現があいまいですが、感性に訴える魅力を備えた製品となるでしょうか？
それは違うと思います、人の感性をとらえる製品にはなりません．

これはある意味、子供のしつけに似ていると思います．
子供が望むままに要求に応え、求めるものを与えていてはダメなのと同じです．
ユーザーを子供に例えるのは不適切でしょうが、優れた製品はユーザーの価値観を大きく超えた視点で設計しないとダメだと思います．
アップル・コンピュータ社は今はタダの「アップル」になりましたが、その設計理念はすっかり変わってしまったわけではないと思います．

かつてiMacとPowerMacG3がSCSIとフロッピーメディアを捨てた時も多くの困惑がありました．
しかし今やMac Book Proではついに有線のイーサネット端子さえ消滅しました．
たいへん、アップルらしいと思います．
ブルーレイに未対応（対応予定なし）と言う点も、ユーザーの要望を無視しているとさえ言えるでしょう．

ある種の人々は暮らしの中の美しいものを大切にします．
どちらかが選べるのなら、美しいものを選びたい、
美しいものを見たい、そういうある種の無益なこだわりを持ち続け、
何らかの努力を伴う事であってさえ、そちらを選ぼうとします．
「アップル信者」とバカにされる人々は、そういうこだわりを捨てようとしない人々だと思います．
もちろん、そのようなこだわりは何の得にもならないのですけれど．
こだわる人はその仕組みが分かりますが、こだわらない人には信者、バカにしか見えないかも知れませんね．

製品をデザインするメーカーはユーザーと同じ視点ではユーザーの心に訴える製品を作る事はできません．
これはユーザーの立場に立つ事とは全く別の話です
安く、たくさん食べる事が目的なら、それはそれで結構ですが．

ユーノス・ロードスターは、
果たしてユーザーの声を気にして作られたでしょうか？
自分で買いたくなるような、どこにもないスポーツカーを、誰でも買える値段で作る．
そこにユーザーの機嫌を取るようなデザインなどありません．
だからこそ、一目見た世界中のスポーツカーファンが虜になったのです．
ユーザーに媚びるどころか、我慢さえ強いる点すらあるクルマです．

ユーザーの声を気にしてモノを作っても、
安くたくさん売れるもの以外にはなりません．

ところでEOSユーザーが気になるEOS6Dの話、
ユーザーの望むポイントを隙なく積み重ねて安いキットレンズすら新調して登場したニコンD600に比べて、残念な仕様であるという評判が大勢のようです．
全く、おっしゃる通りだと思います．

しかしユーザーが思いもしなかった測距輝度範囲 EV －3～18　という最上級機を超える性能、
GPS、無線ネットワーク機能を標準としながら、内蔵ストロボは持たぬという潔さに驚きです．
通信の為にボディ上部は樹脂製ですが前後はしっかりマグネシウムシェルをもっている事も素晴らしい．
2020万画素という中途半端に思える画素数で、わざわざ撮像素子を新設計している事も、ユーザーの想定を外しています．個人的には安いキットレンズなど用意せず上級機と同じLレンズを備えている事も実に嬉しい事です（キットレンズの設定は割安ですから）ボディ以上にレンズを重視するのはEOSシステムのブレぬ理念です．

要らぬ話ですがEOSシリーズはエントリーモデルから上位機種まで、一貫して共通する点があります．
（Made in Japanである事以外に）
それはグリップの掴みやすさで、グリップラバーはエントリー機でさえ指先が当たる部分まで貼られています．
60Dは中型機ですがグリップのフィット感は抜群で､これを見る限り6Dもこの点で大変快適なボディである事が期待できます．6Dはいくつか操作ボタンが省略されたようですが、結果的にほとんどの操作を快適なグリップを握ったままで操作できるので美点といえるでしょう．

ユーザーが望む仕様と製品のデザインは、時に背反するものです．
その意味はその製品を手にした時に伝わるでしょう．
そういうものだと思っています．

従来の製品を使用しているユーザーへの裏切りとすら言えるEF電子マウントの変革、
APS-Cサイズに限定した互換性のないEF-Sマウントの採用、
過去のリソースを容赦なく捨てる姿勢はアップルに通じるものがあります．
ユーザーは当初は困惑するのですが、やがてその意義を支持するようになるでしょう．

新しいiPhoneの革新的な使用感に触れて、上級望遠レンズに象徴される白地に赤のコーポレートカラーをもつ日本のカメラメーカーがユーザーの要望の1歩上を行く視点で製品を開発している事など期待してしまいます．

「マウントは縁」と言う名言がありますが、
家内の存在がなければ、ウインドウズを使い続け、ニコンユーザーになっていたに違いないなど思うと、縁と言うのはまた不思議なものだと思うMac＆EOSユーザーの戯言でした．