さらば一眼レフ（キヤノンR3登場）

ニコンの一眼レフ、正確にはデジタル一眼レフの日本での生産が終わるのだそうだ．
つまり今後D6でさえボディには「メイドインジャパン」とは書いてなくなる．

スマホの普及でデジタルカメラの需要が減った、と言うかも知れない．
それは大いなる怠慢だと思う．
スマホなんかで（あえてそう言ってやる）一眼レフで得られる画像が撮れるものか．

写真を趣味とするユーザーが「何としても欲しくなる」モデルを作り出さなかったことがこの困窮を招いたのだ．
俺はそれを「おごり」と言って良いのだと思う．
ニコンだから落ちてしまった「おごり」なのだ．

キヤノン機は以前は「kiss」クラスでも「メイドインジャパン」だった．
多分kiss７（今でも欲しいと思う名機だ）までそうだったと思う．
もちろんそれ以上のクラスは文句無く日本製だった．

家電店のカメラ担当が
「外国人のお客はニコンを買わない、日本製ではないから」
とにやにや顔で説明してくれたのが懐かしい．

最近全く観なくなったが、掲示板ではしばしば「生産国」に関するもめ事が起きた．
キヤノンは日本製なのにニコンは海外製である事をからかう投稿の反応を面白がるユーザーがいるのだ．

「自分のカメラが日本製ではない」
これは堪え難い屈辱だ．
日本製ではないなら、韓国製でも中国製でも同じだ．
「生産国など問題ない、メイドインニコンだから誇り高いのだ」
「キヤノンは無責任な派遣社員が作っているから海外製ニコンよりずっと品質が悪い」

などと、楽しい掲示板だったものだ．

あえて言うが、カメラと言う精密機械を作れるのはドイツや日本の徹底した精密部品産業と生真面目な国民性ならばこそだと、ニト朗如きが偉そうにも思う．

秒間16コマも正確に作動するクイックリターンミラーを作れるのは、国民性の流れが無くては不可能だ．（あ、ニコンは16コマがまだだったっけ？）

ソニーの台頭が結局ニコンの足を引っ張り、キヤノンに迫り、追い越したのだろう．

言っておくがソニーはカメラメーカーではない．
デジタル写真機を作ってはいるが、それは「片手間」でしかない．
光学機器専門（ひたすらに）メーカーであるニコンと違うのはそれだ．

ソニーはデジカメのメーカーであった事はあるが決して光学機器メーカーではなく、創業時は紅茶の空き缶に鉄サビとノリを入れて磁気テープを作っていた会社である．
ミノルタのカメラ技術を買収し、高名なツァイスレンズと提携する事で「伝統と技術」を即席で手に入れて「カメラメーカー」としての体裁を繕っただけだ．

ソニーはiPodで負け、iPhoneに負けてもがんばっている．
日本を代表するメーカーだ、
製品は良く売れてプロカメラマンも「ニコンやキヤノンなんか売ってソニーにくら替えした」記事も見る．それはとても結構だ、と俺は思う．

高度な技術が必要とされる光学ファインダーなど作らなくて良い．
良い素子さえ作れたら、高額でも売れる高性能はカメラは作れるのだ．



キヤノンがR3なるモデルを開発している、とメールが来ていた．
「3」といえば、、、

そう、ファインダーのフォーカスポイントを視線入力で
「撮影者がそれをみるだけで」
決定できるのだ．

この技術のデジタル機での復活が「EOSファン」からどれほど長く待たれていた事か．実は銀塩時代の技術なのだ．
その頃ソニーは、ほんのただのソニーだった．

この姿は文句無く、有無を言わせぬ「R5」の上級機だ．
素晴らしい．
ミラーレスという事を忘れて、衝動的に欲しくてたまらない欲望が沸き起こる．

とはいえ、ニコンは日本の光学機器のトップメーカーだった．
それは今でも変わらないし、俺はずっとそう思っている．

東日本大震災の画像を撮ったプロが使うニコン機は、宮城の工場でのみ生産されていた．故郷の惨事をその素子に納めるニコン機は、泣いていたと思う．

ニコン機は花嫁や赤子を撮るキカイではない．
ドレスは黄色くなり、肌色は緑になる．
ニコンは平和のカメラではない．

キヤノンは撮らない．
ソニーは家電カメラだ．
ニコンは、ニコンが撮らなくてはいけない世界がある．

それは絶対に日本が失ってはいけない世界を残すためにあるべきだと思う．



1DXのデカイペンタ部．
小さめのキヤノンロゴ．

日本の技術、プロ機と言えるのはニコンかキヤノンだけ．
ソニーは悪いけど、M＆Aだよ．

さらば、一眼レフ．
さらば、スポーツかー．

ミラーレスはハイブリッド車だよ．
俺はそれを知る事なく、人生を終えたい．