ひとりぼっち・ふたりぼっち

ぼくはいつも一人でロードスターに乗ります．
助手席は、空っぽです．
ジャケットや手荷物を置く場所になっています．

ロードスターで走るときはほとんど幌を降ろしています．
先日など、幌を上げるとこんなに快適なクルマになることに驚いて、
踊りたい気分にすらなりました．
それほど、幌を降ろしています．

そうしてロードスターを運転してどこかへ行くときは
いつも誰かを助手席に乗せて話しかけています．
それはロードスターの友達だったり、
時にずいぶん以前に亡くなった父だったりします．
そうして自分が感じることや思うことを話しかけて、
その人達がどう反応して、何と言うか
勝手に考えてほくそ笑んだり苦笑いしたりしながら運転する事がよくあります．
そういう時はふたり乗りのロードスターに、
ふたりぼっちで乗っているような気持ちになります．
寂しいけれど寂しくない不思議な気分です

ロードスターの軽快なハンドリング、
それが最近のクルマに比較するとどれほどの物なのかなどぼくは評価できませんが、
ステアリングを通じて、ロードスターが「ひょい」っと軽やかに身を翻したりするのを感じて
思わず助手席を見てしまいます．
そこには平井主査が
「どうじゃ、いい具合に仕上がっとるじゃろう！」
と笑顔で仰っているような気がします．
もちろん、本当にこれ以上ない仕上がりです．

そうして一人でロードスターを運転して、
時にはたいそうな距離を走りきって
ロードスターの友人に会いに行った事もありました．
そんな長距離を運転して行けるのか？
ある時すっかり運転に自信をなくしていたぼくは、
そうすることが必要だったのかも知れません．

ひとりぼっちでロードスターに乗り、
誰かとふたりぼっちの会話を楽しみながら、
ロードスターの人に会いに行く．
そんな贅沢な人生に感謝の気持ちが溢れる時があります．

中間ミーティングというのは、
飾らない純粋な心のイベントだと思います．
　　ロードスターの人に会いに行く．

子供に還ったように待ちきれません．