しあわせとは

最近仕事が忙しく心休まりません．
毎日暗く寒く雨や雪ばかり、たまに晴れてもたちまち雨雲がやってきます．
ぼくは北陸が大嫌いです．

日曜につかの間ロードスターに乗りました．
次女がバレンタインの材料を買いにゆくのでモールまで．
買い物の間荷物をとりに行き検品して厳重に梱包、
いつもの郵便局で発送しているとちょうど次女の買い物終了．

駐車場に停まっている自分のロードスターを見つけるのが好きです．
周囲の車がどれも気の毒に思えるほど素敵な車です．
白いボディの青いストライプは、
徹底的に汚い北陸の鉛空に全身で抗議しています．
本当に北陸は嫌いです．

次女を迎えに行くころはもう雨が降り出しました．
朝あんなに晴れていたのに．
北陸の空はとにかく意地が悪いのです．
次女を乗せていったん屋内駐車場に移動します．
少し食べ物を買いたかったのですが雨に負けて幌をあげたくありませんから．
北陸の空はどうせ本気で降る気などないのです．
ロードスターを見つけてからかっているだけです．

フライドチキンやらマクドナルドやら買い込んでいるうちに雨は上がりました．
帰り道では次女とすっかり話し込みました．
ロードスターに二人で乗ると、
それは一対一になれる空間です．

派出所前の信号待ちで年配の巡査さんに声をかけられました．
「寒くないかね！」
ロードスターを見下ろして声をかけてくれる人は、
必ず優しい笑顔です．
「見ているほど寒くはないんですよ！」

あのおじさんにはぼく等がどう写ったでしょう？
寒いのにあんな車に乗ってなにやらうれしそうに話し込んでいる親子．
夕食の晩酌をしながら奥さんにそんな車の話でもしたことでしょうか？
そのうちどこかの取締りで
「あ、これはあの時見たのと同じ車じゃ！」
なんて思い出して、
「運転手さんよ、今日は晴れているから幌を下したら気持ちいいんじゃないかね？」
なんて「注意」していたりして．
晴れた日に幌をあげているロードスターを取り締まる、
なんて酔狂だよね．

それはひとつの小さなロードスターの幸せだったと思います．
自分が楽しいだけではなく、
人を微笑ませる光景になれるのが、
ロードスターというドラマだと思うのです．

ロードスターが人を幸せにすると言うことの
バリエーションです．
本当の意味はそんなものではありませんが．