
■「もう新紙幣など必要ない」が世界の常識
20年ぶりとなる新たな紙幣が発行されました。
中国あたりからは、なぜ日本はこの期に及んで新紙幣など発行するのかという声も聞こえてきます。
というのは、これだけキャッシュレスが進んだ時代に、もう新紙幣など必要ないというのが世界の常識なのです。
紙幣自体が発行部数を減らされ、最終的には消滅するのは時代の趨勢ですから。
そもそも新紙幣をなぜ発行するかといえば、主な目的は偽札防止のためです。
もちろんインフレや経済事情の悪化などで高額紙幣を発行しなければいけない場合もありますが、日本は幸いにもそうした危機はうまく乗り越えてきました。
ただ、紙幣は金貨銀貨などのコインと違って印刷物なので原価が非常に安く、それゆえに偽札をうまく作れれば大儲けができる。
ですから、昔から贋金(にせがね)づくりというのは知能犯罪の代表的なものでした。
ところで紙幣というと、まさにその「顔」である肖像が思い浮かびますよね。
なぜ紙幣には肖像がつきものなのか考えたことはありますか?
紙幣以前に使われていたコインにちなんだのではないかと思った方は、国際情勢通でもあり歴史に詳しい方ですね。
確かに皇帝や国王の横顔をデザインした金貨銀貨はローマの昔からあります。
しかしそれは西洋の話です。
中国はあまり金が産出しない国で、昔から金貨はなく、代表的なコインである銅銭には漢字が刻まれていました。
日本もその伝統を受け継いで、中国と違って世界最大級の金の産出国でもあった時代もあるのに、コインの肖像に天皇や将軍の横顔を使った例は一つもありません。
とにかく、肖像を硬貨も含めたお金に使うという伝統は日本にはなかったのです。
■「顔」なら贋物だと識別できる
ところが明治維新の後、日本はコインに龍や菊といったデザインを用いたにもかかわらす、紙幣には肖像を使うようになりました。
一体なぜでしょう。
コインと違って紙幣は印刷物ですから贋物が作りやすい。
では贋物防止の為にデザインを複雑にすれば良いかというと、決してそうではないのです。たとえばウロコがたくさんある龍の絵は確かに複雑ですが、贋物が作られると人間の目にはその違いがよくわからないのですね。
今でも間違い探しというパズルがありますが、人間の目はそれほど識別力が高くはないのです。
しかし肖像だけは違います。
人間の顔はあれだけ複雑な情報でありながら、ちょっとでも本物と違うとすぐに贋物だと識別できるのです。
これは脳の特性の問題なのですが、それに着目した人類は昔から紙幣に多く肖像を使ってきました。
日本が天皇の横顔を使ったコインなどを作らなかったのは、そんな卑しいものに神聖な天皇の顔を使うのは畏れ多いという感覚があったからです。
しかし、欧米先進国並みに紙幣を発行しようと日本が考えたとき、そうも言っていられないので肖像を使うようになりました。
■新紙幣発発行でキャッシュレスが加速する
それにしてもなぜ、21世紀にもなって新紙幣発行に踏み切ったのかといえば、長年培ってきた偽造防止のための印刷テクニックを継承発展させなければならない、と国が考えたのではないかと思います。
それがこのキャッシュレス時代に、あえて新紙幣発行に踏み切った理由でしょう。
ただし、このことが逆にキャッシュレスを推進する可能性もあります。
というのは、これまでキャッシュレスを拒否し紙幣を使ってきた店舗は、新紙幣に合わせて食券や駐車料金の券売機を変更しなければなりません。
これは結構費用がかかるんですね。
確かにそうしたものを生産しているメーカーは利益になるでしょうが、そんなことに費用をかけるならば、いっそのことキャッシュレスの端末にした方がいいと考える人々も出てくるでしょう。
ひょっとしたら国はそこまで考えて、あえて新紙幣発行に踏み切ったのかもしれません。
これはちょっと深読みかもしれませんが。
(PRESIDENT Online 2024.7.3 より)
ここからは私見だが、確かに時代はキャッシュレスへと進んでいるのは間違いない。
だが、キャッシュレスが大勢を占めるようになったとしても、システムや電源のシャットダウンなど、何かあった際にもリアルな現金ならいつでも使えると云う強みがある。
国が現金に価値を与えている限り、紙幣や貨幣の価値が無くなる事はない。
さて、今日から市場に出回り始めた新紙幣、私もまだ現ナマは見ていないが、近いうちにATMや買い物のお釣りなどで目にするのが、今から楽しみだ😊

Posted at 2024/07/03 12:40:30 | |
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