【成田空港の民間駐車場で起きた「9台盗難→9台発見」事件とは?】
成田空港の周辺には多くの民間駐車場があります。
1日数百円で利用できる無人のコインパーキング、駐車場~空港間をバス送迎してくれる駐車場や空港ターミナルでクルマの受け渡しを行う駐車場もあります。
2024年6月26日(水)、レクサス「RX」など9台が盗まれた事件は、成田空港周辺に複数の拠点を持つ『スーパーパーキング』のうち、「空港受け渡し店の返却事前準備店」にて発生しました。
26日午前0時半頃、その日お客さんに返却するクルマの準備を終えて、最後のスタッフが事務所を出たわずか10分後のことです。
窃盗犯が事務所のガラス窓を割って侵入し、厳重に保管してあったそれぞれの鍵を使ってレクサス「RX」やトヨタ「ハリアー」など、9台の高級車を3台ずつ3回にわけて盗んで行ったのです。
9台ものクルマはどのように盗まれたのでしょうか。
今回、被害を受けた成田空港の民間駐車場『スーパーパーキング』の担当者に話を伺いました。
「防犯カメラの映像を見てわかりましたが、外に向けた防犯カメラに偵察担当らしき2名が映っていました。
スタッフが事務所を出たことを確認して盗みに入ったようです。
お客様に返却するため準備していた約30台の中からレクサス『RX』5台、トヨタ『ハリアー』、トヨタ『ヴォクシー』、メルセデス・ベンツやBMWの合計9台。
価値が高いものから3回にわけて3台ずつ盗んでいったことがわかっています。
最初の3台はスタッフが事務所を出て10分後の午前0時40分頃。
次の3台はその約2時間後、最後の3台は30分後で9台全部が盗まれるまでの所要時間は3時間くらいでした。
トヨタ『プリウス』が先導する形で駐車場から出ていき、戻ってくるときには中に運転役の3名が乗っていたと思われます。
預かっていたお客様のクルマ以外に事務所に保管していた現金や会社のクレジットカード、なぜか領収書なども盗まれていました」
このような盗難被害だったようですが、盗難に気づいたときの様子やそれからの行動はどうしていたのでしょうか。
「朝6時前に出社したスタッフが盗まれたことに気づいて、すぐに110番通報しました。
7時頃まで実況見分を行い、盗まれたクルマの特徴などを報告しました。
その中には純正GPSがついたレクサス『RX』も数台あったので警察がGPSを追って探してくれるのではないかと期待したのですが...
発覚から6時間経過しても、特に警察のほうで動きがなく、この間に警察がやったことは被害届を文書化する程度でした。
警察には期待できないと思い自分たちで見つけ出そうと動き始めました。
帰って来たオーナーの皆様の協力を頂いて探したところ、レクサス『RX』3台のうち2台がGPSによって千葉県野田市内にあることがわかりました。
すぐに、成田からGPSが示したコインパーキングに行って2台を発見。
その後も周辺のコインパーキングで残りの1台を見つけました。
次の3台は盗まれた時間帯や戻ってきた時間などから逆算して大体の場所を考察し、成田空港周辺から深夜に30分以内で往復できる場所にしぼって探すことにしました」
【『スーパーパーキング』ってどんな場所?犯人はどんな人?】
今回の『スーパーパーキング』は、成田空港周辺から往復30分圏内となるとかなり近い場所です。
今回の盗難されたクルマを発見した場所との距離感について前出の担当者は次のように話しています。
「深夜に30分で往復できる距離で、なおかつコインパーキングがあるエリアを考えると、これは成田駅周辺じゃないかと。
成田駅周辺にはコインパーキングが30か所以上あるのですが、そこでナンバープレートの数字をもとに探したらまた3台が見つかりました。
スタッフはもちろん、スタッフの家族や友人なども協力して総勢20名以上でしらみつぶしに500か所ものコインパーキングを探しました。
そして、7台めは守谷駅近くのコインパーキングで発見されましたので、残りの2台も近くにあるとみて探して9台全部を守谷駅周辺で発見しました」
また発見されたクルマの状況や損傷については次のように話しています。
「ほとんどは大きなキズもなかったのですが、GPSやドラレコの配線が切られたりSDカードが抜かれたりというのは当然ですがありました。
これらはお客様の車両保険を一切使うことなく弊社の保険で補償させていただきます」
今回、無事に9台すべてを72時間で発見できたことは素晴らしいことですが、そこには窃盗団の中に不慣れな人物がいたことも関係しているといえます。
通常、クルマが盗まれると最初に純正GPSのユニットが破壊されますが、今回は破壊されていなかったクルマが2台あり、またドラレコが機能していたクルマもあって犯人たちの会話が1時間以上にわたって記録されていたようです。
そうしたこともふまえて、前出の担当者に犯人像を伺ってみました。
「最初に事務所に侵入してきたときの防犯カメラの映像は外国人らしき人物が映っており、発見されたクルマのドラレコに1時間半くらい犯人どうしの会話が残っていました。
それらはベトナム語でした。実行部隊(盗難車のドライバー)は3名と考えられます。
そのうちの1名はクルマの窃盗も運転も不慣れなようでどこかにぶつけたのでしょう、側面に擦った跡がありました。
コインパーキングでの駐車の仕方も枠からはみ出すなど慌てていたのかもしれませんが、駐車自体もかなり乱暴でヘタな停め方でした」
なお、大手メディアの報道によると『スーパーパーキング』の盗難事件があった3週間ほど前に、すぐ近くの大規模な民間駐車場でも10数台が盗まれる窃盗事件がありました。
10数台のうち3台がたまたま別件で発見されたようですが、あとはまだ見つかってないとのこと。
その時の犯人と同一犯であることも予想されます。
7月6日に『スーパーパーキング』ではこれまで同社の駐車場を利用した人達に向けて、「盗難事件に関するお詫びと対策に関しまして」というタイトルで文書を発信しています。
筆者も2023年6月に同社のコインパーキング(無人)を利用した際にLINE登録をしていたことでこの文書が届きました。
今後の対策として以下の8つを挙げています。
1:キーの保管方法の見直し
2: 契約備会社の一部見直し
3:防犯カメラの増設
4:保険契約内容の見直し
5:車両整理方法の見直し
6:当社判断のもとハンドルロックの設置
7: 社判断とお客様同意のもとGPSの設置
8:対策の呼びかけ
この数か月、自動車窃盗の方法としてGAMEBOYなどの最新ツールでトヨタ「ランドクルーザー」やトヨタ「アルファード」などの人気車種を狙いうちすることが顕著です。
しかし初心者を含む複数の窃盗犯が10台前後のクルマを短時間で一気に盗むやり方も増加傾向にあるといえます。
(加藤久美子)
((2024.7.16 くるまのニュース より))
ここからは私見である。
今回の車窃盗事件では、窃盗被害に遭った民間駐車場(スーパーパーキング)従業員自らが、盗まれたクルマ所有者の協力を得て、積極的に探し廻り、見事探し当て解決した事件であった。
この事件の顛末を聞いて、普通に出て来る感想は、被害者側(スーパーパーキング)は自分事として、必死に動き回りクルマを見つけ出そうとするが、届けを受けた警察では、しょせんは他人事であり、何らかの網に引っ掛かれば対処はするが、被害者側のような積極的な動きはしない…正確に言えば、他にも事件や事故が有り過ぎて、被害者側のような動きは出来ない(人手不足)…と言うトコロだろうか。
それにしても、殺人事件や死亡事故ほどの“重要事件”では無くとも、高級車9台もの窃盗事件の対処としては、余りにもお粗末過ぎるんじゃないだろうか?
今の日本ではクルマが盗まれても警察はアテにならないのか…