
フォルクスワーゲン トゥアレグ ハイブリッド について
試乗レポートがありましたので掲載しました。
2010/04/26 掲載
レポート:清水 和夫
以下引用
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新型トゥアレグとはどんなクルマか?
今世紀に入り、アメリカで高収益をあげているSUVビジネスに進出したいVWとポルシェは2002年に
VW トゥアレグとポルシェ カイエンをデビューさせた。両社ともSUVを開発するのは初めてのこと。
技術にこだわりながらもコストを下げたいと考えた両社は開発をポルシェが担当し、部品調達は
VWが担当するという共同作業で開発が進められていた。
そのかいあって見事に両社のSUVは成功した。アメリカや中国だけではなく速度無制限のアウトバーン
を持つドイツでも高性能なSUVは人気となったのである。トゥアレグとカイエンは燃費よりもパフォーマンス
が重視されていたので、パワフルなガソリンとディーゼルに人気が集まっていた。アメリカではV8やV6、
あるいは究極のSUVとして6リッターW12気筒エンジンも搭載されていた。しかもトゥアレグは欧州でV10
ディーゼルを最高峰のエンジンとして市販していた。V10ディーゼルやW12ガソリンエンジンはVWの
ブランドイメージを高めるのに十分な働きを演じていたのだ。
新型トゥアレグは全長が41mm長くなったが、全高が17mm低くなったおかげで全体のプロポーションは
ずいぶんスタイリッシュになった。ホイールベースは41mm延長され、キャビンの余裕も増している。
デザイン的にも先代モデルのような“いかにもSUV”という雰囲気ではなく、都会に似合うハイセンスな
SUVに変身したのは大きな変化だ。このあたりはシロッコ、ゴルフ、ポロに引き続き採用された新たな
デザインアイコンが効いている。
ボディはまっさらの新開発で、大幅に軽量化されている。例えばV6・FSIエンジンを積むモデルでは
2035kgと、ライバルと比べても軽い。VWのエンジニアはトゥアレグのために260km/hで走行していても
開閉できるスライディングルーフを開発しているが、これも新型トゥアレグの車体剛性が高いので、
開口部が大きいサンルーフが実用化できたのである。
インテリアは内装の素材にこだわったおかげで、よりステイタスのある高級車に進化している。
オフロードを本籍とするトゥアレグは、イギリスのレンジローバーのような気品さえ醸し出すようになった
のだ。ドライバー周りのメーター類は機能的に配置され、インフォテイメント(インフォメーションと
エンターテイメント機能が一体になった)によって、カーナビやオーディオ機能は一体化されている。
もちろんユーザーインターフェースは良好で、走行中でも使いやすく配慮されている
【 トゥアレグ ハイブリッド 】
全長×全幅×全高= 4795mm×1940mm×1709mm
ホイールベース=2893mm
車両重量=2240kg 駆動方式=4WD
エンジン=3.0リッター V型6気筒 DOHC直噴
スーパーチャージャー
最高出力=245kW(333ps)/ 5500-6500rpm
最大トルク=440Nm(44.9kg-m)/ 3000-5250rpm
システム最大出力/トルク= 380ps/580Nm
バッテリー= ニッケル水素(1.7kWh)
トランスミッション=8速AT
価格=7万3800ユーロ
WP:2010年3月25日 ※すべて欧州参考値
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V6TSIにマイルドハイブリッド搭載
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話は変わるが、スバルの高級SUVトライベッカはアメリカと欧州で売られているが、3.6リッターガソリン
エンジンのフラット6(ボクサーエンジン)を搭載しているので燃費があまりよくない。例えば、厳しくCO2
税を課している北欧では、トライベッカの価格はなんと1000万円を超えているという。重量と燃費に
課税されるらしい。これではどんなに気持ちよく走れるSUVを開発しても売れないとスバルは頭を抱える。
SUVメーカーは必死になって燃費削減に努めている。その解決法はディーゼルとガソリン・ハイブリッドだ。
空気抵抗が大きく車両が重いSUVの燃費を向上することは技術的に難しいが、ディーゼルやハイブリッド
をフルに活用すればなんとか世間が納得するまでCO2を削減することは可能だ。二代目トゥアレグはどん
な環境技術を持ち込んだのだろうか。
VWトゥアレグの試乗会はイタリアの中世の都市としてしられるフィレンツエ。あの発明家であり、偉大な
画家であったレオナルド・ダヴィンチが生まれた街だ。試乗会開催の挨拶では、先代のトゥアレグよりも
40%も燃費(CO2)を削減することに成功した、というアナウンスが印象的だった。
採用されたパワートレーンは2つのガソリンエンジンと2つのディーゼルエンジン。ガソリンエンジンは
VWオリジナルの3.6リッターV6自然吸気のFSIで280psを絞り出す。しかし、今回の新型トゥアレグで
もっとも注目したいのはハイブリッドだ。エンジンはアウディ製の3リッターV6ツイン・スーパーチャージャー
TSIを使い、これに46psの電気モーターを組み合わせたマイルドハイブリッド・システムである。
このハイブリッドシステムで面白いのはギアボックスで、なんとアイシン製8速トルコンATが起用されて
いる。レクサスLS460に採用されたものを改良したタイプだ。ディーゼルエンジンもアウディ製の3リッター
と4.2リッターのTDI。前者はV6で550Nm、後者はV8で800Nmのトルクを発生する。
ハイブリッドでないモデルにも8速トルコンATが使われている。
ここで詳しく説明したいのはハイブリッドだ。いったいどんな技術で開発されたのだろうか。ハイブリッドは
アメリカを中心に販売する計画なのでキャンピングカーなどを牽引するニーズを満たさないといけない。
そこでVWはグループの中から440Nmのトルクを発揮するアウディ製3リッターV6TSIンジンを選んだ。
このエンジンは単体でアウディA6やS4に採用されている高性能エンジンだ。電気モーターを合わせると
最高出力380ps、最大トルク580Nmとなる。バッテリーはサンヨー製のニッケル水素で288ボルトの電圧
で約1.7kW/hの出力を持つ。日本の部品メーカーが頑張っている様子がよく分かる。
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トルコンATにクラッチを組み合わせた
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さっそくハイブリッドから試乗することにしよう。トルコンATにモーターを1つ組み合わせたマイルドハイ
ブリッドである点はメルセデスS400ハイブリッドに似ているが、トゥアレグはトルコンATにクラッチも備え
ているので、エンジンを止めた状態でも電気自動車として走れる。つまりEVモードが可能なのだ。
1.7kWのバッテリーからは50km/hで約2km走る電気エネルギーが供給される。クラッチのメリットは
走行中でもアクセルを戻すとエンジンが止まるコースティング(滑走)機能を実現したことだ。VWは
この機能を今のところハイブリッドだけに採用しているが、ツインクラッチのDSGでも実現することは
可能であると述べていた。
EVモードのスイッチを押さなくても交差点でエンジンが止まり、再びスタートしてもゆっくりとスロットルを
踏めば電気だけで走行が可能。しかし、スロットルの操作量が多めになるとエンジンが自動的に始動
する。逆にエンジンで走行中にスロットルを床まで踏み込むと一時的に電気モーターがパワーブースト
として機能し、最大のトルクと出力で加速することが可能だ。0-100km/hの加速性能は6.8秒なので、
大きな図体を考えると俊敏な速さだと評価できるだろう。
気になるのはクラッチの断続が続いたとき、どうしてもぎこちなくなる時があること。トルコンATだけなら
、もっとスムーズな加速が得られたかもしれない。だが、クラッチがあるからEVモードが可能なわけで、
悩ましい選択だろう。
トゥアレグ・ハイブリッドは最高出力380psを絞り出し、最高速度は240km/hに達する。欧州の公表燃費
は市街地と郊外を合わせて8.2L/100km(12.2km/L)とベースモデルのV6自然吸気よりも優れている。
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V8ディーゼルは800Nm!
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今回のトゥアレグの最高級モデルはガソリン・ハイブリッドの7万3800ユーロだ。VWにとっては初めての
ハイブリッドなので、敬意を表して最高級モデルとなった。一方、トゥアレグのエントリーモデルにはVW
オリジナルのV6が積まれる。その出力は先代と同じ280psだが、燃費性能は9.9L/100km(約10km/L )
と頑張っている。
その間に3リッターV6と4.2リッターV8のTDIが用意されている。ガソリンハイブリッドは静かで力強くて
文句はほとんどないが、V8TDIと8速トルコンATの組み合わせに乗ってしまうと、800Nmのトルクがどれ
ほど魅力的なのか、言葉では言い表しにくいほどだ。静かでトルクフルでまるで電気自動車に乗っている
ような錯覚を覚えてしまう。0-100km/h加速はなんと5.8秒と、スポーツカーなみの速さで駆け抜ける。
トゥアレグのV8ディーゼルが合致する排ガス規制はユーロV対応なので日米市場では市販できないが、
3リッターV6TDIなら充分市販可能だ。V6TDIでも550Nmのトルクを絞りだしているのでハイブリッド以上
の加速感が味わえるはずだ。
国内導入はガソリン・ハイブリッドとガソリンV6FSIが導入されそうだが、メルセデスのブルーテックに
対抗して3リッターV6TDIという選択肢も充分にアリではないだろうか。
最後にトゥアレグはオフロード走行に特化した四輪駆動システム「4×MOTION(フォーバイモーション)」
をオプションで用意している。標準システムは「4MOTION(フォーモーション)」と呼び差別化しているが、
本格的なオフロード走行のニーズにはESPを駆使して走破性を高めたこの駆動システムを推奨している。
新型トゥアレグの国内発売は来年の春頃と言われているがディーゼルの導入は未定である。
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新型トゥアレグは2035kgと大幅に軽量化されているのですね!
又ライバルと比べても軽い<、トゥアレグのために260km/hで走行していても開閉できるスライディング
ルーフを開発したんですね。
ハイブリットは日本部品メーカーが頑張っている様子がわかりました。
トゥアレグ・ハイブリッドは最高出力380ps、最高速度は240km/hに達し、燃費も改善されているようで
楽しみですね。
オフロード走行に特化した四輪駆動システム「4×MOTION(フォーバイモーション)」
をオプションで用意しているようですが、これも興味深々ですね。
日本にはやく上陸して試乗してみたいですね!