治験前と治験後のくろ透け号の状況を整理し、DPF関連の技術論文と照らし合わせて導いた結論を記しておきます。大変重要な話であります。
●不調の原因
現状のくろ透け号はまずまず落ち着いた。原因は過去のRMCの噴霧で長期間に渡りオイルがインマニ内部に飛び散り、オイルをたっぷり含んだ煤隗が燃焼室へ繰り返し流れ込み、油分がそのままDPFへ廻ったものと思われる。
また、原因は定かではないが恐らく同じ現象で登坂加速中に白煙を派手に吐いた時もあり、DPFに相当量の油分が回っている。
●技術資料では
関連情報リンクの堀井らの研究によると「ディーゼル機関の排気系におけるアッシュの特性」Fig.14 Formation process of Ashより、油のままDPFへ廻ったものと、燃焼室で燃えてDPFへ廻ったものは成分が異なり前者はアッシュ化しないと推察できる。
・通常燃焼状態では燃焼室内でエンジンオイル中のS,Ca,P,ZnはSO2、CaO、ZnO、PO4へ化学変化し排出され、酸化触媒で酸素を受け取り、DPF内でCaSO4、Ca3(PO4)2、ZnSO4、Zn3(PO4)2の4大アッシュに成長する。
・このことより、DPFの差圧はアッシュ詰まりとアッシュ以外の未燃性オイル由来成分や燃料由来成分の詰まりに分けて考える事が合理的である。
●治験では
このため、石膏溶解液(アルカリ性)でDPFの石膏溶解DPF透過法を治験するも、そもそも石膏が存在せず、こぉさんと同様の緑色→青色の金属イオン水溶液の液相を確認した。
・石膏溶解剤が弱アルカリ性である事、その後大量の水道水によるすすぎを施したことにより、完全硬質カーボン化まで進んでいない未燃性オイル由来成分や燃料由来成分を若干量ではあるが石鹸的に洗い流せたと考えるのが合理的だ。これにより、現状の安定状態まで改善した。
●同様なリスク
インマニのオイル交じりの大量の煤をRMCでいじる事の危険性、またピストンリングの動きが悪化し起こるオイル上がり、バルブステムシールの劣化によるオイル下がり、大量のブローバイガスの発生による油煙類は、アッシュ以外のDPF閉塞に繋がる原因となる可能性がある事をスカDオーナーは理解して、車両管理をしなければならない。
●誤認識
埼玉55はDPFに流れ込んだオイルはDPF再生の熱で燃焼し、燃え残りは灰分としてアッシュ化するものと考えていましたが、そのような変化はしないとの結論に至りました。
・おそらくは、未燃性オイル由来成分の炭化水素の軽質分がDPF再生の低酸素状態の高温にさらされ、炭焼きの原理で硬質カーボンへだんだんと変質していくのではないかと考える。
・DPFの煤は高温で火がついて燃えているのではなく、高温で電子の流れで酸素を受け取り酸化し二酸化炭素の気相へ化学変化しているのであって、DPFでぼうぼうと炎を上げて燃焼するような現象が、起こればDPFは溶損する。
・DPF洗浄も業者によってはオイル廻りをしたDPFの洗浄はしないらしく、ぐれんふぃでぃっくさんの実験においても未燃性オイル由来成分の除去は成功しておらず、今のところ対策の見えない状況であり、氏の研究に期待する。
●セルフ整備の参考
クリーンディーゼルエンジン車両へRMCを噴霧する場合は、吸気系のオイリーな煤の大半を除去した上で、手の届かない比較的油分の少ない吸気ポートや吸気バルブへの効果を期待して施工するべきであり、油分の多いEGR導入パイプや吸気シャッターバルブの煤を落とす目的で使用すべきではないと考える。
●煤ほじりでの検証結果
油分の少ない煤での閉塞例(周りの閉塞はすごいが、パイプの開口部は閉塞していない)、煤ホジリで生還できる
・一度インマニ交換後5000キロ程度走行。その後RMC★大量噴霧により油分が飛び散ったインマニの例、生還は困難。写真はEGR導入パイプ~吸気ポート~吸気バルブ付近までオイルが飛び散り、ここからDPF再生が悪化して行く事となった。ここまでくると同然DPFにオイル廻りしてしまう。
・DSCをしたからRMCでその後維持したいという考えは自体は良いのだが、インマニ内部にオイルが溜まっていると思いとは別の方向へ結果が出てしまう事があり、難しいのでよく考えてほしい。
●参考論文
自動車技術会論文集 20174180
「ディーゼル機関の排気系におけるアッシュの特性」
Fig.14 Formation process of Ashより
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Posted at
2022/10/23 06:53:37