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埼玉55のブログ一覧

2023年07月08日 イイね!

2023.7.8 世界初の可変式COOLD-EGR制限ぺら誕生

2023.7.8 世界初の可変式COOLD-EGR制限ぺら誕生デミスターの調整が難しすぎて、一旦寄り道をします。


EGR制限プレートやEGR制限しないプレートというものがあります。COOLD-EGRの流量を固定で絞って、出力特性を変えてしまうものです。発想はいいのですが、EGRを絞ることはスカDエンジンのフィーリングを損ない、燃費を悪化させるディメリットがあります。

とはいっても改良前SHエンジンでは出足のもっさり感に効果がありますので、装着されている方も多いでしょう。

●EGR制御の変更
ここで改良前SHエンジンと改良後のCOOLD-EGRの扱いの違いを把握しておきましょう。

●マツダ技報 No.34(2017)原文ママ
>常用域での加速シーンでは、アクセル操作に対する加速度の遅れや、狙い以上の加速度が発生する場合があります。この意図しない加速度応答のために、踏み足しや踏み戻しなどの余計な操作を強いられている。そこで期待通りの加速度応答を得る「人間中心の技術」として、過渡時のトルクコントロールを定常走行の噴射量主体から空気量主体へと変更し、以下の開発を進めた。

・空気量の初期応答性向上

・空気量のきめ細やかなコントロール

加速度の反応遅れは,気筒ごとの応答性がある噴射制御に対して反応時定数が大きく,反応が遅い過給システムに起因している。そこで,過給システムによる反応遅れをHP-EGRシステムの制御により補った。HP-EGRシステムは過給システムよりも経路が短い。また,EGRバルブを絞ることで,吸気酸素濃度と過給器へ流入する排気エネルギーを同時にすばやく増加させることができる。

この特性を利用し,アクセル操作に応じたEGR制御をすることで過給初期の空気量の応答性を向上させた。

●何が書いてあるのか
街乗りで常用回転で流しているときに、ちょいと加速したいと思ってアクセルを踏んでももたついたり、踏みすぎてアクセルをもどしたり、イマイチドライバビリティがよろしくないので可変式の「EGR制限プレート」を付けて改善しました。・・・というお話です。

・実際にはEGRバルブを開けるシーンで、一回絞ってターボを回し、インマニにいくEGR量を減らして、酸素濃度の高い吸気を燃焼室に送り込んで、燃噴は必要以上に増やさないが、応答性をよくするという事です。

・改良前は燃料噴射に頼って、ガン噴きしているのに、EGRバルブを開けるのでEGRがインマニに逃げてターボが回らず、酸欠燃焼でPMばかり増えて発生トルクが中々上がらないというジレンマに陥ります。

・制限プレートはEGRを絞ってターボを回し、酸素濃度の高い吸気を燃焼室に送り込むところまではできていますが、常時固定でEGRを絞っていますので、出力特性が付け変わり、ギクシャクするのと、定速走行に移って大量EGRが欲しいときにも固定で絞っているので、街乗りでは大幅に燃費が悪化します。

・NOxの環境問題もデフォ値と比べると理論的には大幅に悪化しますので、車検に通るからいいやというものでは根本的な解決になっていません。本当は改良型と同じようにECUをいじらないとコントロールできるものでは無いのでしょう。

●Φ24~26

制限プレートのΦでいうと24が抜群にアクセルの付きがよい。しかし燃費は街中で7㌔/Lと最悪です。固体差はありますが、レスポンスと燃費を見ながら調整するのも手です。

・Φ24 452mm2 △78mm2
・Φ25 490mm2 △40mm2
・Φ26 530mm2 基準値

Φ24ではΦ26と比べて78mm2も開口面積が絞られており、ここを秒速数m~十数mのEGRが流れていきますので、直径1mmの違いが流用の大きな違いであることが解ります。

●可変式COOLD-EGR制限ぺら

ぺらは0.0?mm(記憶があいまいで手元にあった)の極薄板で、約30mm2の遮蔽面積を持ち、発進時はCOOLD-EGRの流量をその分制限しております。


エンジン回転数が上がり、流量が増えると極薄板なので風に押されてだんだんと倒れていきます。これにより、遮蔽面積が減少し通常のEGR流量が確保されます。

・板厚(倒れる回転数)と遮蔽面積の調整で、燃費を損なわずアクセルの付き具合を改良型SHエンジン風に味付けすることができ、NOx問題も改良型に準拠している考えなので発生しません。


・板厚はシックネスゲージ(すきまゲージ)が熱帯雨林で800円弱で売っておりますのでそこから材取りをします。

●テスト走行
想定通りアクセルの付きも感じ燃費も街乗りで12キロ/L、郊外で17。比装着時と変わりませんでした。

・もう少しアクセルの付きを強めたいのと、62キロ・5速・13500rpmからの加速がまだもたつきますので、遮蔽面積や板厚でセッティングを追い込んでいきたいと思います。

●注意点

写真は動作確認用に薄銅テープでフランジに貼り付けておりますが、危険ですので真似をしない事。シックネスゲージに丸穴を開け、EGRパイプのスタッドボルトにはめるようにしてください。

・金属疲労がありますので、適切な間隔で交換が必要となります。

●まとめ
この小さなぺら1枚で素晴らしいフィーリングをもたらすことが可能です。その前にEGR-クーラー、潜望鏡、吸気シャッターバルブあたりのPM、インタークーラーアウターホースのオイルなど、基本のお掃除をしないと効果は体感できません。
Posted at 2023/07/09 00:34:08 | コメント(4) | トラックバック(0) | 日記
2023年06月30日 イイね!

燃料添加剤は両刃の剣なのか?

恐ろしい話をします。

豊田中央研究所の江崎氏の論文を読んでいてふと思ったことですが、燃料添加剤でインジェクターや燃焼室に堆積している油溶性デポジットや水溶性デポジットを落とすと、水と二酸化炭素に分解されるわけではないので、そのままDPFに行ってDPFを詰まらせるのではないか?

デポジットは大別して水溶性の硫酸塩とリン酸塩などのどうやっても燃えない物と、油溶性で燃料由来のカーボンデポジット系でDPFへ飛んで行って燃えるかもしれないものがあります。

・燃料由来のカーボンデポジットは、カチカチに固着した酸化物でPEA系などのF1などでベチャベチャにふやかして吹き飛ばして落とす動画がいっぱいありますね。

・ガソリン車はDPFがないのでこれでいいのでしょうが、ディーゼル車はDPFに引っ掛かり、燃焼室で燃えずに吹き飛ばされるベチャベチャな物が、DPFの中で本当にどれだけ燃えるのかは非常に疑問があります。

それでも、ほっとくと燃焼室にデポジットが堆積しインジェクターが詰まるしどうすればいいのかの答えは無いのかもです。誰か知っていたら教えて下さい。

かなり難読ですが、この論文はよく読まれた方がいいかと存じます。インジェクターや直噴ディーゼルエンジンの話ではないので問題点をイコールで捉える事はできませんが、参考になるかと存じます。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcombsj/56/178/56_308/_pdf/-char/en
Posted at 2023/06/30 20:02:39 | コメント(8) | トラックバック(0) | 日記
2023年06月26日 イイね!

2023.6.24 世界初のデミスター装着車誕生

とりあえず装着

●予定構造
・アウターホースのベゼル部分の段にナガオの茶こしをセットし、デミスターがインマニに吸い込まれないようにする。

・アウターホース内、茶こしの下側(インタークーラー側)に全面メッシュの円筒袋を設置
→茶こしの底にピアノ線(ギターの3弦くらい)でメッシュの円筒袋をぶら下げる

・この袋の中に、デミスターのフィルターを仕込む

・この袋の側面に、デミスターがキャッチしたオイルを吸い取るショップタオルを仕込む
→円筒型のデミスターフィルターの筒外周をショップタオルで1周巻く

●まずは、ベゼルの段の部分に茶こしを仕込むところから取り掛かりました。


①ナガオ 茶こし 急須用 18-8ステンレス 73号 日本製
・縁の最大外寸φ72mm アミ部の最大外寸φ66mm
・熱帯雨林495円

②ナガオ 茶こし 急須用 18-8ステンレス 70号 日本製
・縁の最大外寸φ69mm アミ部の最大外寸φ62mm
・熱帯雨林495円

茶こしの縁金の最大外寸①φ72mm、②φ69mmを用意していましたが、大きすぎて全く入りません。

仕方がないので少し小さい最大外寸③φ68mm、④φ65mmを再度手配しました。

③eve-mode 18-8 ステンレス製 茶こし 60-30 サイズ60mm 深さ30mm
・縁の最大外寸φ68mm アミ部の最大外寸φ60mm
・40メッシュ(1インチあたり40個の穴があるという意味)
・熱帯雨林504円

④eve-mode 18-8 ステンレス製 茶こし 58-30 サイズ58mm 深さ30mm
・縁の最大外寸φ65mm アミ部の最大外寸φ58mm
・熱帯雨林504円

●嵌めてみると
③φ68mmは途中まで入りますが、アミ部の最大径φ60mmがベゼルの段のカドにあたっているのか段のところに着座しません。

④φ65mmは少しきつめながら着座しました。これでベゼルが閉まるとOKなのですが、ベゼルが閉まりません。

・では天地をひっくり返して嵌めてみますと、両方とも入ります。ベゼルが回りきちんと閉まります。アミが吸気シャッターバルブ側に向いて3センチほど出っぱっているので、バタフライに接触する可能性があります。ISV降ろして確認すると解りますが、時間の都合上今日はパスです。

・くつ下の表裏をひっくり返すように、上に向いているアミを強く押して下へ反転させ、ISVバタフライとの接触を回避しておきました。

●吸気エアー中のオイリー感
デミスター本体を設置する前に、茶こしだけ設置して40キロほど走行しました。茶こしを外すと油臭く、アミ部分がオイルで少しベタついている。ショップタオルで拭きとると黄色いオイルが少量だがタオルに付着した。このことより夏場でも普通にブローバイに乗ってオイルは飛んでいる事がよく解ります。

●全面メッシュの円筒袋
安いだけあり、メッシュの裁断面処理をしておらず、糸くずがドンドンほどけてきます。一度洗って手でつまみ、大きな糸くずを取り除きます。ナイロンなので100円ライターでメッシュの裁断面をあぶって確実にほつれ止めをしました。

⑤サムコス メッシュバッグ 丸底 ナイロン製
・サムコス メッシュバッグ 丸底 折り畳み式 ナイロン収納ポーチ アウトドア旅行 化粧品など小物収納(5枚セット ブラック)
・熱帯雨林675円




・メッシュ袋と茶こしの裏返したもののつなぎ方は、ギターの弦をやめてゼムクリップで吊り下げるようにしました。

●メッシュ袋の中にデミスターのフィルターを仕込む
フィルターははじめから円筒に巻かれておりますが、太すぎるのでほどいて細くします。程よい太さにして付属の結束バンドで軽く締めておきます。

単純にメッシュの袋に入れておしまい。今回は設置テストですので油吸い取り用のショップタオルは巻かずにメッシュ袋に入れました

・今回フィルター金網をキッチンハサミで切って、適当な太さを試行錯誤しました。切ったときに極細ステンレスワイヤーの切れ端が大量に発生しますので、取り残しがあると茶こしで止めれるとは思いますが、インマニに吸い込まれる危険性がありますので確実に取り除いておきます。

●試走
翌日、栃木の林道に持ち込みました。丸一日350キロほど走って、油煙がとれているのかはまだ解りませんが、吸気圧損について気になる反応がありました。

・アイドリング時のISV開度%とHOT-EGR開度%は足して11%台。

 設置前は3.1%+8.2%=11.3%

 設置後は3.5%+7.5%=11.0%

エアーの圧損が増えたので、ECUがISV開度を3.1から0.4%増やし3.5とし、その分HOT-EGRを絞るようになっているのか?理論は不明ですがこのような変化がありました。一過性の物なのか?もっと増えて来るのか?しばらく観察です。

・3000rpmを超えると圧損を感じる。林道でレッドゾーンまで回してみましたが、3000rpmから吸気が追い付かず、4000rpmまで回るのに時間がかかります。
油温が120℃で熱ダレとなっていたこともありますがピュンピュン号が息苦しそうなのでフィルター密度の調整が必要です。

※オイルを100℃時動粘度17(W-50台)にブレンドしたのも影響しています。スカDのトルクとパワーではこの粘度では吹け上がりません。街中の話ではなくヒルクライムの話です。オイル動粘度と吸気圧損の両方でしょうね。

●今後の対策まとめ
・フィルターを結束バンドで強く縛りすぎて隙間空間がつぶれているのかもしれません。
・圧損対策でフィルターのL寸をW21㎝→W12.7㎝と半減させ高回転の具合を確認する。
・メッシュ袋がφ13㎝×20㎝でだぶつくので、手縫いでφ7~8㎝×L14㎝くらいに寸を詰める。
・捕集体(フィルター金網、メッシュ袋、茶こしの金網)に絡みついたオイルミストがその後どうなっていくのか?長距離走って観察をする。

① 全く捕れていない
② 理論通りエアーで吹き飛ばされてインマニに廻る
③ 捕集体で黒マヨのごとくかたまりやがて詰まる
④ 捕集体で凝集し飽和したものがエンジン停止時に液滴下しインタークーラーへ降りて行く

オイルキャッチでは歯が立たない夏場のオイルミスト捕集に効果があればうれしい。
Posted at 2023/06/26 19:17:46 | コメント(4) | トラックバック(0) | 日記
2023年06月20日 イイね!

デミスターを試作してみよう(材料調達編)

先週栃木でのオフ会のあと、日光近隣の林道の激坂登りを30分ほどしました。

・油温は115℃~120℃、インタークーラーホース内にオイルがたっぷり溜まっており、たぶんDPFにも相当回っていると思われます。これはあかんやろうという事でデミスターを作る準備を進めます。

・デミスターは産業用の気液(オイル)分離装置で、非常に大型のプラントなどでよく使われております。理論は簡単でそこそこ捕集でき、オイルキャッチタンクに比べて利点が多いことから試作してみます。

●オイルキャチタンク
・夏にとれない(温度依存型)
・黄水が多くメンテナンスが面倒くさい
・凍結が心配で北海道では冬季使えない
・タンクの設置場所が限られる
・圧損が気になる人もいる

●デミスター
・季節温度は関係ない
・オイルは取るが黄水は取らない
・凍結はしない(オイルだけなので)
・インタークーラーアウターホース内に設置
・ブローバイ排出時の圧損は無い
・捕集能力はメッシュフィルター密度次第
・吸気圧損はメッシュフィルター密度次第

●予定構造

・アウターホースのベゼル部分の段にナガオの茶こしをセットし、デミスターがインマニに吸い込まれないようにする。
・アウターホース内、茶こしの下側(インタークーラー側)に全面メッシュの円筒袋を設置
 →茶こしの底にピアノ線(ギターの3弦くらい)でメッシュの円筒袋をぶら下げる
・この袋の中に、デミスターのフィルターを仕込む

●ナガオ 茶こし 急須用 18-8ステンレス 73号 日本製
・縁の最大外寸φ72mm アミ部の最大外寸φ66mm
・熱帯雨林495円


●ナガオ 茶こし 急須用 18-8ステンレス 70号 日本製
・縁の最大外寸φ69mm アミ部の最大外寸φ62mm
・熱帯雨林495円

●サムコス メッシュバッグ 丸底 ナイロン製
・サムコス メッシュバッグ 丸底 折り畳み式 ナイロン収納ポーチ アウトドア旅行 化粧品など小物収納(5枚セット ブラック)
・熱帯雨林675円


●フィルター
ねずみ駆除 金網 ネズミ駆除 ネズミ捕り ステンレスネット ソフト コウモリ撃退グッズ ネズミ 侵入防止 ナメクジの侵入を防ぐ (21cmx6m) ※網目は約3mm
・熱帯雨林1880円

・肝はフィルターですが、本物はとても買えませんので織りが本物と類似した、関西金網さんのSK-192同等品のような金網がありましたのでこれにしました。

●流速計算した結果 アウターホースφ80mmでは
800rpm 2.93m/s
1500rpm 5.47m/s
1750rpm 6.37m/s
2000rpm 7.30m/s
3000rpm 10.95m/s
4000rpm 14.60m/s
φ80mmと言うのはこれくらいかな?想像です。

●流体力学チェック
熱帯雨林で材料を全てポチってから、ふと圧損の計算ぐらいしておこうと思い立ち、ウキウキが一瞬で消える事に。

・関西金網さんのHPで念のため流体力学上の最大流速Umaxとミスト密度Ptをチェックしましたが、アウターホース内の流速が早すぎて計算上はほぼ捕集できないと出ました。アイドリングの800rpmでさえ厳しいレベルでした。

え~!

・圧損⊿Pをチェックするとフィルター厚100mmの時、流速10m/sで1000Paをやや超える程度の圧損があり、フィルター厚210mmを予定しておりますが、インマニ内圧から考えますと誤差の範囲です。

・買ってしまってから流体力学チェックをしたのがまずかった。大反省。デミスターの適正用途としては流速1~2m/sで2μm以上の粒径ミストの捕集効果が最も高くなり、最大流速を超えると慣性衝突で捕獲した油分が風速で再度吹き飛ばされるとあり、大きな容積の換気塔の中でゆったり流しながら捕集するのに向いている事が伺えます。

まずいぞ!これは

・設置する前からフィルター設計変更を検討する羽目になりましたが、良さげな対案を思いつきました。それより茶こし入れてベゼルがきちんと締まるのか?の方が心配ですね。
Posted at 2023/06/20 12:56:53 | コメント(5) | トラックバック(0) | 日記
2023年06月14日 イイね!

粘度指数向上剤

アッシュフリーのオイルがあればいいなといういいトスを頂きましたので、DPFはアッシュフリーでも堆積物が溜まる話をしておきたいと思います。

粘度指数向上剤はエンジンオイルに欠かせませんが、反面恐ろしい面もあります。今回の話は、皆さんが知らない粘度指数向上剤について考えて行きます。

粘度指数向上剤と聞いて感の良い方は、ははぁ~ん、ポリマーせん断の話しだと考えるとおもいますが、

 ブッブーです

●ディーゼル用エンジンオイルは大体ですが
基油(78.5%)+粘度指数向上剤(8%)+各種添加剤(13.5%)
各種添加剤=清浄剤(5%)+分散剤(6%)+極圧剤(1.5%)+酸化防止剤(1%)
※1991年日本石油中央技術研究所井上清氏のレポートを編集

その他微量ながら泡立ち防止、防錆、流動点降下剤、FM剤などが配合される

現代のオイルではVHVIなど基油の性能が上がり、また、エンジンの進化によりエンジンオイルに求められる性能も格段に厳しくなっており、添加剤の役割が大きくなっています。

●粘度指数向上剤の配合量
基油はVHVIで5W-30くらいのDL-1もしくはC3(SP)をお使いの方が多いと思います。DL-1とかC3では硫酸灰分に目が行きがちですが、今までの検証でスカDエンジンにおいては、DPFを詰まらせる原因物質の主犯は未燃焼オイル由来成分で、本当のアッシュ量は意外に少なそうだという事が解かってきたと思います。

・普通W-30だと動粘度は10.5くらい。ではVHVIの動粘度は?世界の50%位を占めているといわれるSKルブリカンツ(韓国産VHVI)のYUBASEという製品がVHVIで、国内産のエンジンオイルのVHVIはほぼほぼこれかと思います。


・9種類の内、どれかを使ってVHVIオイルを作るのですが、YUBASEの4を使って動粘度10.5のDL-1を作るとすると、単純計算上、18.5%ほど粘度指数向上剤を使用する事となります。
※YUBASEの4:4.2cSt、粘度指数向上剤:600cStで計算
※粘度指数向上剤は色々ありますので、オイル屋さんが何を使っているのかは解りませんが、想像で600cStの物を使ったとしました。

★VHVI(81.5%)+粘度指数向上剤(18.5%)・・・これに他の添加剤が添加されている感じでしょうか。
※計算はTemperamentLube製の簡易版で、ワコーズのブレンディングチャートとは微妙な違いがありそうです。

●高温特性 ここからが大切な情報
VHVI基油は燃焼室等で高温にさらされますとほぼ蒸発するようですが、粘度指数向上剤は7%がドロっとした粘着状の炭化物となるとのことです。これが、非常に燃えにくい炭化物でEGRクーラーやDPF閉塞を招く主犯であり、DPF閉塞のアッシュは共犯くらいの位置づけでしょうか。


・ふぃでぃっくさんのインジェクターの軸が茶色の粘性の高いものが付着していたとあり、燃料由来成分説を唱えましたが、粘度指数向上剤かもしれませんね。高分子の炭化水素の成れの果てですので、もしこちらだとフューエルワンなどPEA系かもしれません。

・VHVI基油の高粘度オイルW40とかW50は、YUBASEの8J位だと期待しますが、いずれにせよ、W30より大量に粘度指数向上剤が使用され、その内7%程度がDPFやEGRクーラーにとって危険な物質であるとの認識は必要となります。

・実際のDPFにまわる量は微々たるもので、長い時間を掛けて蓄積されるものなので、即どうすべきかの対策は無く、当面オイルキャッチで対策するとか定期的にDPFクリーナーで強制燃焼を行うのが正攻法でしょう。

・シェルルブリカンツの話が傑作で「粘度指数向上剤の添加量の少ないオイルを選べ」とあるがユーザーにそれが解るすべはありません。

・こういう事を踏まえてオイルの錬金術でほぼノンポリマーオイルの実験をしましたがお金がかかりすぎるので残念ながら継続できません。研究としては成功、コスト的に成立しないという事です。

●PM中のDPFを閉塞させる要因物質

シェルルブリカンツの資料を見ますと、硫酸ミストとアッシュはPM時点では分かれていますがDPF内では反応してCaSO4となって行きます。

①CaSO4  :38%
②スス・カーボン:41%(普通のススと粘度指数向上剤の死骸)
③未燃焼潤滑油 :25%(通称黒マヨ)
④未燃焼燃料  : 7%

これは燃焼により発生したPMの成分で、DPFに入っていきますが、DPF再生を経て燃焼したり変質していきますので、DPFの堆積物とイコールにはなりませんので、くれぐれも誤解しないように。

・①はどうやっても燃えません。②のススは燃焼します。②のカーボンの一部は粘度指数向上剤の死骸で燃えません。

・③と④もDPF再生で蒸発したり一部が燃焼するでしょうが、黒マヨから水分や油分の軽質分が抜けてドンドン燃えにくい成分が残り、堆積して行くものと思われます。

・粘度指数向上剤の死骸と黒マヨの死骸は早い内ならDPFクリーナーの強制燃焼である程度燃焼できると考えております。

・DPF再生促進剤などがありますが、成分中のセリウムやFeは低温で酸化触媒の活性を行うだけで②のススしか燃えませんので大した意味は無く、DPF再生時にエンジンを3速2250rpmでDPF温度を650℃以上に上げる方がよろしいかと思います。あまり問題となったという情報はありませんがセリウムとFeは使用量に応じてDPF内に堆積するようです。

●まとめ
良く知られたアッシュ以外にもDPFに堆積していく物質は多いので、そこだけに注意をせず、全体を通してオイルの銘柄やオイル管理、オイルミスト対策が必要という事です。

・ちなみに低アッシュのDL-1は清浄剤濃度が低いのと塩基価が低いため、汚れやスラッジが溜まりやすく、また、エンジン保護性もオイルとしては低いのでロングドレンはできません。

■参考情報
スタンダード石油(YUBASE)
https://www.ssoh.jp/mobil/baseoil/group3/

シェル ルブリカンツ ジャパン(粘度指数向上剤)
https://shell-lubes.co.jp/lubes-grease/lubes-technology/tech-crt/1128/
Posted at 2023/06/14 23:43:06 | コメント(5) | トラックバック(0) | エンジンオイル | 日記

プロフィール

「ディーゼルエンジンは初めての場合濃度濃いめが良いかもです
500ml位とか」
何シテル?   06/13 18:29
埼玉55です。よろしくお願いします。とにかく長距離ドライブするのが好きです。あとCX-5で未踏破の県は沖縄県のみ。 CX-5をKEからKFと乗り継いでいま...
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