
地価調査公表 豪雨被災した郡山市の住宅地が下落率最も高く
09月20日 18時20分
土地取引の目安となることしの地価調査の結果が公表され、3年前の台風19号の豪雨で被災した郡山市の住宅地の下落率がマイナス8.7%になり、全国の全ての土地の用途の調査地点で最も高くなりました。
「都道府県地価調査」は、ことし7月1日時点で各都道府県が行い、県内では、原発事故に伴う帰還困難区域の地点を除く57市町村の527地点で実施されました。
その結果、林地を除いたすべての土地の用途で、地価の平均変動率が前の年を0.5%下回り、3年連続でマイナスとなりました。
用途別の1平方メートルあたりの平均の土地の価格は、住宅地は2万3500円、商業地は4万5900円、工業地は1万3300円でした。
また、県内で下落率が最も高かったのは、3年前の台風19号の豪雨で浸水の被害があった郡山市十貫河原の住宅地でマイナス8.7%となり、需要が回復しないことから、全国の全ての土地の用途の調査地点で下落率が最も高くなりました。
同様に台風19号の豪雨で被災した「いわき市平中平窪西高砂」も下落率がマイナス7.8パーセントと県内で2番目に高くなり、全国の全ての土地の用途の調査地点で4番目に高くなりました。
一方、上昇率が最も高くなったのは、住宅地では「郡山市神明町」でJR郡山駅から近く戸建て住宅の需要が高いことなどから、1平方メートルあたり13万円と去年を6.6%上回り、地価は10年連続で最も高くなりました。
商業地で上昇率が最も高くなったのは「郡山市麓山2丁目」で、周辺の住宅地の地価の上昇を受けて去年を6.7%上回りました。
商業地の地価の最高地点は38年連続の「郡山市中町」で、24万5000円でした。
地価調査の下落率が全国で最も大きかった郡山市十貫河原は、3年前の台風19号の豪雨で大きな被害が出ました。
阿武隈川と谷田川に挟まれた場所で、川のはんらんで、場所によってはおよそ2メートルほど浸水し、多くの住宅が水につかりました。
この地区では、川の堤防を強化する工事などが進められていて、住民は安心して暮らせるよう早期の完了を期待していますが、すべて完了するまでにあと2年かかる見通しです。
この地区の町内会の降矢正会長によると、地区を離れる住民が相次ぎ、被害前にあったおよそ300世帯は200あまりに減少し、空き家や空き地が目立つようになったということです。
福島県不動産鑑定士協会の佐藤栄一副会長は、郡山市十貫河原の住宅地の地価の下落率が高くなった要因について次のように分析しています。
佐藤さんは「郡山の地点については過去からたびたび水害に見舞われた地域で低迷が続いていて、具体的な取り引きがなかなか出てこない。阿武隈川の川底の掘削や堤防の整備が積極的に進められているので、川の近くに住宅を求める人の安心材料になると思うが、理論的に大丈夫だとなっても心理的にも大丈夫だと多くの方が納得できるような状況になってこないと不動産市場の回復にはつながりにくいかもしれない」と話していました。
その上で、全体の見通しについては、「特に東日本大震災のあとで急速に県内の人口が少なくなり、郡部では過疎化が進んだことが地価の形成に若干マイナスの影響を与えていると言える。資産価値の高い、主要な都市部の中心商業地のようなところについては、投資マネー的なものが県内の資産性の高い商業地に流入してくる可能性もある。新型コロナでの影響で地価が下落したようなところについては、かなり割安感も生じていることもあって、そういったところは商業地の地価が上向く可能性もある」と話しています。
Posted at 2022/09/21 12:40:12 | |
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