月着陸船搭載のロケット打ち上げへ 世界初“民間”で月目指す
2022年12月11日 14時30分
世界初の民間による月面着陸を目指す日本企業の月着陸船が、アメリカのロケットで日本時間の11日夕方、打ち上げられます。月探査をめぐる国家間の競争や民間企業による宇宙の商業利用拡大の動きが見られる中で、月を舞台にしたビジネスの布石となるか注目されます。
民間による月面着陸を目指しているのは、東京のベンチャー企業「ispace」です。
自社で開発した無人の月着陸船を、アメリカの民間企業「スペースX」のロケットに搭載し、日本時間の11日午後4時38分にフロリダ州の発射場から打ち上げます。
月着陸船は、打ち上げからおよそ47分後にロケットから切り離されたあと、地球から38万キロ離れた月に向かって航行。
来年4月末に月への着陸に挑む予定で、成功すれば世界で初めて民間だけで月面着陸を成し遂げることになります。
打ち上げは、ロケットの点検作業などのため11日までずれ込み、当初の計画からおよそ1か月遅れとなりました。
月着陸船には、JAXA=宇宙航空研究開発機構などが開発した小型ロボットなどが搭載され、月面探査をはじめ、さまざまな技術の実証が行われる予定です。
月は近年、水の存在を示す研究論文が相次いで発表されるなど、人類が宇宙での活動領域を広げるうえで拠点となる場所に位置づけられ、アメリカが進める国際的月探査プロジェクト「アルテミス計画」など国家間の競争が激化しています。
これに伴って、民間企業の間でも地球周辺にとどまっていた宇宙の商業利用を拡大しようとする動きが見られ、今回の打ち上げが月を舞台にした新たなビジネスの布石となるか注目されます。
UAEが開発した探査車も搭載
今回の着陸船には中東、UAE=アラブ首長国連邦が開発した探査車も搭載されています。
UAE=アラブ首長国連邦の宇宙センターでは、2019年から月面で稼働する探査車の開発を行ってきました。
開発された探査車は、最大都市ドバイの発展に貢献した前首長の名にちなんで「ラシド」と名付けられました。
最大の特徴は、月までの輸送にかかる費用を少なくしようと、軽い素材を組み合わせて重さを10キロに抑えたことです。
探査車の前後には高性能のカメラが取り付けられ、2週間、月面の様子を詳しく記録するということです。
宇宙開発に力を入れるUAE政府は、2117年までに火星に居住地を建設することを目標に掲げていて、その一環として2021年には火星の大気の観測などを行う探査機「HOPE」が火星の周回軌道に到達しました。
打ち上げ前、探査車の開発責任者ハマド・マルズーキ氏は、「探査車は軽くするため、何度も設計をやり直してようやく完成しました。私たちにとっては子どものような存在です。探査車が問題なく稼働し、月のさらなる解明に貢献することを願っています」と話していました。
Posted at 2022/12/11 19:08:38 | |
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