
とうとう突き止めました。
JTM60がJCM800のクローンであることを。
ズバリ、プリアンプは4210と同じ回路デス。やば!!
JCM800は1981年に登場しますが、翌年の1982年にスプリットチャンネルに進化したコンボアンプ、4210(50W)が登場します。
タイトル写真のアンプです。
その後、JCM800/2205・2210のヘッドアンプが続きます。
マイケル・シェンカーがスタジオ録音で使ったのは4210コンボです。
このアンプ、実にJTM60にそっくりなんです。
これのフロントパネルを見て下さい。
〇クリーンチャンネル
JCM800/4210 JTM60
・ボリューム ・ボリューム
・トレブル ・トレブル
・ベース ・ミドル
・ベース
〇ブーストチャンネル
・ゲイン ・ゲイン
・プリ・ボリューム ・プリ・ボリューム
・トレブル ・トレブル
・ミドル ・ミドル
・ベース ・ベース
〇マスター
・リバーブ・レベル ・FXレベル
・マスター・ボリューム ・リバーブ・レベル1
・リバーブレベル2
・マスターボリューム
〇リアパネル
・D.I出力レベル ・プレゼンス
JTM60の方が、つまみはやや増えていますが、チャンネル構成は同じで、ドライブチャンネルの呼称はどちらも”ブースト・チャンネル”と言います。
機能面では、4210にはプレゼンスは付いていなく、ヘッドの2205,2210,100wコンボの4211、などにはプレゼンスの調節つまみが付いています。
バックパネルには、D.I出力端子と、そのレベルつまみがあり、JTM60には無い代わりにFXレベル(エフェクトループ・レベル)がフロントパネルに付いています。
4210は5本のECC83を搭載しています。
プリ管は3本で、リバーブに1本、位相反転に1本の5本構成。
JTM60は、4本のECC83を搭載していて、プリ管に3本、位相反転に1本です。位相反転:フェイズインバーターの事です。リバーブはICで増幅です。
※プリ管3本の構成は、共に1段目:クリーン、2段目:ドライブ、3段目:EQ増幅です。
4210にはエフェクトループ端子、いわゆるセンド・リターンが付いています。
JTM60にも当然付いています。
スプリングリバーブが4210にJTM60にも付いていますが、4210にはリバーブ用に真空管が1本使われています。クリーンとブースト各チャンネルのリバーブレベルはMIXで1個の調整のノブだけです。JTM60はリバーブはICチップで、リバーブ・コントロールは、独立2chのデュアルリバーブ・コントロールです。
あとは、4210のクリーンチャンネルはEQはベースとトレブル2つですが、JTM60はミドルを入れて3つになっています。
つまり、JCM800/4210をモディファイしたのが、JTM60と言う事です。(出力も60wに拡大)
さて、プリアンプの構成はどちらも1段目真空管増幅回路:クリーンch、2段目真空管増幅回路:ブーストchで、4個のダイオードで構成される「対象ダイオードクリップ」回路が組み込まれています。ここがブーストを担っています。
TS系オーバードライブは、非対称ダイオードクリップに対し、BOSSディストーション系は対称ダイオードクリップだそうです。
なので、JCM800/2205・2210、4210は、ディストーション系のダイオードクリップ回路を持っていると言う事です。
このクリップ回路と同じものが(数値・個数が一致)JTM60の2段目真空管の増幅回路に入っており、なのでゲイン+プリ・ボリュームの構成は、まったくJCM800/4210と同じと言う事です。ゲインつまみ側でブーストしてるんですね。ゲイン5以上から効いてきます。
JCM800/4210デモ動画
私も、JTM60が、1995年リリースだったので、JCM900シリーズの廉価グレードで、JCM900の歪段を削ったもんだろうと想像していたのですが、違いました。
JCM800スプリットチャネルシリーズの設計をベースに、かなりのバージョンアップをしています。
中身はJCM800ですが、改良が施されたモデルと言えるでしょう。
ただ、改悪な設計があります。
シャーシーです。
スピーカーをド真ん中に設置するために、真空管をシャーシの下向きに設置ではなく、横向きに設置してます。
しかも、コンボの躯体のサイズが、JCM800/4010とくらべて、JTM612は、ほぼ同じサイズです。
奥行きも同じ250mmくらい。その幅の中にEL34を横にして設置ですから、いままで下に下げてたものを横に挿すのですから、変わったシャーシになりました。
これが原因で、長時間の使用で真空管の熱がシャーシ内を加熱し部品を破損させる故障が起きるようです。
アルミ板でヒートシンクを付けると良いらしいです。
さて、最後の検証。
スピーカーです。
JTM60のスピーカーは「マーシャルG12ヘリテイジ」がストックで付いています。このスピーカーはセレッション製ですがマーシャルがオーダーしたOEM品で70Wです。セレッションの過去及び現行ライナップには無いものです。
しかし、JCM800コンボは、1986年ごろからセレッションG12M-70を搭載しています。70Wスピーカーで、ロー、ミッドが強いスピーカーでした。
当初JCM800/4010にはG12-65が搭載されていましたが、80年代半ばに変更されています。G12-65はフラットでちょっとハイがキツいややトレブリーなスピーカーで乾いたサウンドです。マーシャルG12ヘリテイジが、G12M-70の可能性があります。
JCM800/4210(G12M-70スピーカー)の動画
で、JTM60もプレゼンスをフル10にすると、上記のようなサウンドです。
私もJTM60をストックのスピーカーに戻しました。

以下、スピーカー見比べ
左がG12ヘリテイジ(70W)、右がG12-65(65W)

左がG12-65(65W)、右がVintage30(60W)

左がG12-65(65W)、右がG12T-75(75W)

後は、この中にG12M-70を手に入れて検証です。
最近、JCM800/4010を手に入れるか悩んでいる時に調べたんですよ。
買うならJTM60は売るしかない。
しかし、明らかに4010よりも色々てんこ盛りで、手放したら後悔しないか?
と思い、調べてたら突き止めちゃいました、JTM60が皮を変えたJCM800であることを。
4010なら、JCM800と言うブランドがあって、2204のコンボ版、これがあればJTM60はおさらばでいいじゃん、とも思うんですが、爆音で無いと歪まないしリバーブもFXループも無く機能性はめっちゃ悪く、ただヴィンテージ枠と言う箔はあるのですが。
迷いますね。
でも、JTM60がJCM800であることを知った今となっては、これで十分かなと思います。
迷いますね。
歴代マーシャルアンプの回路図が見たい方は↓のURLへ
(リンクでは無いのでコピペで)
https://www-drtube-com.translate.goog/marshall-silver-jubilee/?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc
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Posted at
2023/06/07 20:53:14