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2015年07月09日

映画「ハゲタカ」はアカマ自動車を通して何を言いたいのか

映画「ハゲタカ」はアカマ自動車を通して何を言いたいのか 鷲津政彦を演じる大森南朋が最後のほうで「見に行きますよ、資本主義の焼野原を」というセリフを言っていますが、数年前にこの映画を初めて見た時にハっとしました。

資本主義というのは実にご都合のいいもので、とにかく延々と成長してけるような錯覚に陥れられるような感覚があります。まるで平等な競争空間でフェアな戦いが出来るような妄想も。

資本主義社会の中で、重要なファクターになるのは株式会社ですが、その株式の大本には「この会社の株を買って、この会社を応援したい」というような概念があります。

それが、新経済主義的なものから金融工学なる言葉が生み出され、金が金を生む世の中が20世紀後半に生み出されます。もはや、この部分において企業の理念や製品に共感をして応援をしたい、サポートした、そんなタニマチ的な発想は微塵もありません。友好的買収や敵対的買収などと言う言葉がM&AやTOBだLBOだという単語と共に出てきたわけですが、緩やかだった成長曲線だった時代とは異なり、二次曲線的な経済成長を狙う今の世の中において、人の感情や義理という青臭い発想はどこにも存在しなくなりつつあります。少なくとも、マクロの世界では。

映画ハゲタカではイマイチ不調の自動車会社「アカマ自動車」を中国の政府系ファンドがバックにいる、玉山鉄二率いる新興ファンド「ブルーウォールファンド」がTOBによる買収を仕掛けるところから話は始まります。

このような例と全く同じものはありませんが、株の持ち合いや支援という話では日産がルノーの傘下に入っている例があります。

意外と一般的に知られていませんが、日産は完璧にルノーの子会社であり、もう日本企業ではないのが事実上の現実です。アライアンス、なんて言葉を聞くとまるでお互いが同じ立場にいるように見えますが、実際問題としてルノーは日産の株44%を保有、日産はルノーの株を15%ほど持っていますが、この15%の株はフランスの法律により議決権のない株式とされており、この特例的な事案を呑んでいることからも、日産の立場が完全なる子会社であることが解ります(ルノーの時価総額は日産の時価総額以下に転落しているので、日産が食い物にされている感が非常に強いのも現状)。

さて、ハゲタカでは日本の基幹産業を守れ!とばかりに経営陣が鷲津ファンドに援護を求め、鷲津ファンドがホワイトナイトとして真っ向勝負を挑むわけです。徹底的に金融工学上のトップを狙い続けた鷲津ですから、さぁどれだけ人間の心を捨て去った戦いをするのか?と思いきや・・・というのが話のあらすじですが、映画の中では柴田恭平演じる企業再生請負人の青臭いセリフや、最後の最後で解る劉一華の本当の気持ちが実によく描かれています。

人の気持ちは金やモノでは変えられない、だが話の中心にある車という物体はモノの代表格である。

この矛盾と言うか、簡単には言い表せない現実を非常に上手に使っているのがこの話だと思います。もちろん、現実の企業買収は全く違うテンションですし、そんな劇的なものでもなく、泥臭く意外と地味なもののようですが、この映画は個人的には良い映画だと思っています。

たった30年やそこらである意味資本主義をゴール近くまで持って行ってしまった人間の欲望ですが、車もそれと同時にほぼパーフェクトな答えを得そうな段階まで来ている感じがします。

しかし、車はただのものじゃない。夢や希望を載せて来たんだとボクは思っています。例えば、マツダは新しいロードスターで異例の「モデルチェンジしたら遅くなった」という快挙を成し遂げていますが、このような一例からも人間の本質的な楽しさや、欲望への追及へのアンチテーゼを考えさせられるのが最近のクルマ事情ではないでしょうか?

この先、一体どんな主義がまかり通り、どんな金銭感覚が育成され、どういう道徳や倫理観、そして欲望の行き先が示されるのか、全く解らないのがここ最近の世の中ですが、車も一体どう変わるのか・・・

夢を追うべきなのか、迷う夜にふと考えるのでした。
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Posted at 2015/07/09 03:36:00

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この記事へのコメント

2015年7月9日 13:28
優れた入試問題の読解みたいで面白かったですw
うんと大雑把に言えば、やはり夢は追いかけるべきじゃないでしょうかね。金融工学にせよ資本主義の原理にせよ、所詮は人間の行いで、その人間は夢に基づく欲望で動いているわけですから。
ただしそれを実現する手段が必要なので、それ自体に夢中になると夢と手段が逆転したり、何が夢だかわからなくなりますが、そのあたりにの事情にこの手の物語は着想しているんでしょうね。
「異例の「モデルチェンジしたら遅くなった」という快挙」って言い方に笑いました!そんな形を取ることになった夢もあったわけですね。夢を抱く私たち自身も物の一つであることも確かなので、要は手に取ったどんな形の奥に無限の夢を心に描けるか、というところでしょうか。
コメントへの返答
2015年7月9日 14:48
コメント毎度です♪

たまにふと、ぼんやりとこんなことを考えてしまいます。
夢に基づく欲望、まさにそれが本質だと思います。何もかもが、結局はそこに行きつくはずですよね。
結局、欲望が先へ先へと進む過程において、一体その行動力の原点がなんであったか忘れ去られたり、屈折させていたり、一体何を目指しているのか解らなくなる・・・そんなところに着眼している映画だと思っています。

正直、加速タイムが落ちるという事には結構勇気が必要だったと思います。でも、この車の楽しさって何だったかな?って原点に立ち戻った時、絶対加速性でない事は間違いのない事で、よくぞやってくれました!と思います。
夢を純粋に解釈できるってのも、才能なんでしょうねぇ。
2015年7月9日 13:55
原作を読んだことがあります.ホテル再生の話の方でしたけど.
夢,半ば無理と思っても抱え続けてるといつのまにか追っていたりしますね.
マツダの快挙,大賛成です.モデルチェンジするからには,速くならないといけない,0-100が短くならないといけない,燃費が良くならないといけないなんてのは悪しきエビデンシャリズム(数値的な証拠にたよった無責任主義)だと思います.商売なのである程度はしょうがないですが,各社一台くらいはエビデンス無視のクルマ作りをやっていてほしいですね.ロードスター,買わなきゃなぁ.
コメントへの返答
2015年7月9日 14:52
コメント毎度です♪

真山仁の小説の方ですね。なかなかよく出来ていると思います。

結局、夢とか希望は棄てました、なんて言っていても何かしらの欲望で人間は突き動かされていますから、死ぬまで抱えるもんなんだと思います。

これまでのモデルチェンジでただ一つでも絶対評価軸を捨てた車は無かったはずですし、そう考えるとマツダの決断は今後の車造りにいい影響を与えてほしいなぁと思います。
S660よりもNDの方が、その点購買意欲をそそります。
2015年7月9日 15:49
夢を抱かずにはいられない一方で(必要以上の)欲は捨てなければと思います。
人生は選択の連続ですが、今こそ人類は新たな岐路に立たされているんではと考えたり。
生きていくのに本当に必要な物・事象・概念は何なんだろう、と。


邦画は全くと言っていいほど観ませんが、koalaさんの感想を読んで借りてみようと思いました。
コメントへの返答
2015年7月10日 1:06
コメント毎度です♪
身の丈とか色々ありますが、尽きない欲望をどこかでコントロールしないといけませんね。今の物品にそのコントロールを失わせる雰囲気があるのが困りますが、笑。

よく考えて、なんで生きているのかよく考えないといけませんよね、今こそ。

是非見てみてください、娯楽作品ですがよく出来てますよ。
2015年7月9日 17:31
このドラマはNHKの放映時の方が面白かったですね。そこでは町工場の経営立て直しなど色々な題材が出てきましたので、こちらも見ると面白いと思います。

日本のメーカーは海外とのコスト競争に走ったあまり自分を見失ったSONYのような例が多いですが、自動車業界に関しては(色々問題はあれ)無借金で世界一を争うトヨタや、唯我独尊の道を行くHONDAや、車の本質追究を他社とは違うアプローチで進めるマツダなど、まだ救いがある方だと思います。家電のような実用一点張りではなくて、どこかに人の心の琴線に触れるものがあるからでしょうね。冷蔵庫やエアコンは思い出に残りませんが、ペットと一緒で家族の思い出に残る事もありますものね。

大きく、広く、快適に、燃費も良く…といったある意味迷路にはまらなかったのも、ロードスターという「走る愉しみ」を優先させた「乗り物」を目指したからなのでしょうね。今月号の「ENGINE」誌でもベスト100の堂々一位に踊り出ていました。こちらも読んでみてはいかがでしょうか。
コメントへの返答
2015年7月10日 1:12
コメントありがとうございます♪
ドラマの時の大森南朋の方が、役柄的には面白かったですが、映画も個人的には好きです。映画は途中でリーマンがあったせいで一気に脚本を変えたのがデカい気がします。

車はまさに日本の生命線の一つですし、その自覚が各メーカーにあるのも感じられますから、まだ日本はこの分野では勝負出来うると思います。
車は家電化しつつありますが、それでも何となく感情移入しやすい物品である気がしますし、家に次いでデカい買い物であるわけで、ここで日本が世界のリーディングをするのは素晴らしい事だと思います。

何でも欲望に全部載せ!!!みたいな車が跋扈するなか、ロードスターが提示したコンセプトはこれからの持続性ある車社会を考えると必ず必要なモノだと思います。
エンジン、最近買ってないなぁ・・・見てみます♪
2015年7月9日 23:13
資本主義が進化していくほどに、至上命題である収益を上げるための手段としてのクルマ作り、数が売れる、利益の出るクルマ作り最優先という考えにますます支配される気がしています.ただいくら論理的に経済活動を行っても、それに人間の感情が合致するとは限らないのでは?とも思います.

BMW motorradのチーフデザイナー曰く、「これからのプレミアムはメカニカルであること」とのこと.またクリス・ハリス曰く、「(エンスー向けの)クルマはそのうちハイエンドオーディオや機械式時計と同じ流れになる」とのコメントなどもなるほどと思います.各社がクラシックカー再生ビジネスに手を出しているのもこの流れなのかなぁと.

「安い広い便利楽チン」とか「他よりデカイ威張れる速い」的な人間の欲望ベースのクルマが主流であっても、「面白い気持ちいい幸せだ感動する」的な感情、感動ベースのクルマ作りが成り立つ世の中であって欲しいし、自分はそういうクルマを積極的に選びたい、と思います.
コメントへの返答
2015年7月10日 14:32
コメント毎度です♪
結局、資本主義は先へ進むごとに効率化と利益率の最大化と競争力の強化が進むわけで、それは人間の欲しいものや欲望を満たすものとは合致しない、むしろ欲望をコントロールしようとまでする製品が出かねない、実は持続性が全くなくなるものになる可能性がある、危ういものだと思います。

なるほど、100円のデジタルで最低限の仕事を済ませるか、100万円の時計で自分の位置づけや満足度を満たすか、二分化されるのはクルマも同じかもしれませんね。中間層に居る自分の行き先が困りますが、笑。

車の面白さはただの移動手段でない事だと思います。移動手段であれば、それこそ今持っているクラウンHVは最高に近いものです。しかし、これに乗っていて感じるアンビバレントな感情は、Z4MやRS4で解消される・・・まさにこれこそが、車選びの面白さなのです。
楽しい車に乗りましょう!
2015年8月13日 12:07
こんにちは @ブルネロと申します。
初めて コメントさせていただきます。

本稿、興味深くとても好きな記事です。 少し前の記事ですが、改めてじっくりと読ませていただきました。 答えはひと其々、心の中にあるのでしょうかね・・・ 皆様のコメントを含め、何度か読み返してみました。

私自身は、現実を踏まえて、信ずる理想を可能な限り実行できたら、何ら悔いは無いとも思っています。
・・・もう、旧い考え方で駄目かもです。(笑)

引き続き、貴blog 楽しみにさせていただきます。
また、残暑厳しいおり、どうぞご自愛下さいませ。

それでは、失礼致します。
コメントへの返答
2015年8月13日 12:38
コメントありがとうございます。

たまにふと、こんなことを考えつつ、車を選んだりもするのですが、皆様人それぞれが色々な思いや意見を持っていることを確認出来ると安心します。ここにコメントをして下さる方々は、個々の価値観を堅固にお持ちなので素晴らしいと思います。

許される範囲で、思った時に自分の考えで楽しむというのは大事なことだと思います。そこに妥協し過ぎると後悔しか残らないと思い、出来る限りやってます、笑。

ブルネロさんのクルマも多分もうこの先新車では出てこない類の車だと思います。ボクも楽しみに見させて頂きます。

くれぐれもお互いオーバーヒートに気を付けていきましょう。では。

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「阪急百貨店。通路が広い。関西方面はやはり何か違いがある。大好き。」
何シテル?   07/24 10:57
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