
フォードとの対決の前の話なわけですが、思った以上に重たい内容でした。
エンツォと言えば、北の皇帝とも呼ばれ、自社関係者からはコメンダトーレ(司令官)と呼ばれ(呼ばせた?)、公にあまり出て来ずコメントは荘厳なので、そういうイメージでいたのですが、いい意味でそれを裏切るキャラクターのエンツォが描かれています。
冒頭、エンツォが押し掛けして運転するのはプジョー403ですが、これ本当なんですかね。ただ、オルシや他の貴族階級であろう人々がランチアなどに乗り、エンツォは労働者階級出身である為にプジョーというのが設定としてあるなら面白いです。
ランチアに対してフィアットだとアカラサマだから、抵抗して敢えてのフランス車で自らのプライドと出目のアンビバレントな感情をぼやかす・・・
エンツォの表向きと裏向きの情景は非常に緻密に描かれていて、しかしながらそれがイタリアがどうしても背負ってしまうカルマとも連鎖していて、みているとかなり重たいです。特に夫婦喧嘩というか、夫婦の在り方の極致みたいなものが実に重い。
そして、その重みから生まれたレースカーは凄まじいものだし、なんだかストラダーレはエンツォにとっては刺身のツマみたいな扱いにさえ見える、その差。
最終的にフェラーリのファンはストラダーレでなく、レースカーに乗らざるを得ない、というのをよく聞きますが、なるほどな、、、と。
ストラダーレの役目って、結局その幻影を垣間見る為の造影装置みたいなもんなんだろうなぁと思ったりします。まぁ、レースカーのフェラーリ乗った事ないけど・・・乗った人がそういうからそうなんだろうなぁと。
まぁでもそれでいいんだろうなぁと思います。あんな狂気に公道で乗るのはごめんです、疑似体験で十分です、笑。
この映画、メカニズムの話とか、あと細かい部分の描写はあんまりなくて、ほんとカルマの応酬みたいな感じで、そこにはいまだ色濃く残る貴族階級と一般人の差とか、男性と女性の在り方とか。
いずれにせよ、自動車界のカリスマの一人を独特の視点とこれまであまり無い時期の切り取りは、ミモノじゃないかな、と思います。是非。
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2024/07/07 22:01:09