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2017年04月27日 イイね!

最終仕様のリセッティングとセッティングの考え方について5

最終仕様のリセッティングとセッティングの考え方について5こんにちは。

先日からちまちまセッティングしていた訳ですが車検の為に現在入庫中です。
その絡みもありとりあえず暫定で特に危険な部分を修正して暫定VQを作成しておきました。



なんとなくECUセッティングと聞くとやたらに実走やシャシダイで回しているイメージがあるかもしれませんが実際に時間が掛かるのは理論上のセッティングと、その時のセッティングを進めるうえでの根拠固め、そして各シチュエーションのログ取りです。

ある程度セッティングの手法が固まってしまえば実際に使用する燃料マップや点火時期マップは割とサックリと作成できてしまったりするものです。
理想としては美しいマップを書きたい気持ちはやっぱりあるのですが、目標とするセッティングの根拠に合わせるために理論値上のマップから頂点や谷が変化します。

実際に使用するタービンやブーストコントローラーの設定に合わせて燃料を立ち上げたり、立ち上げた燃料に合わせて点火時期を進めていくなどで変化する訳ですね。
勿論ノッキングがでないからといって、無暗矢鱈に点火時期を進めれば良いかというとそうでもなく、特に負圧領域~街乗り領域において、ギリギリまで点火時期を詰めすぎるとギシシャクとした車両になりがちです。


ちなみに私の場合の前提は

安定性:アイドルなどが安定していること
負荷領域の変更:ハイブースト部分を切り捨て、その分街乗りと実用ピークブースト付近の拡大
特性:ピックアップトルク重視しつつ中回転~高回転まで綺麗に回す
目標ブースト:常用1k ピーク1.2k(マップ上は1.4k程度)
パワー:トルク重視ですがそれなりに狙った数値を入れています

という感じですのでノーマルカムで、頑張って回しましょうな仕様です。
上記の理由で中間の谷を作らないようにする為NVCSは早めにスポイルして安定したA/Fと点火時期で推移できるようにしています。

比較的ハイブースト可能なタービンを載せている割に目標が低いのは私のエンジンがメタルの1.5mm入れているにもかかわらず圧縮比9.2~9.3と高いためです。(故にハイブーストにすると一気にノッキングレベルが跳ね上がります)
もし今後NEO6エンジンでさらにハイコンプなターボにしたいって方が居ましたら、ぜひ燃焼室の加工をオススメしたいですね。
前回エンジン作成で出来なかった部分でやっておけばよかったと思うのはオイルポンプとバルブスプリングのWPCショットでしょうか?
バルブのMOS2ショットも気になりますがステムシールからのオイルの下がりとかどうなんでしょうね??

そうそう、カム周りにもショット入れたいななんて思いますがその時はハイカムに変えることがあるかも?なんて感じで見送ってしまったメニューでした。

と、話が逸れましたがナローなノーマルカムでNVCSも3850でスポイルしてしまいますので回転軸に対する点火時期のピークはその辺りの回転でして、その先は立ち上がったブーストに合わせて燃料も立ち上げていく感じです。
純正を超えるブースト域では11後半位から11ジャスト程度で安定して、特に負荷の高い部分で10.8前後のA/Fを取るようにして、そこを超えた部分はフェイルがてらに10.5(ぎりぎり黒煙出ない程度のリッチ燃焼です)まで吹き込みます。
点火時期は0.8k程度で24~25度前後、1k付近で20度前後をとれるようにしてありますが、フェイル部分は15度付近です。
点火時期に関してはあまり公開してしまうとプロショップから苦情が来そうな気もしないではないですが、あんまり遅らせてしまっても超リッチ&遅い点火時期で触媒溶かすのもアレなので一応の目安という事で。


緊急マップ的なデータの話をしたのでついでに軽く触れておきますが
おおよそオクタンを主成分とした一般的なガソリンの過濃可燃限界はA/F8.0程度。
逆に希薄可燃限界はA/F20程度と言われています。
急激なアクセルオフなどの場面ではA/Fが2程度リッチ方向に振れる事はよくあることですので残留未燃焼ガスの過剰な発生要因にもなります。
燃料を多く噴いていながら排気温度が高い場合はその辺りも加味してやると落ち着くことが多いです。


随分と前説が長くなってしまいましたが取り急ぎ作成したVQマップはこんな感じ。


今回は数値そのものも掲載していますがVQ特性は本当に車両の作り方によって個体差が出るものです。
私が繰り返し安易な吸気系の変更に警鐘を鳴らしているのはこれが原因ですが、調整箇所のほぼ全域で増量方向…つまり、目標A/Fに対して薄かったという事です。

グラフ特性が似ているから大丈夫。なんて都合の良い声も聞きますが
STDデータに対して今回作成したVQデータを重ねたのがこちら。
<差分グラフ>

正直グラフだけみて違いが判ると思えないレベルです。

勿論VQを1から作成する場合、近似値データをもとに増分率の計算ができたりしますのでデータは作りやすいのですがサクション形状やリターン位置、クーラー配管の取り回しなどでかなり変わる部分ですのでしっかりと自分の車両のVQデータを合わせる必要があります。

今回VQの比較データを色分けしてみましたが電圧相対と一緒にしたのがこちら
<電圧相対表>

色分けした分類ですが

オレンジ部分は始動時クランキングと発進時のクラッチミートで読まれる部分。
黄色部分がアイドルから急加速をしない場合の高速道路程度までの走行で読まれる範囲です。
ライトグリーンの部分は急加速時に実A/Fでマップと整合を取っておきたい部分で、濃い部分はその状況でのハイブースト領域ですが、1kちょいの範囲ですと28番程度までしか読みませんでした。

セッティング設備を借りる場合などでもあらかじめ黄色範囲までは作成しておくと、セッティング時間の大幅な短縮ができます。

VQマップを作製するときに限らずですが、エアクリーナーフィルターや燃料フィルターのメンテナンスと燃圧のメンテナンスはしっかり行っておきましょう。

電圧等間隔でマップを作製する場合、どうしても落差の大きい部分が発生してしまいますがまずはアイドルと負荷付のアイドル部分を合わせ、ロギング重ねながら作りこんで緑色部分の加速推移の作成ですね。
この緑色部分がずれますと、非常に危険ですのでログ取得中もA/F値に注意を払っておき、危険そうなところは先に修正してしまってください。

これは中間点では2点間補正を行うので、大きくずれたデータが周辺にある場合そちらに引っ張られうまく調整できないことがあるためです。

VQデータがある程度完成しますと実際にログを取得し、データと比較してみてもほぼマップ通りに空燃比推移が出ているかと思います。
その先の調整手順については車両が車検から戻ってきてからまた書きたいと思います。

Posted at 2017/04/27 21:54:50 | コメント(0) | トラックバック(0) | セッティング記録 | クルマ
2017年04月23日 イイね!

最終仕様のリセッティングとセッティングの考え方について4

最終仕様のリセッティングとセッティングの考え方について4こんにちは。

セッティングのほうはルーチンワークモードですので今回は閑話休題的な話ですが




例えば今回のタイトル画像ですが・・・

今までにも何度か点火時期とA/Fについての関連性を書いたことがあるかと思いますが丁度その様子が何か所かグラフに出ていました。
最終的にはそのあたりも加味して調整していくことになりますが、マップ境界でない場合の微妙なA/Fの振れがあるときは結構そのタイミングの直前で点火時期が変化していることが多いです。


ちなみに先日の修正データで改めてログを取ってみたのですが今回はこんな感じ。

前回と比べると逆転している箇所もあります。

とりあえずそのよう場場合は

元値>修正値の中間付近の値を入れて更に詰めていくこととなりますが、最初に変更すべき量がどの程度なのかといえば

100未満の数値であれば1~2、以降は元数値の1%程度を目安に変更すると良いかと思います。

作業を繰り返していると1の違いで結果が反転してしまう箇所が出てくると思いますがその場合は今回の作業基準でいえば
噴射時間変更係数を微調整しながら様子を見ますが、一般的には電圧間隔をズラしてしまうほうが手っ取り早くはあります。

今回の変更を前回データにα合成して差分表示してみましたがグラフモードですとほとんど変化が判らないレベルになってきてますね。


諸種の事情で時間はないですがもう少し精度を上げるために今しばらくこの作業を繰り返さないとだめそうです。

次回に続く
Posted at 2017/04/23 11:08:16 | コメント(0) | トラックバック(0) | セッティング記録 | クルマ
2017年04月22日 イイね!

最終仕様のリセッティングとセッティングの考え方について3

最終仕様のリセッティングとセッティングの考え方について3こんばんは。

前回に引き続きセッティング記事です。
初期段階でのログの解析方法を解説してみます。





さて、前回の記事でも書いたようにとりあえず走れそうなデータになりましたら何種類かのログを取得します。
できるだけ状況補正を入れないような定速走行や、きわめて穏やかな加速からログを取得しましょう。

同時にアクセル補正の入るようなログや定ブーストなどの加速時ログが取れる状況であればそのようなログも取得します。

安全に走行できるか判断しにくい様であればまずは定速と低速、穏やかなアクセルでの加速ログの解析と対策から行います。

個人的には大体街乗りで日常使用する定速走行と加速のログを取得し、ある程度データが完成してから高速などで中速~高速の一定走行や加速走行のログを取りつつ、次のPAなどでデータ解析と修正を行い、またログ取走行>修正と繰り返します。


ではログを取得したら実際にどのように解析していくかなのですが・・・
大まかなVQ合わせの際にはロガー画像による切り分けが楽かと思います。

<今回取得したログ画像>

こちらは今回取得した画像に判り易くするために3本の補助線を引いたものですが

まずはログ位置の219.5sの部分に注目してみます。
これは極低速のゆっくりとした加速ログですがマーカー位置の直後大きくA/Fが薄くなっています。
そこでその位置のエアフロ電圧をマークしてほかの部分も見てみると

はい、ちょうどロググラフの真ん中辺り。
同じようなエアフロ電圧に入った瞬間に同じようにA/Fの薄くなるところが見て取れます。
エアフロ電圧グラフをみると14番の2240mvに入ると特に薄くなるようなのでこの部分の空気量=VQ値を大きくすればよいことがわかります。

220s付近のパーシャル走行のログ上でも、やはり同じ部分で薄く推移してるのが見て取れますが、そこから少し電圧の下がった領域では逆にA/Fは濃くなりすぎてるようですのでそちらはVQを減らさないといけないことがわかります。

その都度修正しても良いのですがある程度まとまったログのある場合はじっくりと時間をかけながら解析して電圧表に濃かったのか薄かったのか、丁度よかったのかを記入していくと便利です。

<電圧マップへのメモ>

このように印刷してメモしていくと楽です。
このメモの場合、特に薄そうな場所はLL、薄いところはL 濃いところはRでメモしてありますが、その辺はセッティングする人が判り易ければ何でも構わないので各自工夫してください。

通常、薄い部分から先に対処しておくとよいでしょう。

ログの中のダメ探しも大事ですが、変更しないでいい場所があればそちらもメモしてください。

<残す部分もチェック>
ロギングしたデータを表示させつつ、データも併せてチェックして触らないで良い部分などを洗い出してます。
ちょっと画像が見にくいかもしれませんがこれは高速で取得してみた定ブーストログです。

これは加速増量の形跡もログに残っていますが、増量ステップ終わった後はマップ通りの目標空燃比になっていますね。

ログ解析はセッティング中一番手間と暇のかかる部分ですがその第一弾としてまずはザックリとしたA/F推移を完成させる必要がありますのでこの作業は丁寧に行ってください。
Posted at 2017/04/22 01:15:43 | コメント(0) | トラックバック(0) | セッティング記録 | クルマ
2017年04月19日 イイね!

最終仕様のリセッティングとセッティングの考え方について2

最終仕様のリセッティングとセッティングの考え方について2こんばんは。

前回に続きまして、今回は実際に行っている変更手順などを。
本日のタイトル画像は意味深にコチラ。
勿論利用価値もありまする。
特にBNR32トカネ。





<画像1 インジェクタ補正STDデータ>


まずこちらの画像ですが、これはスタンダードデータのインジェクター補正の数値です。
前回の数値と照らし合わせて見て頂きたいのですが、注目してほしいのは燃料噴射時間変換係数です。

通常滅多に変更することもない項目ですが、エアフロ容量を大きくし、燃料系統も大きく強化した際はこちらを使用してある程度燃料に対する全オフセットをすることが出来ます。

基本燃料噴射時間を決定するために使用される数値で、これについて解説しているものも多くはないですが大体ノーマル書き換えなどで対処するときに使用する俗にいうK定数というものとほぼ同じ扱いで利用できます。

という事で現在使用しているインジェクター係数とエアフロの掛け率でこちらを補正するとこんな感じになってきます。

<画像2 新たにベースにするインジェクター補正データ>


時間変換係数はおおよそのエアフロ倍率と燃料補正割合の平均をそのまま基準データに掛けたもので、実測値が判らない場合は公称値もしくは3σ(3しぐま:正規分布;確率的偏差みたいなものです)が判っている場合はそちらを元に計算しても構いません。

各インジェクターの補正値は実数から計算したもの。

無効燃料噴射は今回は公称値に戻してあります。





次に私の車両の場合、エアフロ電圧マップ(判定電圧側)をずらしてしまっていますのでこちらを基準に戻します。

PFCのデフォルトでは0~5120mvを32で割り込んでありますので単純に160×マップ番号の数値で、1のところだけ0となっています。

今回はデフォルトに戻すわけですが、なぜここを変更していたかというと
車両によってどうしても運転条件切り分けのできない同一エアフロ電圧を使用してしまうケースがあり(これはD制御でも同様)、運転パターンAでは丁度よいのに、運転パターンBではどうしても一時的に薄くなってしまうなどの場面が出てしまいます。
特に電気負荷やエアコン負荷と重なりやすい部分で起きやすく、エアフロ特性は電圧が上がっていくに従って空気増分の割合が跳ね上がりますので、微妙な差を調整しきれないからです。
他の高機能なフルコンではその条件を絞るために多くのセンサーを利用していますが、基本的に専用の追加センサーを使用しないPFCではこれを部分的な分解能を上げることで対処することになります。

勿論全体の配列容量は32のままですから、部分的に分解能を下げる領域もでるのですが実際にセッティングをしていると実走ではほとんど使われない中間ゾーンも多く、2点間補正も行われている上に、他の要素で帳尻合わせることもできますので実際にはあまり問題になりません。

要するに追加センサーの代わりに、電圧の僅かな違いを利用してそれで運転状態を判別するために変更していたという事ですね。

<画像3 Z32エアフロSTDデータ>


さて、電圧配分を直せば当然VQはズレるのですがとりあえず試走できるレベルに合わせないといけません。
経験的に電圧マップで
7~12
17~20
あたりをざっくりと調整すれば試走できる状態になりますが、この中でも特に
1180mv付近 1280mv付近 1800mv付近 2100mv付近でズレるのが多いかと。
目安として2700mv付近まではほとんど正圧に入らないはずなので、ニュートラル判定でブーストカットしている車両などではその上は実際に負荷をかけて走らないとどうにもなりませんし、負荷をかけた分電圧もずれてきます。


上記を踏まえて軽く調整したのがこちら。

<画像4 エアフロ修正データ1>


このままではどこが変更されたのか分かりにくいので少々加工して比較した画像がこちら。
グラフ中の白い部分が差異のある箇所です。

<画像5 エアフロ比較画像>
少しは見やすいでしょうか?


とりあえずこのデータでまたログを取ってみたいと思いますが、(仕事溜めすぎて(爆))作業時間がなかなか取れてませんので次回へ続きます。



Posted at 2017/04/19 23:15:20 | コメント(1) | トラックバック(0) | セッティング記録 | クルマ
2017年04月19日 イイね!

最終仕様のリセッティングとセッティングの考え方について1

最終仕様のリセッティングとセッティングの考え方について1リセッティングその1とセッティングの考え方について。

こんばんは。







先日のインジェクタ変更後暫定でセッティングを出しておきましたが思うとこがあり真面目にリセッティングをしようかなんて思ってます。
文章にしてみたらこれまでの総まとめ的に書いてますのでかなり長く、読みにくいですが点火時期と燃料の関係ほか合わせ方の例などを交えて書いてみました。
数回に分けて掲載していく予定で、2回目からは実際的に自分で行っていくセッティング作業を紹介していこうと思います。



こんな感じの補正値を入れていた訳ですが

<旧補正値画像>


インジェクタの噴射量については実測値を根拠にした補正値です。
IRSさんで作成していただきましたレポートの数値からの比率ですね。
旧タイプのパワーFCで370cc、現行タイプのパワーFCで365ccを基準として算出してあります。

SARDの公称値では無効噴射は0.8msとのことなので、純正の0.628を当てはめると本来なら無効噴射に入る補正は+0.172です。

しかしこの状態では全域でかなり薄く出てしまったために暫定で更に0.03msほどを加えた0.2msで割といい感じにA/Fが出ていることは確認済みですがどうにもセッティングデータ的に美しくない(トータルの帳尻合う事でいえば間違いではない)ので判定基準を燃料系基準+理論マップで実数値を目指して少々作り直すことに。

現状ではエアフロはVQだけでなく電圧位置でも調整していますが、電圧割り当ては一度均等に戻して個体差の強いエアフロVQをしっかり合わせ込んでいく手法を取ります。


私がセッティング記事を書く際は、いつも説明が無駄に多かったりするわけですが、どのようにセッティングを決めていくかという事をしっかりと決めておかないと、鶏と卵の話になってしまいことセッティングに慣れていない方が実際にセッティングを行う際にはいつのまにかアチコチといじってしまい、最終的に訳が分からなくなる事態に遭遇しやすいからです。
ここでまわりくどい、とか、面倒と感じた方はプライベートでのセッティングは恐らく向いてませんので信頼できそうなプロにお任せするのが賢明です。
信頼できそうなプロを探すのも一苦労ですが、目安として
特定のECUのダメなとこを羅列しているようなチューナーさんは、まっとうなセッティングを行えないケースが非常に多いです。
社外の制御追加基盤やフルコン、サブコンは色々ありますがそれぞれ制御基準が違ったりしますので、その違いを理解できてないとうまくセッティングが出せず、結果~はダメだと言い訳を始めるパターンです。
そういえばPFCもよくこの例でボロクソに言われますが…
時代遅れのオモチャですら満足に調整できない人が、とても複雑な高度なECUをきちんと扱えるとは思えません。ってのが個人的見解です。

勿論マイナーどこから有名ドコまで、超高機能な制御機材はあるわけで、制御モードも複数選択できたりと便利ですが、一般的な制御で走らす分にはPFCでセッティング出せないなんてことは滅多にないです。
フェイルセーフが無い事を除けば安価でシンプルなツールですし、セッティングの基礎を1ユーザーが学ぶにはちょうど良いボリュームだと思っています。

話が随分ズレましたが・・・

さて、今回は負荷領域や回転領域、燃調マップと点火マップは基本変更を行わないセッティングとなりますがこれから自分でセッティングをやりたいという方の為にセッティングの進め方を改めて記載しておきます。
(ここでは最低限、A/F計と調圧レギュレーター、燃圧計が用意できている状態でPowerFCでのセッティングを前提としております)

1:車両状態の洗い出し
現在組み込んでいるエアフロ、インジェクター、タービン特性、ブーストコントローラー、燃料系パーツ、固有制御(可変バルタイ機構などの仕様)の素性を書き出しておきます。
同時にそれらの純正能力なども出来る限り調べておきます。

2:セッティング手順の確認
どのような順序でデータを変更するかを決定しておきます。
通常はスタンダードデータから
基準合わせ=各変更パーツに必要な補正値をまず入力し、またはPFCの仕組み的に逆算しておきます。

例えばインジェクターがいまひとつ素性が判らないだとか、ノーマルインジェクターだけどやけにずれるなんて時は

一応燃圧が基準通り変化なし、ノーマルエアフロもしくはきちんとVQの取れているエアフロの場合を前提として
O2フィードバックを無効にし
暖機終了後に読み込むアイドル位置とその周辺マップの燃料補正値を100に書き換えます。
点火時期はその車のアイドル点火時期(ER34なら15度とか、BNR34なら20度とか)へ書き換えます。
PFCは燃料マップ100のときに、目標A/F14.53をとりますのでこの数値になればPFC上のSTDインジェクタデータ(取扱説明書に記載されています)とほぼイーブンという事になります。

このとき例えば15.5をA/Fが示していれば基準容量よりも燃料を噴いていないということですので
15.5(現状)÷14.53(目標値)=1.066
ということでマップ上では106~107程度、もしくは全部のインジェクタ係数を1.066で書き換えればおおよそ目標のA/Fになるかと思います。
ER34の現行PFCでいえば365ccが基準データですので実際のインジェクタ容量は約344ccしかなかったという事が逆算できます。

逆に13.5だった場合は0.929ですので、こちらでインジェクタ数値を補正かけておけば基礎的な燃料のズレを合わすことが出来ます。

ここでピンときた方もいると思いますが、調圧レギュレーターを導入している場合この段階で燃圧側を調整してしまうという手もあります。
例えばER34で344ccしかなかった場合燃圧を2.5から2.8に変更すると大体365cc付近になりますのでインジェクターはあくまで100として、基準燃圧をズラして整合を取る方法もなくはありませんが、あくまで参考手法としておいてください。


#この最低限の基準合わせが出来たら、一度空ぶかしによるログと、実走での加速ログ、定速ログを取得しておきます。

(ログはA/Fを含めたログという認識ですので、A/Fを同時に取り込めない場合は録画するなり、汎用ロガーを利用するなりしてログと突き合せできるようにしておきます)

ログがとれたらTXT出力などでエクセルに取り込み、トークン(区切り)処理をして危険なA/F推移やノッキングがないかを確認しておきます。

過度のノッキングが出ていた場合は、負荷値と回転数ログから該当のマップ位置の点火時期を3度~5度程度下げておき再度試走してログを取得します。

あとはA/F推移をチェックしながら、マップ上と実際のデータのズレのあるエアフロ電圧をメモしておき、該当のVQマップの値を変更して目標空燃比になるように調整します。

A/F推移が完成しましたら、マップトレースで加速で読み込む軌跡を記録して、点火時期の調整を1度刻みで行っていきます。

ここまでデータが完成したら、加速時燃料増量値とその引き去り値で瞬間的なA/F推移を作成し、さらにシフトアップポイントで読み込むマップ周辺の調整を納得のいくまで行っていくという繰り返しです。

3:実作業とログ解析
手順でも触れてしまいましたが、基本ルーチンワークです。
慣れないうちは同時に複数のデータを書き換えないようにして、確実に1項目つつセッティングしていきます。
特に点火時期によりA/F値も左右されますし、可変バルブタイミング機構を備えた車両ではその変化時にA/Fなどが変化することが多いです。

ターボ車両の場合は負圧領域、正圧領域をそれぞれ3つ程度に負荷ごとに分けて行うとやりやすいかと思います。
これは負荷=エアフロor圧力センサーを基準にしているのと、その負荷ごとにおおよその目標A/Fがあるためです。

アイドル付近(-70~-50程度)
NA域走行軽負荷(-40~-20程度)
NA領域高負荷(-20~0(大気圧)付近)
ターボ領域低圧(0~0.3k程度)
ターボ領域中圧(0.4~0.7k程度)
ターボ領域高圧(0.8~1k程度)

大体はこのような感じでゾーンを決めて、そのゾーンごとにセッティングを決めていきます。
もっとハイブーストを使用する場合は更に0.2刻み程度にゾーンを区切っていきます。

4:考察
ログ解析では同時に様々な考察も行います。
主に回転数側での割り振りですが、過給の立ち上がり方に応じた要求燃料の増加や、サージング発生ポイント。
燃料増加による適正点火時期の見極め。
カムプロフィールによる取り込み空気量の変化と未燃焼ガスの関係などです。
燃焼温度は推測値ですが、排気温度計がある場合は若干推測しやすくなります。

ここで混同してはいけないのが燃焼温度と排気温度は必ずしも比例しないということです。
(この部分、かなり誤解されている方が多く、なかにはプロのチューナーさんでも理解してない方もいたりするので注意です)
例:排気温度高いので、燃料増やして、点火時期を下げた>>>結果触媒溶けて終了

判り易く説明するなら
30分前に沸かしたヤカンのお湯はぬるいけど、沸かしたてのヤカンのお湯は熱いって感じでしょうか?
点火時期を早めると燃焼温度は上昇します。
燃焼ガス排出までの行程時間いっぱいに燃焼させますので、燃焼室温度は高いのですが、燃え終わりから時間経過が長くなりますので排気管内を流れるうちに温度が下がります。

逆に、点火時期を遅めにしますと、排出までの時間が短いので、燃焼室内の温度は上がり切りません。しかしまだ熱い燃焼ガスが排気管に入り、更に燃え残った燃料が排気経路内で燃えたりして排気温度が上昇します。

燃焼温度の異常で起こるデトネーションなどの多くは、早めすぎた点火時期によりノッキングが発生し、そのためにピストン運動方向に対してブレーキのような力が加わり内圧が過剰に上がりすぎることで温度が急上昇した結果温度境界が破壊されてピストンやバルブを溶かします。
つまり、気化熱冷却目的で燃料が多く濃い状態でもノッキングが発生すれば、容易にエンジンブローに繋がるデトネーションを誘発するという事です。

確率的に燃料が濃い状態ではノッキングは発生しにくくはなっていますが、気体に比べ液体が多いと内圧が上がり易く、急激な温度上昇の一因になります。
たまに濃い分には壊れることはないだろうとタカを括ってる方も見かけますので念のため書いておきました。

長くなりましたがこの辺りの事情を考慮しながらセッティングを進めていくことになります。

次回へ続く。
Posted at 2017/04/19 00:33:46 | コメント(0) | トラックバック(0) | セッティング記録 | クルマ

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