んー、、、総括前置はせずに
まずは見に行った収穫からかな(苦笑)。
オーナーさんによると、路上に出られる実走行車は数台あるか、という程
既に車としての役目を閉じた個体数の多い、これ。
形式AK280、
ホンダ T500
T360(AK250)は総数で11万台弱程生産されているが、
T500だけでは1万余と生産の時点で1割に満たないから
T360の現存から考えても「数台」というのは妥当かな。
※因みにS600で総生産1万3千程でT500とそう大差がない割に、
S600は百の位がある程の路上存続台数であることから、
いかに中古市場で価格を落とさずに維持できる
趣味系車種との寿命差があるかが分かろう。
わたしも含めてだろうが、珍しさにほだされて騒いでいるようなのは
実はその車自体なんざ見ちゃいなくて超本末転倒なわけね(嗤)。
T500のエンジンは、容易に想像ができるように、
ブロック自体はホンダS500用AS280Eに同じで、
キャブレターやバルブタイミングが異なり、
やはりスポーツのデチューン版的なものである。
つまり、L700やLM800などのエンジンが、
ホンダS800のAS800E保守用に転用され、
多くの使役済みボディが鉄くずに捨てられたように、
T500のエンジンもAS800Eほどではないが
AS280E(S500用)やAS285E(S600用)のエンジン補修に
バラして転用され、車輌は補修保存には向かずに
捨てられているていることも想像に難くない。
※ホンダスポーツはシリンダこそ傾斜しているが
原則的には気化器がサイドドラフトであるが、
Tシリーズは傾斜シリンダの上に乗っかるダウンドラフトなので、
シングル/マルチの差だけでなく、使い回しには障害は多そうだけど。
T360はそもそもエンジンを転用する先がないので、
需要がないから納屋の肥やしになって残る道を多く得た、と。
なので、実走しているT500が見られるのは
やはり希少で有り難いことではある。
※「希少」というのが本質的な車の価値ではないというのはあるのだが、
あえてここは 'vintage' をタイトルに冠している、ということでね。
今回の展示ではT500が1台の向こう側4台は全てT360ね。
違いはやはり積載量だろう。
軽貨物はその後の大型化規格でも
最大積載量が350kg止まりであるが、
今の軽より非力なエンジンの弱い車体のはずなのに
500ccで普通車登録だから400kgまで積めるのね。
日本の車行政の捩れがよく見える気がするわ(笑)。
因みにこの個体、オーナーさんは1オーナー。
シングルナンバーを維持した、尚更希少さにおいては
ハクのついたもの。
単に趣味での維持だけになっているのかどうかは分からないが、
やはり人の生活に寄り添う商用車は
ほんとうの意味での自動車でありつづけられるステキな立場なので
変わらず実用で活躍できていることを薄く願ってしまったり、ね。
もう一台、今までに辛うじて1回見たことがあったか、という、
これまた案外「希少」なのではないかと思う、
スバル360のバン・ボディ。
オイル煙を吐きながら積車から降りてくる姿がいいね。
2ストエンジンってのも技術が未熟だった時代だからこそ
求められたものなわけだ。
うーん、これも時代を知る文化価値のある、ヴィンテージ。
あまり詳しくないのだが、
スバル360の商用車転用には何種類かが存在するらしい。
そのうち、このタイプのバン箱架装が 'Custom' と命名されたものらしい。
時の車としての成功は
40万台弱も作られているこのスバル360は
先のホンダT360と比較いならないほどの価値がある、ともいえるかも。
少なくとも明らかに引き離す成功をおさめているわけでね。
だからこそ、バリエーションの展開は強く求められたのだろう。
バリエーションのある車体というのは、
それだけで一定の価値があると考えられるわけね。
丸いテントウムシの愛称を崩したシルエットだからこそ
魅力を感じてしまうのは、変態?(笑)
オマケにギャラリー車も1台。
550cc時代の2代目ミラ、L70VのミラターボTR-XX。
これも、詳しい人ならデカール類などでも判別できるのかも?
58馬力版か64馬力版か、とか。
でも、これぞ日常使用中感満載(賛)。
ほぼ間違いなく
流行りに乗ったファッションとして纏われている旧車ではないよね。
ま、希望的観測だけど。
で、イベントの総体的な評価なのだが、
アルバムの説明に簡単に付したように
「その方向性でいいの?」
って感じ。
今回は「美杉トラック市 一周年記念」をプリフィックスに置いてあるので
これまで開催された「ビンテージ商用車」とは別種だと見るべきかもしれない。
美杉トラック市ってのは単に地産品のトラック移動販売のことだが、
しかし、その美杉トラック市なるものが
派手なデコトラを崇拝することも内包しているものかもしれない。
仮にそうだからデコトラをフィーチャーしたんだとしても、
「ビンテージ商用車」の文言と組み合わせることには
一定の躊躇があってもしかるべきかな?と感じるのだが。
デコトラも商行為中から生まれた文化ではあろうが、
ごくごく一部のことであり、
しかも生産車輌そのものの伝統的格式や価値ではない。
一回限りの客寄せ企画としてはデコトラをテーマアップした会が
あってもいいとは思うが、
タイトルに冠してある vintage の意味とは正直距離がある。
今年のデコトラを押し出して飾った会の方向が今後も続くようなら
この会は迷走を始めたというか、
なにか勘違いをしはじめた気がする、というわけね。
まあ、まだ「懸念」の段階にすぎないが、
あんなに中央に鎮座して、
観客の多くがそればっかりにたむろしている様子を見ていると
人集めには止められなくなるような気もする。
やはり開催地が田舎だと
集める目標の興味がどうしても派手とか珍しさの
わかりやすい刺激の強さいかんになり易いものだ。
ビミョウな後味が残っている今回の商用車大集合であった。
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徒然 | 日記
Posted at
2016/09/12 17:49:29