ビジネスの世界では相手の弱点をついて自社の売り上げを伸ばすというのは鉄則。中国の故事に「宋襄の仁(そうじょうのじん)」という諺があるように不必要な情けや憐れみをかけ自分が窮地に陥るようなことはことは避けなければならない。 一方、日本では「相手の弱みにつけこむ」ことを良しとしない風潮がなきにしもあらず。 これは武士道精神に由来し 欧州でも”無抵抗の相手には攻撃しない”騎士道精神があります。 格闘技だと相手の弱点を突くのは当たり前なことである一方、ロードレースのようにトップを走行している選手が小用で停止している間にはアタックをかけないという暗黙のルールを持つスポーツも存在するなど様々です。 紳士のスポーツか闘争心を優先する格闘技かによって選択は異なるのかもしれません。
VWが排ガス不正で揺れているときに自社製品には一切関係ないことと誇示するようにガンガンと流れるメルセデスのクリーンディーゼル車のCMを見る度に奇妙な感覚に陥ります。 ビジネスとしてはまっとうではあるけれど、国内でそういった手法が受け入られるものなのかどうかと。
そう感じる要因の一つに排ガス規制に関する裏事情が透けてみえてしまうからかもしれません。確かにメルセデスのクリーンディーゼル車は各国の排ガス規制をクリアしているし、違法なプログラムを使っていないとは思います。 ただ、排ガスが綺麗なのはあくまでもモード試験の範囲内だけであって、急加速中や速度が80km./hを超えるような走行条件では浄化しきれない汚い排ガスを大気中に垂れ流している。 ガソリン車でも同じですが、内燃機関を有するクルマは実際の走行シーンで排ガスはクリーンではない場合が多く、メルセデスのクリーンディーゼルだって例外ではない。 あたかも排ガスがゼロであるがごとく宣伝し続けるCMは納得できない。 走行中排ガスを出さないクルマは電動車両だけでクリーンディーゼルは環境問題に対する決め手にはなりえません。 存在を全否定するわけではありませんが、”でかいつら”してCMをガンガン流す姿勢に違和感を感じます。
たまたまC220Dの日本市場投入タイミングとVWの排ガス不正問題のタイミングが重なっただけで、ビジネス的にはメルセデスに追い風(?)なのかもしれませんが、国内メーカーであれば武士道精神をもって大々的な宣伝は自粛していたかもしれません。 まもなくモーターショーが始まりますが、各自動車メーカーが地球環境保護に対しどれだけ本腰をいれているのかが問われる場となるでしょう。
ブログ一覧 | 日記
Posted at
2015/10/06 16:23:15