前回でフォーミュラネタを全部書いて,そろそろネタも尽きてきたのですが,今週はル・マンウィークなのでお次はコチラのクルマ.
昔のル・マンカーって見ていて,なんとなくワクワク感があったものですが,2000年代以降のプロトタイプカーにはそこまでのものを感じないのはなんでなんでしょうね? 単純に飽きたのか? 観る機会が減ったのか? やってる事は当時と変わらず凄いんですけど,なぜか観ようとは思わないんですよねぇ・・・不思議.
という事で,個人的にはそんなに興味の湧かない時代の2019年WECカー「TOYOTA TS050 HYBRID」.
2019年とは言ったものの,この時期はWECの移行期でちょっとややこしくて,シーズン最終戦をル・マン(6月)にするために,2018年5月~2019年6月までを1シーズンとする「スーパーシーズン」となっています.なので,厳密な表記としてはフットボールのように「18-19シーズン」となるのでしょうね.
この「TS050」自体は2016年に投入され,毎年改良を重ねながら19-20シーズンまで使われましたが,展示車両は2019年のル・マンに勝った8号車となっています.
外観的には2016年→2017年モデルで大きく変わっており,そこから展示されている2019年モデルまでは大きな違いはないそうなので,その時の変化点を追ってみると,まずノーズの位置が若干上がっているそうです(↓).
そして,ヘッドライトもHID→LEDに変更(↓).
ホイールアーチとモノコックを繋ぐバーが追加されたのだそうです(↓).
そう言われても2016年型を観ていないので,「ふ~ん」くらいの感想でしかないのですが,いつか・どこかで旧型を観る機会が得られるかなぁ~?
なお,逆に後継の19-20年モデルだと,サイドミラーはカウルと一体となるので,こんな感じでニョキッと独立した形で出ているのはこのモデルが最後だそうです(↓).
なお,この展示車両はご覧の通り走行後の汚れをそのまま残してあるのですが(↓),
近年の展示車両はこの汚れの上からコーティングを施して,汚れが剥がれないようにしているのだそうですね.単純にそのままにしていたら掃除している時や,移動で車両に手を掛けた時に剥がれちゃいますものね.へぇ~と思いました.
さて,この「TS050」の隣には,このクルマに搭載されている2.4L V6ツインターボエンジンが展示されていました(↓).
広報資料等ではエンジンの型式名がなく,「V6ツインターボ」と表記される事が多いらしいのですが,Wikipediaには「H8909」と表記されていました.実はエンジンが展示されている事を事前に知らなかったので,下調べをしないまま見学してしまい,技術的なポイントがどこなのか分からず眺めていました.
見学後に改めて調べてみたところ,まずエキマニはインコネル製だそうでです(↓).
そして,面白いのはターボチャージャーをブロックに固定せず,3本の支柱からワイヤーで吊るすフローティングマウント方式を採用している点.これはエキマニが熱膨張で大きくなった時に逃げ場がなくなり,割れてしまう事があったため,動く部分を作る事でそれを防いでいるのだそうです.
バルクヘッドに繋がる部分は,この画像だと逆光でよく分からないかもしれませんが,ブロックがピカピカに磨かれていました(↓).
縦に伸びている黒い筒は燃料ポンプだと思いますが,長いですねぇ~.
ターボのコンプレッサーから繋がった配管の先に,カーボン製のサージタンクが観えます(↓).
コンプレッサ側つまり吸気側なので,なるべく温度を上げたくないからだと思いますが,先述のエキマニとの間に断熱処理が見えました(↓).
直噴エンジンなのでインジェクタ周りはよく見えませんが,点火コイルは見えたので覗いてみると(↓),
アレッ? BOSCH製?? DENSOじゃないんだ.共通部品かなんかなんですかね?
そのまま後ろに回って,ミッション側はこんな感じ(↓).
レーシングエンジンなので当たり前ですが,小さいですねぇ.
そして,この先にはハイブリッドなので「MGU(Motor Generator Unit)」が繋がります(↓).
モーターなんでこんなモンと言えば,こんなモンなんでしょうが小さいですねぇ.
ちなみに,この「TS050」は前輪にもモーターがあり(↓),
AWDとなっています(↓).

(TOYOTA TS050 HYBRIDのすべてより)
リアよりフロントのMGUの方が大きいのは,駆動力配分の関係でしょうね.リアはエンジンのアシストで良いですが,フロントはそれ単体で駆動力を発生しないといけないでしょうから.
なお,出力は,V6ツインターボエンジンが500PSであるのに対し,モーターは前後合わせ367kW(500PS)だそうです.つまり,F1が諦めた内燃:電動=50:50を実現している訳ですね.WECが耐久レースであるのに対し,F1はセミ耐久(スプリント寄り)ですから走らせ方が違うでしょうし,F1が上手くいかなかった理由として,バッテリーサイズの問題とかあるのかもしれませんが,面白いものですね.
ちなみに,「TS050」のバッテリーはこんな感じでした(↓).
以上,ル・マンウィークなので,ル・マンウイナーのクルマを観てみました.
LMH(Le Mans Hypercar)とLMDh(Le Mans Daytona h)とで予選では明確な差がついたようですが,耐久レースは1周の速さではなく,24時間のアベレージ勝負.どうなるのか見物ですね.
