
8月31日は旅の7日目。 この日はこの旅での重要なイベントを前倒しして実行します。
本来の決行日の翌日が雨の予報なので急遽予定変更しました。
この為にかなりの努力をしていたので中止/延期は有り得ません!
もし来年になると? 体力的に無理でしょう〜。
『太田山神社』は“日本一参拝が危険な神社”と言われています。
遡る事この5月、今年の夏旅を計画するにあたり真っ先にココへの挑戦を決めました。 「来年になればもう無理かもしれない、いや無理だな」
まず6月始めから禁煙し、週に数回4〜5Kmを歩いて、工場にあるぶら下がり棒で懸垂の訓練をしました。
大袈裟だと思うでしょうが、よる年波と普段の運動不足で想像以上に体力は衰えているのです。(笑)
事前に情報を収集してみると、やはり可成りの難所で中には途中で諦めて引き返した例も...。
いざ!60歳代最後の挑戦となります。
まずは『奥尻島』の続きから

島の最北端『賽の河原公園』の朝6時です。
本日は午前7時のフェリーに乗船するので早めのスタートとします。

少し散歩して岬の先端までいってみると? 名前から想像されるままの光景がありました。

なんかとてもスピリチュアルな雰囲気が漂っています。
昨夜到着時は真っ暗だったので全く気が付きませんでした。
ま、ハイシーズンでは大勢がテント泊しているのだから特に霊的な問題はないでしょう。

昨日島の北西岸を走り残しているのでそこを走行し、午前6時半にターミナルへ到着すると既に『カランセ奥尻』が口を開けていました。

大型トラック2台と普通(軽)の7台が乗船すると、定刻の7時丁度に出港しました。
これで奥尻とはお別れです。
予想に反してクルマでも走り出がある島でしたね。 礼文島よりはずっと。

『開陽丸』が見えて来ればもうすぐ着岸です。

『カランセ奥尻』お世話になりました。
午前9時10分に本土上陸しました。
入れ替わりに陸上自衛隊の車両が5〜6台乗り込んでいきました。

港のすぐ近くのSSにて給油しました。
478.8Km走行して32L給油なので15Km/Lの燃費でした。
あれっ? 90Kgも軽量化して尚且つその殆どをクルコン走行したのに....。
なんか納得のいかない値です。
そして店長さんが「賽の河原で寝ましたか。 なにか出ませんでしたか?」ですと! 「僕はそっち方面はとっても鈍感なので何にも感じませんでしたよ」
この後コンビニにて朝食を調達していると、昨日の母/娘MBがやって来ました。
そう言えば車両甲板の後ろの方に黒いMBがいたナ。
「気をつけて〜」「楽しんで〜」と別方向に走り出しました。

ソーランラインを北上し、3年前には空撮した『舘の岬』にちょこっと立ち寄り。

この周辺に点在する奇岩を数箇所眺めながら本日の最重要目的地を目指します。

まずは『太田神社』に立ち寄りました。 海沿いのこちらは『山』が付かないのだ。 (拝殿)となっています。

そしてそこから見上げると! あの岩壁がこれから目指す目的地なのです。
大丈夫か?俺?

本殿入り口には駐車スペースがちゃんと有ります。
シェル内で着替えてトレッキングシューズを履いて、リュックに飲み物や軽食等を詰め込んで「いざ参ろう」。

準備運動しながら説明書きを読んでいます。
が、高揚感からまったく頭に入りません。(笑)

ではチャレンジ開始します。 時刻は午前11時20分。
まずはこの急角度の石段を登ります。 139段だとか。

斜度40度〜最上部では50度! 僕はロープは掴みませんでした。

急角度の階段はこのように踏み代が取れません。
カカトが乗らないのでフクラハギに負担が掛かります。

割とスンナリと登り切れました。
見下ろすと、最後の方で角度が急になるのが判ります。
当然、人生で一番急な階段です。
普通の神社ならここで本殿に到着って所でしょうが、ここまではホンの序の口なのです。

そこからが苦行の本番。 この角度の山道がずうっと続きます。
ロープ無しではとても登れたもんじゃありませんっ!

そして現れる鉄の梯子。 ロープを頼りにするも、その支点がしっかり固定されて無くてグラグラします。 たまに支柱から外れてしまっている場所も在りました。

垂直段差50〜60センチが連続すると太ももがパンパンになります。
禁煙の効果かどうか? 心肺機能にはまだ余裕が有ります。

このお地蔵さんの辺りは少し角度が緩むので、足を止めて小休止しようとすると! たちまち蚊やアブの様な虫が纏わりついて来ます。
事前にかけた虫除けスプレーは既に汗で流れてしまって役に立たず。
ドリンクを一口飲んだら即スタート。

お堂が見えて来また。 (女人堂とか)
流石に疲れて来ています。 ここらで一休みせねば!
すると男子3人女子1人のグループが上から降りて来ました。
彼らもココで休憩するようだったので聞いてみました。
「あとどのくらい?」に「ここで半分位ですかね」加えて「最後の方はもっと難所ですよ」ですって。 聞かなきゃ良かった...。 (笑)

標高が上がって来ると少し上方が開けて来ます。
あの岩肌が見えて来ています。

この終盤がきついのなんのって! まず固定されていないロープがあてにならず、股関節の可動域が狭かったら踏み上がれない段差が連続します。

この鳥居まで来れば大詰めなのですが...。
ここまでは体力勝負、そしてこの先は?

恐怖心との戦いなのです!
幅1mも無い急角度の鉄橋? 手すりはグラグラであてになりません。
しかも所々床が抜け落ちています。
エキスパンドメタルの足元は滑るので横に渡してあるロープを踏みながら登るしかありません。
左は絶壁で右は垂直に落ちる崖がスリリングです。

その鉄橋を登り切って振り返ると!!
正に絶景とはこの事です。
拝殿の海の向こうにはさっきまでいた『奥尻島』が見えています。

高低差400m位でしょうか。

そして最後の難関がコレ。
垂直な岩肌を鉄輪を掴みながら7〜10m登ります。

ここの場面を映像で残そうと、ドローンを背負って来ています。
離陸(といっても平面が無いのでハンドリリース)させたら画角を決めた場所でホバリングさせて録画を開始。
しっかりと登り切るまでの動画が撮れました。
カウントしてみたら50秒で登っています。
画像の時刻を見ると午後12時40分になっていました。
途中の休憩を含めて約1時間20分も登山した訳です。

爺さんが喜んでいます。 (笑)

ついでに絶景の空撮もしています。
改めて見返すとこの岩壁の凄さが判ります。 赤丸が僕。

下山の荷を少しでも軽くしようと、見えているシェル屋根に着陸させようとしましたが。
このまま垂直に降下すれば良い筈なのに、途中の山肌が邪魔になり通信が途絶。
自動的に離陸地点まで戻って来てしまいます。
仕方がない、ハンドキャッチして背負って降りましょう。

お参りを忘れてはいけません。
お賽銭と持参したお酒を備えて拝みます。
なんでも叶うと言われているので「無事に下山できますよう」と、とても身近なお願いをしておきました。(笑)

腰を下ろして絶景を再び堪能します。
ここまでの苦労が加味されればその美しさも倍増するでしょう〜。

そしてドリンクしながら3ヶ月の禁煙が解禁です。
その美味しさったらないっ!
ワタクシ、ずうっと禁煙するつもりなんてサラサラありませ〜ん。(笑)
しかし、ヤニクラでしばらく立ち上がれない。

それに降りる方が怖いのです。 なにせ下を見ながらになるのでね。
空撮/休憩で30分位本殿に居たでしょうか。
そろそろ下山しましょう。

甘く見ていた下りの方が危険でした。
急坂で速度が早まる上にロープが役に立ちません!
3回尻もちを着きながらも背負ったドローンは無事です。
やっと階段の所まで降りて来ました。

もう足がガクガクなので降りの階段はより一層の注意が必要です。
キャリイ号が見えて来れば一安心。
下山は30分しか掛かっていませんでした。

入れ替わりに挑戦するご夫婦にアドバイスと声援を送って見送りました。
「頑張って!」
これが僕の60歳代最後の挑戦の記録です。
やり切った達成感に浸っていると、吹いて来る海風がとても心地良い。
汗でびっしょりになった衣服を着替えてルンルン気分で再スタートしました。

あらかじめ予定していた最寄りの『せたな公営温泉浴場やすらぎ館』で入浴しました。

ただの公営のよくある銭湯だと思っていたら?
狭いけれど明るくとても綺麗なお風呂は貸切独占状態で悠々自適。
サウナ/水風呂/整い×3で、とても清々しい入浴が出来ました。 ¥450

次第に夕日に染まり出すソーランラインを北上します。
挑戦が成功した達成感も加味されてとても感動的な風景を眺めながらのドライブです。
予定を繰り上げているので本日の宿泊地は新たに検索してニセコを目指しました。
駅前のコインランドリーで洗濯している間に目の前の『ニセコ駅前温泉 綺羅乃湯』を利用しようとしましたが、疲れがどっと押し寄せて来たので入浴はパスしちゃいました。

乾燥をまって洗濯物を回収したら晩御飯になるのですが。
googleさんが悪い? お店がいい加減?
3件騙されてあっちこっちウロウロ。

結果『道の駅・ニセコビュープラザ』近くでコンビニ飯をレンチンしてもらいました。

挑戦の成功を豪華な食事で祝うつもりが...。
ま、いいかっ! (笑)
※ 本日の走行距離 260.2Km 総走行距離 1954Km
と言う訳で、この旅の最重要イベントを無事に成功させた1日となりました。
【^_^)v