今回は、周遊券の末裔である周遊きっぷ「加賀・能登ゾーン」をチョイス。
このゾーン券の場合、JR線(ゾーン内の特急自由席を含む)だけでなく、のと鉄道の和倉温泉-穴水間や、旧のと鉄道の廃線代替バスの穴水-輪島・宇出津間、更には金沢市内のバス(¥200~¥230の均一区間、兼六園シャトル、城下まち金沢周遊バス)まで乗れて\4300と細々した運賃が含まれていることを考えるとお得だろう。
ちなみにアプローチ券は往復とも大阪市内から、ごく普通の湖西線経由でゾーン入口の加賀温泉まで。20%割引の\3110。往復アプローチ券とゾーン券で合計\10520である。
(周遊きっぷについての詳しい説明は割愛するので、興味のある方はネットで検索ください。)
新大阪駅から特急サンダーバードで出発。
あまり良い写真でないので、後日和倉温泉駅で撮影した画像も…
どうして新大阪からかというと…特急券を新神戸からの乗り継ぎで買ったため。
(但し新神戸-新大阪間は実際には乗車せず。細かい説明は省略しますが、詳しい人ならすぐに…笑)
車内。デビュー当時は斬新な感じだったのだが、流石に十数年を経ると、やや草臥れはじめている感じも受ける。
そして駅弁の昼食。
大阪市内の駅で駅弁を販売していた水了軒が倒産し、現在では神戸市内の駅で駅弁を扱っていた「淡路屋」が大阪へも進出しており、今回はその淡路屋の「栗・松茸・牛肉 満載栗めし」という駅弁。
全体的に関西らしかぬ、しっかりとした味付け。秋の味覚を一堂に楽しめるのがポイント。
そして淡路屋らしく、しっかり牛肉が入っているのも素晴らしい。
特急サンダーバードは、金沢(正確には津幡)から七尾線に入り、和倉温泉駅までの直通運転。
今回は和倉温泉の一駅手前の七尾駅で、のと鉄道の穴水行きに乗り換え。
ちなみにのと鉄道とはJRから能登半島のローカル線を転換した第三セクター鉄道である。
しかし転換後も赤字のため、穴水-輪島間と、穴水-蛸島間を廃止し、現在は能登半島の付け根の七尾-和倉温泉-穴水間だけを運行している。なお七尾-和倉温泉間はJR西日本との共用区間となっている。
車内には女性車掌が乗務しており、検札や「海が見える右側の席がお勧めです!」といった案内放送、更には観光客には積極的に話しかけてコミュニケーションを図るなど、非常に好感の持てるサービスである。
ただ通常の「次は○○です」といった、車内アナウンスは自動放送。
しかし普通の車内放送ではなく、何かのアニメの声優さん達が、アニメの設定で会話しながら案内するという形式。
好きな人には堪らないのかも知れないが、どうしても茶番的なやりとり(「私たちが(アニメの中で)いつも通学に使っている駅のモデルなんですよぉ~」「へぇ~そうなんだぁ~」といった具合)が長くなってしまい、肝心の要点が分かり難いのが難点だろうか。
ただ地元の人からすると…向かいの席に座ったお爺さんに言わせれば「キンキンうるさい」と迷惑顔。車内放送が入る度に顔をしかめて、耳を塞いでいた。
アニメそのものや、声優、あるいはアニメ趣味を否定するつもりは毛頭無いのだが、正直な感想を言うと、公共交通であることを考えると、ちょっとやり過ぎ。
一回乗っただけの私でも、聞いたこともないキャラクターの長々した車内放送に「?」と感じるのだから、毎日聞かされると堪ったものではないだろう。
イベント列車などで乗車層が絞られるならともかく、一般列車の場合は、声優を使うにしても、茶番は無しにして、要点に絞った放送内容にすべきだろう。
話を元に戻して、車窓の景色を楽しみながら、鉄道の旅は続いていく。
まず能登中島駅構内に保存されている郵便車。
そして車窓には海を見ながら、北上を続ける。

(帰路の写真なので、お天気が悪いです)
そして穴水駅に到着。
今でこそ終着駅だが、かつては能登半島北部の輪島方面と、能登半島東部の蛸島方面の2路線が分岐する駅であり、のと鉄道の運行拠点だったこともあり、構内は随分と広い。
そしてかつての蛸島方面ホームに使われていた車両が保存されている。
最初に能登へ来たときはまだ輪島・蛸島方面とも鉄道が健在であり、その後再訪したときには輪島方面が既に廃止、そして今回の訪問してみると、蛸島方面までもが廃止になっており、穴水駅は単なる終着駅に。ちょっと寂しい限りである。
おまけ:かつての終着駅・蛸島駅(2004年9月撮影)
そして今回は輪島方面の鉄道代行バスで輪島へと向かう。
バス運転手同士の雑談に花が咲き、出発時間を少し過ぎてから、あわてて出発するなど、まあノンビリとした雰囲気。
ちなみに乗客は私を入れて2名と、途中から1名乗ってきて、合計3名。これでは鉄道を維持するのも困難なわけである。
ちなみに前回輪島を訪れたのは、まだ鉄道が健在な頃であり、穴水-輪島間の鉄道の廃線が2001年であることを考えると、もう10年以上前の話ということになる。
バスは能登空港など、あちこち脇道に逸れて寄り道をしながら、終点の「輪島駅前」へと到着。
鉄道が廃線になった今、かつての輪島駅は道の駅として整備されている。
そういえば途中に経由した能登空港も道の駅を兼ねて整備されていた。
道の駅輪島の愛称は「ぷらっと訪夢」(プラットホーム)
そして道の駅の一角にはかつての駅をイメージした空間が設けられている。
輪島駅名物だった(次の駅)「シベリア」の落書きもそのまま再現されている。
道の駅で行われていたLEDライトアップテスト(?)
そしてもうすっかり暗くなり始めた輪島の街を歩き、今晩の宿へ向かう。
今回、輪島でお世話になった宿は「ペンションかもめ」

(後日撮影。左端の建物)
ペンションとのことだが、実態は喫茶店に併設された民宿。親切で気っ風の良い女将さんが切り盛りしている。
全6室というこぢんまりとした宿だが、建物は新しく快適である。
廊下
ここの客室はBTなしのシングルとダブル、そしてBT付きのツインの3種類。
今回はダブルルームを予約していたのだが、空きがあると言うことでBT付きのツインルームにアップグレードしてくれた。
ちなみに1泊2食付きで\7800。
写真のような綺麗な館内に、一通りのアメニティもついており、後述するような豪華な食事がついてくることを考えると、かなり大当たりの宿と言えるだろう。
そして今回はここに2泊滞在したのだが、2日とも豪華な夕食で楽しませてくれた。
1泊目
2泊目
やはり能登ということで、海の幸が素晴らしい。
特にお刺身の脂の乗りが半端ではなく、気分が悪くなりそうなほど。(もちろん本当に気分が悪くなったわけではないので、念のため)
そして地酒や地ビールも用意されており、今回は「旅先特例」で地ビールも楽しんだ。(尿酸値高のため、普段は禁ビール中)
地酒は女将さんオススメの「能登冷酒」が用意されているが、「特にご指名の銘柄があるのなら、向かいの酒屋からすぐに取り寄せます。」という気の利いたサービスも。
ちなみに後日この“向かいの酒屋”でお土産用に地酒を買い求めたのだが、“輪島のお酒”に拘った品揃えで、日本酒談義や試飲も交えて、随分楽しませてもらった。
なお「能登と言えば『宗玄』ばかりが有名ですが、もっと美味しいお酒がいっぱいあるんですよ!!」とのこと。
個人的には「宗玄」でもかなり高評価なのだが、それを越える日本酒がいっぱいあるとは“能登半島恐るべし”である。
なおこれらのお酒については、また「今日の晩酌」シリーズで紹介することにしたい。
そして順番は前後するが、「ペンションかもめ」の朝食も紹介しておきたい。
夕食後は、先ほどバスを降りた道の駅輪島で伝統芸能「御陣乗太鼓」の演奏会があるということで足を運んでみることに。(ちなみに無料)
夜の輪島の街を歩いていく。
道の駅のタクシー乗り場が即席の舞台に。
まずは御陣乗太鼓の由来の解説。
「上杉謙信の大軍が能登を攻めた際、兵数で劣勢の能登の住民が、面を被り、海草をカツラにし、太鼓を叩いて夜襲をかけたところ、上杉軍は化け物の襲撃と勘違いし、大混乱した。」といういわれのある太鼓ということだ。
そんな御陣乗太鼓の演奏がスタート。
基本は2人1組で、1人がリズムを叩き、もう1人がパフォーマンスを交えた派手な演奏をする、というパターン。
ただし出演者は固定されておらず、入れ替わり立ち替わりで、舞台上には常時2名(交代時には3名)体制である。
そして最後には全員が整列。
常時2~3名しか舞台に出ていなかったため、最後にこの人数をみてちょっと驚いてしまった。
なおこの後は出演者と並んでの記念撮影のサービスも行われている。
御陣乗太鼓の後は徒歩数分のホテルメルカートへ。
このホテルには輪島温泉「長山の湯」が設けられており、¥700で入浴することができる。
他の入浴客がいたので、写真はないのだが、窓のない大浴場でいかにもビジネスホテルの大浴場といった雰囲気。
近代的な施設で全体的に特に問題は無いのだが、肝心のお湯も含めて、それ以上でもなくそれ以下でもなく…まあそんな感じの浴場であった。
舳倉島編へとつづく