前編に引き続きSIGMA DP1片手に和歌山散策です。
和歌浦からJR和歌山駅行きバスで和歌山駅へ到着。
ちょうどお昼過ぎで混雑時も過ぎた所なので、たまたま見かけたラーメン店で和歌山ラーメンの昼食。
実は近くに有名ラーメン店もあるのだが、今回は少し冒険して初訪問の店にチャレンジ。
典型的な和歌山ラーメンで、味は満足。何より店のおばちゃんの対応の良さが素晴らしい。和歌山ラーメンの店では注文と配膳以外はサイドメニュー購入も含めてセルフというケースが多いのだが、ここの店はフルサービスであり、しかもとにかく親切で気がつくおばちゃんなのだ。
そしてJR和歌山駅改札口を通過するのだが、ココは「和歌山電鐵に乗ります!」と一言言えばフリーパス。
JRと和歌山電鐵は同じ駅舎内・改札内から発着しているのだが、和歌山電鐵専用の改札や窓口はないので、一日乗車券を買うには一旦JRの改札を通過して、和歌山電鐵ホームの窓口まで行かなければいけないのだ。
そして一日乗車券(¥650←貴志まで1往復するだけで余裕で元が取れる)を購入し、和歌山電鐵に乗り込む。
パッと見「南海電鉄の車両じゃないか!」と思われるかも知れないが、それもそのはず。
この和歌山電鐵は2005年度までは南海電鉄貴志川線として運行されていたのだが、赤字路線であることや、また他の南海電鉄線と接続しない孤立した路線(南海電鉄本線は和歌山駅ではなく2~3km程離れた和歌山市駅から発着している)であることなどから、廃止を表明。
それを受けて和歌山電鐵へと引き継がれることになったのだが、よくある第三セクター方式ではなく、民間から運営事業者を募るというユニークな方法により岡山電気軌道(岡山市内の路面電車等を運営)が手を挙げ、100%の子会社として和歌山電鐵を設立し、路線運営が継承されたという経緯がある。
そのため車両や施設(駅名標等も含む)は南海電鉄当時のものがそのまま使われているものが多く、上の写真のような“そのまんま南海”のような車両が走っているのだ。
なお全6編成のうち、3編成は南海当時の塗色、残り3両は個性豊かな塗色に塗り替えられているのだが、こちらは後で紹介したい。
先ずは一気に終点の貴志まで乗り通す。所要時間30分弱のローカル線の旅である。
そして到着した貴志駅に降り立つ。
ホームに祠が3つ(写真では2つのみ)建っているのだが、それぞれに「いちご」「おもちゃ」「ねこ」という額が掲げられている。それぞれ「電車と果物はじめ農作物」「電車とおもちゃや遊具」「電車とねこや動物全般」を奉っているとのこと。
全てに「電車と」と付いているのは、先ほど述べた個性豊かな塗色の3編成の列車はそれぞれ「いちご電車」「おもちゃ電車」「ねこ電車」というコンセプトでデザインされているため。
「おもちゃ電車」は後で述べることにして、「いちご電車」はここ貴志がいちご狩りで有名な地であると言うことから、そして「ねこ電車」はここ貴志駅の“たま”駅長に由来する。
たま駅長は元々駅舎内売店「前田商店」で飼われていた猫だったのだが、駅の利用者に愛されていた。
しかし和歌山電鐵移管後に無人駅となり“人間の駅長”が不在となり、代わってこのたまがキャットフード1年分の年俸で正式に「スーパー駅長」兼「和歌山電鐵執行役員」に任じられたのだとか。(なお駅自体は無人駅になったが、駅舎内にはたまの飼い主である前田商店や、たまカフェという喫茶コーナーは現存している。)
そして今年建て替えられた駅舎は「たまミュージアム」という愛称が付いており、外観から内部までたま尽くしである。
まず外観。猫をモチーフにしたデザインなのだとか。そして屋根には「TAMA」の文字も見える。
時刻表
そしてたまのいる駅長室。
ガラスも入っており、なんだかショーウインドウに晒されているような気もしなくはないのだが、まあこれだけ有名になってしまうと、その辺に放しておく訳にもいかないのだろう。
しかし残念ながら駅長はお昼寝中。
結局、約1時間の滞在期間中にお目覚めになることはなく、後ろ姿だけのご対面となった。
そして貴志駅を後に、和歌山電鐵本社も併設されている伊太祁曽駅へと移動。
昔ながらの駅舎だが、この駅舎内に本社も併設されており、また車庫もこの駅に設けられている。
残念ながら今日は「ねこ電車」「いちご電車」はお休み。
※DP1の画像を等倍トリミング。
しかし貴志駅から乗ってきた電車の後続で、伊太祁曽→和歌山の区間運転便が設定されており、そちらに「おもちゃ電車」が使用されるとのことなので、ちょっとだけ見学。
「おもちゃ電車」は車庫から出庫してくるのだが、ポイント切り替えが手動であり、係の人たちがきびきびと作業している様子が気持ちいい。そして安全な範囲であればその様子を自由に見学させてくれる。
そして発車時刻まで余裕があったので、内部も見学。
車内にチャイルドコーナーのようなスペースも設けられている。
車内にはブリキのおもちゃの展示ケースも設けられている。
そして車内にガチャガチャも設けられている。
一般的なガチャガチャのほうが多いのだが、折角なので和歌山電鐵オリジナル缶バッジのガチャガチャに挑戦。運良く「おもちゃ電車」柄の缶バッジを手に入れることが出来た。
なかなか遊び心のある個性的な電車で楽しい。流石に混雑する路線にこういう設備を設けても顰蹙を買うだけだろうが、こうしたローカル線の場合、話題作りと増収と一挙両得なのだろう。
このまま「おもちゃ電車」に乗って和歌山駅へ戻っても良かったのだが、日暮れまでもう少し時間があるので、ここ伊太祁曽で途中下車することにする。
和歌山→貴志→伊太祁曽とずっと一緒だった、中国人鉄ちゃんカップルと、キャリアウーマン風鉄子さんはこの「おもちゃ電車」に乗って帰って行ったようだ。
伊太祁曽駅から徒歩5分くらいで伊太祁曽神社へ到着。幸いなこと(?)に激しい石段は無い。
この伊太祁曽神社は紀伊国一宮という由緒ある神社であり、今乗ってきた和歌山電鐵も元を辿れば、この伊太祁曽神社、竃山神社、日前宮の所謂三社参りの利用者の便を図ることを主眼に開設された鉄道なのである。
そして伊太祁曽神社向かいには「ときわ山」と呼ばれる、ちょっとした丘があり、そしてコレ実は古墳なのだとか。
そしてもう日暮れも近いのだが、折角一日乗車券もあることなので、足早に三社参りをすることにする。
次は竈山駅で途中下車。ここは無人駅で、かつての駅舎跡と思われるスペースが駐輪場になっていたり、かつての行き違い設備跡など、往事は三社参りで賑わった駅なのだろう。
そして竃山神社は駅から若干遠い。日暮れ前なので少し早足で先を急ぐ。
10分少しで竃山神社へ到着。
境内に宮内庁管理の墓陵があったり、建物も規模こそ小さいものの神宮を思わせる作りだったりと、格式を感じさせられる神社である。
徳川家ゆかりの東照宮のような派手さは無いが、この風格はどちらかと言えば皇室ゆかりの神社なのだろう。
そして今度は日前宮駅で途中下車。日前宮まで徒歩1分とあるが、これは少し大げさ。実際は3~4分といった所だろう。
ただタッチの差で閉門時刻の5時を過ぎてしまい、境内には立ち入れず、随分手前から参拝だけしてきた。
まあ少しくらい宿題を残して置かないと次の旅が面白くなくなるだろう。
そして和歌山駅まで戻ると既に真っ暗。
和歌山水了軒の売店で見切り価格になっていた駅弁を購入。大阪の本家(?)水了軒が破産してしまった今、水了軒の名前を聞くと、なんとなく懐かしくなってしまったのだ。
そしてバスで和歌山市の繁華街「ぶらくり町」へ移動。
デパ地下にある天然温泉「ふくろうの湯」で汗を流すことにする。
繁華街のデパ地下という凄いロケーションながら、鉄分タップリの湯で、源泉掛け流しの浴槽もあるなど素晴らしい温泉である。和歌山市は市街地ど真ん中に温泉がいくつもあり、良い施設も多く、隠れた大穴場といえる温泉地だろう。
そして湯上がりに何か喉を潤そうと、ドリンクコーナーを除くと「わかやまポンチ」なるメニューが気になったので注文。
*携帯カメラ
はちみつレモンベースのかき氷に紀州梅や林檎、柿など紀州の果物を豊富にトッピングしており、ナカナカ美味しい。ただ今はシーズン外でイチゴが手に入らないとかで、一部のトッピングが変更になっているとのこと。言われてみると紀州らしくないトッピングも…
そして今度は南海の和歌山市駅までブラブラ歩き出す。
途中で「中華そば」の看板を見かけて暖簾をくぐる。そういえば夕食がまだだったのだ。(駅弁はお持ち帰りとなり翌日の朝食になった)
メニューを見ると「中華そば 450円」とこの時間帯に単品で頼むのが申し訳ないような価格。結局「チャーシュー麺 600円」に落ち着いた。
*携帯カメラ
味の方はあっさりとした醤油味で、和歌山ラーメンとしてはかなりあっさりしている。
和歌山ラーメンというより、昔懐かしの中華そばそのものの味である。
そして和歌山市駅から南海で帰宅。
今回はちょっと奮発して特急の指定席に乗車。なお自由席(ロングシートの通勤車両)であれば特別料金は不要なのだが、やはり“旅”さしさを求めて¥500を奮発。
*携帯カメラ
よく考えたら南海の有料列車を利用するのはこれが初めてだったかも知れない。
<完>