※
「アイスランド&グリーンランド旅の報告」のバックナンバーはこちら
● 神の滝「ゴーザフォス」へ
北部アイスランド滞在3日目は、この旅のメインイベントである「アスキャ火山」への訪問…の予定だったのだが、これは中止。
実は3日前に氷河ウォークへ言ったときに「バスの中で携帯電話が鳴った」、あるいは前日に「オフィスへ打ち合わせに行った」というのは、このアスキャ火山へのツアーの件。
アスキャ火山というのは、見事なカルデラを持つ休火山であり、アイスランドでも一二を争う絶景ポイント、しかもアポロ計画では宇宙飛行士の月面着陸模擬訓練に使われたというスポットである。
更にはカルデラ湖で入浴できるなど、温泉好きとしても気になって仕方のないスポットなのだが、何せタダでさえ秘境チックなアイスランドの中でも、これまた極めつけの秘境。
訪問には4WD車は必須で、川を渡ったりするなど、相当な悪路であり、レンタカーでも保険の対象外となるなど、なかなか厳しいスポット。
詳しくはこちらを参照
それゆえスーパージープを使用した、ガイド付きツアーに申し込むのが一般的な行き方なのだが、これまたスーパージープとなると定員も限られるため、なかなか難儀で、実はこのアスキャ訪問を軸にアイスランドでの行程を作成したと言っても過言ではないのである。
で、なぜ中止になったかというと…大雪の影響。
このアイスランドの旅の直前に火山噴火が起きて、この旅の結構が危ぶまれた事があったと以前にも書いていたのだが、実際のところ火山の影響は軽微で行程に支障を来すことはなかった。(氷河が真っ黒だった…などという影響はあったが。)
むしろそれよりも問題は今年の雪解けが遅く、こうした山間へ入っていく道の開通が大幅に遅れてしまったこと。
アイスランドの事情を勘案し、動きの取れないオフシーズンでもなく、かと言って人が多く交通費や宿代が跳ね上がるオンシーズンでもなく、良い意味でいいとこ取りが出来そうな中間のショルダーシーズンを狙ってアイスランドへと旅していたのだが、このセコイ考えが裏目に出てしまったようだ。
更に言うと、この後の行程でも「雪解けの遅れ」による影響を受けた日があり、何だかんだで大雪の影響は結構大きかったのである。
とは言え、相手が自然現象ではどうなるものでもなく、折角の目玉とはいえ、潔く諦めて代替案を考えるしかないだろう。
一応、ギリギリまで状況を見極めていたのだが、昨日の夕方にオフィスへ打ち合わせに出向いたところ、やはり無理とのことで、アスキャ訪問は幻に消えてしまうことが決定。
とは言え、ある程度課題を残しておいた方が、次回以降の訪問に向けてのモチベーションを保てるので、これはこれで良いきっかけに成ることだろうと思っておくことにしたい。
そしてツアー会社の係員のおじさんは、私が既にミーヴァトン湖を周遊してきたと言うことを踏まえた上で、重複が少ないコースと言うことで、フーザヴィークという街でのホエールウォッチングとデティフォスの滝を周遊するツアーを代替案として提案。
私自身でも、アスキャがダメなら、ヨーロッパで指折りのホエールウォッチングスポットであるフーザヴィークへ路線バスで訪問し、ホエールウォッチングボートに乗ってみようかと内心考えていたので、この代替案を有り難く受け入れて、ツアーに参加することに決定。
もちろん私の旅の趣向からすると、ここは路線バスで…と言いたいところなのだが、やはり路線バスだとフーザヴィークを往復するだけで終わってしまうので、フーザヴィークに加えてデティフォスの滝へも行けるツアーも悪い選択肢ではない。
但し普通にコスト面を考えてしまうとスーパージープでのツアーは明らかに割高なのだが…実はアスキャがダメになったことを踏まえて、ツアー会社側からアッと驚くようなスペシャルプライスが提示されたので、今回はお言葉に甘えることにした次第。
(但し今回は特別な配慮によるものなので、具体的な金額については伏せておくことにしたい。)
先ずは今回の訪問先を地図にプロット
まずは今回お世話になったスーパージープの紹介から。
何と日産車。まあ日本車だらけで、四駆が多く見られ、北海道辺りと似たような車が多い国なので、こうしたスーパージープにこの車が選ばれるのもまあ自然な選択なのだろう。
今回はスーパージープでのツアーなので、直接ホテルまで迎えに来てくれ、楽々出発。
3列シート7人乗りで、今回は私の他に、若い男性のガイドさん、英国から来たという40台後半~還暦あたりの年頃と思われる3人組(男性2人+女性1人)の合計5名が乗車。
こぢんまりとした雰囲気で、ドライブ気分のツアーになると思いきや…
ホテルでスーパージープに乗り込むと、いきなり英国人のオバサンに「あなたどこの大学の学生さん?」と聞かれるではないか。
いくら東洋人が若く見えるからと言っても、学生に見られるとは…ちょっと困惑しながら、「○○○大学をもう卒業したんですよ」と返答。まあ○○○の部分は日本でも有名な地域名がそのまま入るので、大学そのものは知らなくても「ああ、○○○の大学ね。○○○って日本の…の辺りよね~」と言ったような雰囲気。
ところがオバサンからすると、どうも期待したような返答ではなかったようで…何しろ宿泊しているのが、大学の学生寮を夏休み中だけ開放しているというホテルなので、どうやら留学生と勘違いしていた様子。ガイドさんがその辺りを説明し、この件は一件落着。
…というか、このオバサン、ちょっと不思議ちゃん系統で、何だかちょっとズレている人のようだ。
ただそれなりにステータスのある人でもあるようで、謙虚さに欠けている節があり、困ったことに自分の不思議な世界観をごり押しする傾向があるようだ。
とりあえずそれはさておき、スーパージープは、途中まで昨日ミーヴァトン湖への往復に利用したのと同じ道を走行。
そして第一の目的地は、アークレイリとミーヴァトン湖の中間に位置する「ゴーザフォス」という滝。
実は昨日も最初に訪問していたのだが、重複するポイントだったので、旅行記の構成上、本日分でまとめて紹介することにしたい。
少し角度を変えて
落差は12mと、そこまで大規模な滝ではないのだが、見る角度によってその姿を変え、なかなか見応えのある滝である。
ちなみに「ゴーザフォス」とは、英語にすると「ゴッドフォール」。つまり「神の滝」という意味である。
その名が示すように、歴史のある滝であり、1000年もの昔、アイスランド土着の宗教とキリスト教の争いが終わり、アイスランド全体がキリスト教を信ずることにした際、それまでの土着の宗教で信仰していた神像をこの滝に投げ込んで、土着宗教との絶縁を宣言した場所とのこと。
そして川沿いには遊歩道が整備され、滝からの距離を変えつつ、滝の色々な表情を眺めながら散策することができる。
基本的に「滝の真横の駐車スペースで下車」→「徒歩散策」→「少し下流のレストハウスで集合」というのが、ツアーで訪れたときの基本的なパターンのようだ。
少し下流からみた滝
● クジラの街フーザヴィークで…
ゴーザフォスを後に、ミーヴァトン湖方面への道を分かれ、アイスランド北海岸に位置するフーザヴィークを目指す。
途中、自動車博物館を車窓見学。
本来は有料施設なので、車窓見学などという手法は適切ではないのかも知れないが、英国人3人連れの「ちょっと見てみたい」と言う要望に、ガイドさんが「ちょっとで良いなら、敷地内を通り抜けてみましょうか。ああ大丈夫ですよ~」と言った軽いノリで応えてこういう形になった次第。まあ「ちょっと見るだけ」なら別に入館しなくても良いと言うことだろうか…
そしてフーザヴィーク空港を横目に通過。
何でも定期便は無く、非常用+自家用機の離発着に使われているとのこと。
そして北極海が見えてきて、港町フーザヴィークに到着。
まずはクジラ博物館を見学
クジラの種、生態、そして捕鯨の歴史など、詳細な展示でなかなか見応えのある施設。やや作りが荒いところがあるものの、なかなか工夫されているのではないだろうか。
ちなみに捕鯨に関しては、至ってフラットであり、欧米諸国が過去に行っていたアブラ目当ての捕鯨や、その後の捕鯨禁止の流れ、そして現状(日本やアイスランドが捕鯨を継続)について坦々と紹介している印象。
そして最近のニュースから、クジラや捕鯨に関する記事をプリントして掲示しているコーナーがあり、ここで例の英国人のオバサンが「この記事を読みなさい」と指示してくるので、読んでみると、日本の捕鯨船が航行中に誤って領海侵犯をしたとかそんな感じの記事。
まあこのオバサンは反捕鯨主義者の様で、何でも良いから目の前にいる捕鯨国日本から来た人間を攻撃する材料が欲しいだけ。
とは言え、こちらとしてはこの記事からは「ルールは守らないとね」と言った程度の感想しか出さないので、オバサンはややイライラ気味。
本当は「日本は可愛いクジラを捕鯨している悪い国です。深く反省し、これからは反捕鯨を訴えます。」とでも言って欲しいようなのだが、そんな感想を持つわけが無く、そもそもこの記事だけで捕鯨問題に切り込むのは無理があるところ。
但し日本国内にいると「欧米人が捕鯨についてアレコレ文句を言っている」といった認識なのだが、実際は必ずしもそうでは無い様子。
実際、このオバサン一人はギャーギャー吠えているものの、お連れの英国人男性2人は完全に冷めている。
オバサンのいないところでさりげなく話を聞いてみると「俺らはそんなもの食わんけど、まあ勝手にやれば?。まあ絶滅の危機にあるなら止めた方が良いけど、きちんと資源管理してやるなら良いんじゃないか。何か騒いでいる人もいるけど、まあ興味ないわ。」と言った具合。
要は騒いでいるのは、一部の過激な主張をしている連中のみといったところで、日本ではそうした騒ぎの部分ばかりが伝えられるので、ついつい「欧米全体が…」と思ってしまうのだが、実のところ「興味ない」という人が殆どなのではないだろうか。
それどころか、捕鯨国アイスランドに来て、クジラ料理に挑戦し“おっかなビックリ”な感じでクジラを食べているアメリカ人も見てきたわけで、捕鯨国ならではの味覚として「食べてみたい」と思う人も多少存在しているようだ。
ふと思ったのが、捕鯨問題と似たような問題で、「犬を食用にするか?」といった問題があるのだが、実際に大多数の日本人は「犬を食べるか」などと言った事に興味が無く、一部に動物保護の観点から反対意見がある程度だろう。
しかし犬を食べる地域では、その一部の意見だけを取り上げて「日本人が我々の文化を否定し…」と反発もあるようだが、実際のところ“否定”云々以前に、そもそも大多数の日本人が「犬を食用にするか?」というテーマに興味など無いのが実態だろう。
また逆に一部の日本人が現地で郷土料理として“おっかなビックリ”食べている人もいることだろう。
そうは言っても、今目の前にいるのは反捕鯨主義者のオバサン。
このオバサン、ずっとアレコレ文句を言って絡んできたり、あるいはわざと聞こえるようにお連れさんに「これだから日本は…」などと言っていたりするのだが…
しかしこのオバサン、よく言えば敬虔なクリスチャンのようで…創造論的な発想で「神に与えられた食べ物ではないから」「可愛そうだから」などと言っている限り議論になるはずもなく、お連れさんにも「そういうことなの?良くわかんないけど…」と可愛そうなくらい冷めた対応をされているのである。
私としても、科学的な根拠に基づいて、例えば「調査捕鯨がクジラの生態に深刻なダメージを与えている」「母クジラを殺された子クジラがストレスにより深刻な影響を受けている事実が数値的に証明されている」…とでも言うのであれば、「捕鯨国側で見落としている視点」などに気付くこともあるだろうし、色々話を聞きながらこれからの捕鯨のあり方についてディスカッションしても良いと思う。
しかし相手が「神が…」「可愛そうだから…」といった具合では、根本的に違う土俵(科学と宗教)にいるわけで、話をするだけ時間の無駄。もしディスカッションをしたところで、水掛け論にしかならず、これまた時間と労力の無駄で、お互いにストレスにしかならないだろう。
(逆に敬虔なクリスチャン同士なら、教義や聖書の解釈などで、意味のあるディスカッションも出来るのかもしれないが、これではあくまで“宗教上”の善悪の議論にしかならない)
なので、「言っていることがわからんわ~」と相手にしないのが一番だろう。
そしてこんな空気のまま、港の小さなカフェでランチタイム。
どう考えても10人そこそこしか入れない小さなカフェ。
ここでサーモンのサンドウィッチと日替わりスープをオーダー。
パンの外側のかりっとした食感と、キュウリ・トマト・サーモンのしっとりした食感が絶妙にマッチして、なかなか良い感じ。具だくさんのシチュー風のスープは、牛乳の香りが生きた自然な美味しさでこれまたなかなか美味しい。
しかし隣のテーブルでは、例のオバサンが既にあきれ顔のお連れさん相手に「捕鯨なんかしているから…これだから“日本”は…」と、わざとこちらまで聞こえてくるような声でしゃべり続けている。
これには私の向かいに座っていたガイドさんも苦笑。
とは言え、ネイティブな英国人の英語を完全に聞き取るにはそれなりの集中力が必要で、私のようなプアな英語力の人間は“何か食べながら、英語を聞き取る”などという達者な芸当は無理。目の前の食べ物を見ていれば何も聞こえてこないので、まあ問題なし。
そして食事を終え、ガイドさんと雑談しながら一息ついていると、例のオバサンがこちらのテーブルへやって来て、ガイドさんに「貴方はホエールウォッチングなど、クジラに関わる商売をしているのに、どうして捕鯨には反対しないわけ?」と言った具合に絡み始めるではないか。
しかしガイドさんからすると、このオバサンもお客様。無碍にも扱えず、丁寧に応対するしかない。
とは言え、ガイドさんは捕鯨国であると同時にキリスト教国でもあるアイスランドの国民。
「クジラも小魚やプランクトンを沢山食べているわけで…」と言った具合に、「可愛そう…」あるいは「神が…」と言った話でも、キリスト教徒同士で解釈の仕方など、それなりに議論が可能なのである。
とは言え、ガイドとゲストという立場があるので、ガイドさん側は結構言い回しなどに苦労していたのだが。
しかしこの段階までは、まあ周りの目も「困ったオバサンだね~」「君も災難だね~」といった感じで、まあせいぜい苦笑程度で済んでいたのだが、このあと空気が一変するような展開が…
ガイドさんへの絡みが一段落したかと思えば、今度は私に向かって絡んで来るではないか。
しかしオバサンの口から出てきたセリフは…「この間の地震は大変でしたね。貴方のお友達も被害を受けられたのでは…」と話題が変わったかと思いきや…
そして次に出てきた発言が…
「津波で多くの人が死んで、フク…フク…えっとフクスマ(微妙に「フクシマ」と言えてない)みたいな事故が起きたでしょ。貴方どう思うの?これは捕鯨なんかしているからよ。報いを受けたのよ。ホント日本は…」
…と言い出すではないか。正直この後もアレコレ言っていたのだが、私が覚えている(というか、意識して聞いていた)のはココまで。
確かに報道で「震災は捕鯨の天罰説」と言っているというグループが居るとは聞いたことがあったものの、本当にそれを面と向かって言ってくる人が居たとは…
オバサンはこの後も私に向かって何か話し続けており、オバサンの意識は私だけに集中しており、周りの空気が変わったことなど全く気付いてはいない様子。
私の意識がオバサンから逸れたのは、オバサンの発言に対する怒りと呆れはもちろんなのだが、この発言が出た瞬間、周りの空気が一変したことに気がついたからでもある。
その場にいたガイドさん、オバサンのお連れさん2人、居合わせた客2人、そしてカフェの女性店員2人…合計7人が一斉にオバサンの方を向き、一瞬の驚きの後、軽蔑のまなざしへと変わったのである。
相変わらずオバサンの意識は私だけに向いていて、何も気付かないのだが、後ろでは居合わせた2人の客が私に向かってアイコンタクトと首を振って「それは違うよ」とメッセージを送ってくれた。
更に顔を見合わせていたオバサンのお連れさん2人は「俺は関係ないし、俺はそんなこと言ってない。俺の考えではないぞ。」と言った具合に席を立っていった。
そしてカフェの店員2人は完全に軽蔑の目で、相変わらずしゃべり続けるオバサンに冷たい視線を浴びせている。
今までは、私から見て荒唐無稽な主張であっても、オバサンの信仰を否定しないようにという配慮もあって、適当にあしらっていたのだが、流石にコレはハッキリ否定をしなければいけないだろう。
それに周りの空気も「これはノーと言って良いよ…むしろノーと言えよ!」と言った具合。
ここでオバサンと言い合いになったとして、例えそれが水掛け論でも、周りは解ってくれている…逆にここで否定もせず適当にあしらっていたら、「本当に日本人はダメだ」と思われてしまうことだろう。
こうしてオバサンと戦う(もちろん武力という意味ではない)決意を固め、相変わらずアレコレしゃべり続けているオバサンの話を遮り…
「それは違うだろう!!」
…と否定した上で、「あのさぁ…」と続けようとした瞬間、ガイドさんがタイミングを見計らったように「もう十分。それさえ自分の口で言えばいいよ。」と言った具合に割って入って、冷静に「それは関係のない話なのでは…」と事態の収拾に取りかかった。
まあ私としても、オバサンと土俵違いの不毛な言い合いをしても仕方が無く、「震災は捕鯨の天罰説」に関しては明確に否定したわけで、もう十分。
しかしオバサンとしてはまだまだ言いたいことがあるようで、食って掛かってくるのだが、これはガイドさんが完全に引き受けて、「後は引き受けるから、席を外してくれ」とアイコンタクト。
まあ私が相手になったところで、土俵違いで全くかみ合わないだけなので、ここは捕鯨国かつキリスト教国のアイスランド人ガイドさんに任せるのが一番良い選択だろう。それにこのガイドさん、なかなか頭の切れる人だと思うので、この後のツアーの遂行への影響を押さえるという観点からも、ガイドさんに任せてしまうのがベターだろう。
こうしてオバサンとの不毛な絡みは終了。
ちなみにこの後は、ホエールウォッチング船が北極海の荒波に襲われ、誰もがダウンしてしまい、しばらくは平穏。
更にこの後の車内などでは、オバサンのお連れさんの男性2人が間に入り、オバサンと私が直接絡まないように配慮したり、風向きが怪しくなると話題を逸らすなど、さり気ないアシストをしてくれて、何とか平穏にツアー終了まで漕ぎ着けたのである。
(しかもオバサンの顔を潰さないように対応しているのが英国紳士らしく素晴らしいところ)
しかしオバサンは全くそんなことにも気付かず自由奔放。まだまだ言いたいことがあって…と言った雰囲気だったのだが、まあある意味羨ましい性格である。
● 北極海の荒波を思い知り…
こんな不穏なランチタイムを終え、いよいよホエールウォッチング船に乗船。
この段階では「雰囲気のある船だなぁ~」程度だったのだが、実際はこの船でクジラを求めて北極海へ漕ぎ出すわけで…
先ずは簡単にクジラに関するレクチャー
そしてクジラを求めて漕ぎ出していくのだが…一向にクジラは見られず
こんな感じで常にクジラを探し続けるも…
こうしてまたまた不毛な時間が過ぎていくのだが、困ったことにここは北極海。風も強く寒い。そして波も高く、船の真ん中にいても波飛沫が上から降ってくるような有様。とにかく船に乗っているのも苦痛。
少し生々しい話なのだが、段々とトイレに駆け込む人が増えてきて…当然数少ないトイレで間に合うわけもなく、最後はあちこちで欄干から海へ向かってエチケットタイムに入る姿が見られてくる。
ぐらぐら揺れる船の上で、波飛沫を気にしながらエチケットタイム…もう完全に地獄絵図である。
出港から2時間を過ぎ、本来の時間を過ぎてしまったのだが、その間に一頭もクジラが見られなかったため、特別に時間を延長してクジラを探すことに。
とは言え、時間を延長すると、それだけ地獄絵図も長くなるわけで…
そして出港から2時間20分が経過し、ようやくイルカの群れを発見。
ここフーザヴィークは、ホエールウォッチングのメッカだけあり、クジラの壮大なジャンプ姿など見られる…とされているのだが、残念ながらイルカの群れを少し遠くから見ただけで終了。
「イルカもクジラの一種、一応は見られたし帰りましょうか…」ということで港へと戻ることに。
「ホエールウォッチングのメッカまで来てこれだけ…??」と思ってしまいそうなのだが、地獄絵図の様な船の上で、誰も文句を言うこともなく、むしろ「早く帰りたい」というのが大多数の本音だろう。
また私の場合、この翌日も北極海で船に乗る予定になっており、この段階では正直「明日、やっぱり飛行機にしとけば良かった…」とかなり後悔もして憂鬱になっていたのである。
(但しこのホエールウォッチングで北極海の恐ろしさを知ったため、事前に覚悟を決めて、それ相応の準備をすることが出来たため、ホエールウォッチングでの地獄絵図体験もそれなりに活かされたとも言えるのだが。)
そして帰りの船の中で、ホットチョコレートとシナモンロールのサービス。
クソ寒い北極海の海の上で、ホットチョコレートのサービスはかなり嬉しい…と思いきや、この地獄絵図のような状況ではあまり手が伸びず、特にシナモンロールは大量に残ってしまい、スタッフが何度も何度もおかわりを配り歩いていた。
こうして予定時刻を大幅に越えて、3時間30分にも及ぶ地獄絵図航海も終了。
陸地が見えてくるとホッとした気分になる。
<つづく>
撮影機材
・SONY α200 + SONY CarlZeiss T* Vario-Sonnar 3.5-4.5/16-80(24-120)[SAL1680Z] and SIGMA 10-20(15-30)mm F4-5.6 EX DC
・SONY CyberShot DSC-TX5 (CarlZeiss T* Vario-Tessar 3.5-4.6/4.43-17.7(25-100))