なおこのぶろぐはこちらのブログからの続きになります。
・のと鉄道と御陣乗太鼓
輪島で一泊し、2日目は能登半島沖の日本海に浮かぶ絶海の孤島「舳倉島」へ日帰りで訪れることに。
なお舳倉島の詳細については、
こちらのページなどを参照願いたい。
宿から15分ほど歩いて、輪島港へ。
今日は海も穏やかで、航海も順調であることを願いたい。
そして到着した「へくら航路株式会社」の待合所。
この会社は「ニューへぐら」という船で、輪島-舳倉島間を1日1往復運行しており、朝輪島を出発して、午後舳倉から帰ってくるスケジュールなので、日帰りでの訪問も可能である。
基本的に通年運行だが、夏場と冬場でダイヤが異なっているほか、お祭りなどで島民総出で外出している期間は休航となるとのこと。
夏時間の場合、輪島9:00→舳倉島10:30/舳倉島15:00→輪島16:30となり、4時間半ほどの滞在となる。(冬時間の場合、帰路の舳倉島出港が14:00に繰り上がる)
まあ一周4km程度の小さな島なので、4時間半でも十分散策できるだろうという判断である。
なお舳倉島には2軒の民宿があり、宿泊も可能なのだが、絶対的なキャパが小さく、施設もそれなりで、しかも相部屋が基本で、しかも利用者は専ら筋金入りの鳥屋さんばかりということで、何となく入って行けそうにない気がして、舳倉島で泊まろうという気分にならず、今回は日帰りでの訪問を選択した。
ちなみに運賃は片道¥2200で、輪島港で往復券(割引は無し)を購入することになる。
しかし日帰りで往復運賃が¥4400とは、ちょっと高い印象も受ける。
乗船券を購入した段階で既に出港20分前。窓口のお姉さんから「このまますぐ乗船してください」と言われ、船へと向かう。
待合所から船の停船場所まで徒歩5分程度だろうか。ちょっと分かり難く迷いながら到着。
「ニューへぐら」は全長37mのこぢんまりとした旅客船である。(フェリーではないので車両は持ち込めない)
そしていよいよ乗船。改札は乗船券に昔ながらのパンチ式のハサミで入鋏する方式。
客室は横3人掛けの椅子を一人で利用できる程度の乗船率。但し思っていた以上に鳥屋さん率が高い様子。
喫煙室はセミコンパートメント風。
そして事前の下調べで「島には自販機の類は無く、民宿で飲物を販売しているが、宿泊者以外には至って冷たい(つまり売ってくれるかは気分次第)」との事だったので、時節柄を考慮し、予めペットボトルのドリンクを買い込んでから乗船していたのだが、案ずるまでもなく船内にも自販機が設置されていた。(しかも市価)
結論から言うと、今では舳倉島の港に自販機が設置されており、そこまで心配する必要は無いのかも知れない。(但し1台しか見かけなかったので、売り切れなどの想定して事前に準備しておくに越したことはないだろう)
ただ飲物に関してはこういう状況なのだが、食べ物に関しては外食産業はなく、民宿も宿泊者や事前の予約が無い限り用意はしてくれないとのことなので、何らかの食事を用意しておく必要があるだろう。なお今回はランチパックをカバンの中に忍ばせている。
そうこうしているうちに出港。
輪島港を眺めて
船は防波堤を過ぎ、日本海の真ん中へと漕ぎ出していくのだが、海は至って穏やかで一安心。
何せ朝に弱いので、眠気をも要してしまい、船内でちょっと睡眠。
ふと気がつくと、時間的にちょうど中間にあたる9:45。
思いついてデッキへ出てみると、ちょうど輪島と舳倉の中間に位置している七ッ島という無人島群の真横を航行中。
そして七ッ島近辺から既に遠くに舳倉島灯台が見えており、段々と舳倉島が近づいてくる様子をデッキから眺めて過ごすことに。
遠くから見ると、灯台を中心に左右対称の端正な形の島である。
船はどんどん舳倉島へ接近。
そしてほぼ定刻通りに舳倉島へ着岸。
離島らしく、家族の出迎えなどに来ている人もいるようで、ほのぼのとした雰囲気である。
そして子供達の姿もあり、「先生!」と呼ばれている人が引率しているようなので、小学校の休み時間に船を見に来ているのかも知れない。
そう言えば、この島の小学校は休校中と聞いていたが、いつの間にか再開していたのだろう。
そして下船。
私以外の乗船客は全て家族の出迎え、あるいは民宿からの迎えが来ており、一人だけ出迎え無しというのもちょっと寂しいような気もする。
民宿の宿泊客はリアカーに荷物を積み込み、客も運搬の手伝いをしつつ宿へ向かうようだ。
まあ鳥屋さんが多いので、立派な機材が入っていると思われるバッグの多いこと。
そう言えば船内でも「○○鳥だ!!」と叫びながら、白レンズを振り回している人の多いこと。
今回、島巡りそのものを目当てとして、16-80mmの標準レンズ1本しか持っていない私は船内でもちょっと浮いていたのだが^^;
しばらく港近辺を眺めてぼんやり過ごす。
そうしている僅かの間に、船の乗組員以外誰も居なくなってしまう。
そんな静かな島を歩き始めることにする。
この舳倉島に関して、実際に来るまでは「日本海の絶海の孤島」といった印象を持っていたのだが、こうして実際に踏み立ってみると、島内の案内板や道路(と言っても歩道程度だが)、東屋など意外に整備されており、気持ちの良いお天気も相まって、何となく西南諸島の観光地化された島を歩いているような気分になる。
島内の案内板
今回のブログで取り上げる範囲
まずは島の中心を横切って、島の北海岸へ抜けることに。ちょうど島の中心部を通っていくことになる。
港近くの集落
小中学校(併置校:ともに輪島市内の学校の分校扱い)
島の中心に聳える灯台が散策の目印になる
ちなみに左側のタワーは簡易水道の給水塔で、内部も「展望塔 兼 簡単な資料館」として公開されている。
先ず訪問しても良いのだが、今回は先に遠くから散策して、港近辺に関しては船の出港時間を考えつつ最後にすることにする。
駐在所は普段閉鎖されているとのことだが、この日は何かの通信実験のため、駐在所の施設を使用しているようだ。
診療所には医師が常駐しているとのこと。
そしていよいよ島の北海岸へ。
先ずは金比羅神社。
但し道路からの参道は草ボウボウ。
とは言え、まあ藪かきという訳でもなく、参道の全容も見えているので、迷わず突進。
「金比羅」を名乗るだけあって、防疫神とのことで、旅の安全を祈願。
お参りを済ませ、次の目的地は…
目の前に見えているのだが、流石に道無き草むらを突き進むよりも一度道へ戻った方が良いだろう。
そして道を歩いていくと、「無他神社遙拝所」なる場所に到着。
そしてその裏手には池と祠が。
この池は龍神池と言い、以下のような伝承があるとのこと。(ちょっと見難いのはご容赦)
そしてこの龍神池の脇へ入っていく道を進むと…
観音堂へと到着。
ここからは龍神池だけでなく、日本海も見渡せて、ナカナカの絶景ポイント。
ちなみに下の写真で入江に見える湾は、その昔火山の火口だったものの一部が崩れ現在のような弧を描く湾になっているとのこと。
またこの日本海の向かいは大陸。日本の最果ての地に来ている…のだが、お天気も良く海も穏やかなため、あまりそういう実感は無し。
しばしこの景色を楽しんでから、再び散策を再開。
しばらく歩いていくと、島の最北端かつ最東端の恵比寿神社へ到着。
ここは漁業繁盛の神様ということもあってか、社殿は海向きに建てられており、参道からぐるっと回り込むことになる。
社殿の前は見事な板状節理の海岸で、沖には無数の漁船が出漁しているのが見える。
そしてこの舳倉島の海岸には「ケルン」と呼ばれる石積みが見られる。
これらの石積みは、龍神様の供養として海草の豊漁を願うという宗教的な意味合いのほか、元々標高の低い島であることから、灯台が無かった時代少しでも石を積み上げて海上からの視認性を高める、そして海女さんの漁場の目印といった実用的な意味合いもあるとのこと。
現在では立派な灯台もあり、実用的な意味合いが薄れているものの、貴重な遺産であることから「石積みに触れないように」との注意書きなども見られた。
こうして島の北海岸の散策を終え、これから集落の続く島の東~南海岸へと歩を進めていくことにする。
<つづく>