今回の記事は、先日アップした「富山へ」の「***中略***」の部分にあたるものです。
初っ端から、Wikipediaの引用…
黒部ルート
黒部ルート(くろべルート)は、黒部峡谷鉄道本線欅平駅から関西電力黒部川第四発電所を経て黒部ダムに至る、関西電力の物資輸送ルートの総称。
黒部峡谷鉄道欅平駅から竪坑エレベーター前の「欅平下部駅(竪坑下部駅)」までの下部軌道専用軌道部分(約500m)・竪坑エレベーター(高低差約200m)、関西電力黒部専用鉄道(上部軌道・「欅平上部駅(竪坑上部駅)」(約6.5km)~「黒部川第四発電所前駅(黒四発電所前駅)」、インクライン「黒部川第四発電所前駅(黒四発電所前駅)」~「インクライン上部駅」(高低差約450m)、黒部トンネル「インクライン上部駅」~黒部ダム駅(関電トンネルトロリーバスの駅の構内)(約10.3km)により構成される。原則として関西電力関係者以外は通行できないが、関西電力が主催し富山県が協賛する「黒部ルート見学会」に応募し当選すれば通行することが可能である。
なお、黒部ルートのうち上部軌道の仙人谷から黒部トンネルを経て黒部ダムまでの区間は、大町ルート(旧大町有料道路及び関電トンネル(大町トンネル))とともに黒四関連施設の建設工事のために開通したもの。大町ルートは立山黒部アルペンルートの一部として一般開放されている。
今回、幸運にも
“関西電力が主催し富山県が協賛する「黒部ルート見学会」に応募し当選”することが出来たので、かなりの強行軍ながら富山行きを決定した次第。
今回は欅平発のコースで当選したので、先ずは宇奈月から欅平まで黒部峡谷鉄道で移動。
本来的には黒部峡谷鉄道も、この「黒部ルート」の一部を担う鉄道で、関西電力の事業用路線という色合いが強いのだが、近年は観光路線としての役割が重くなり、関西電力本体から分社化され、独立した鉄道会社となっている。
そのため駅舎設備なども立派
しかし以前はあくまで「事業用鉄道への便宜乗車」という扱いだったため、こんな物々しいチケットが売られていたのだとか。
また構内では貨車など色々な事業用車両が見られる。(宇奈月から先は道路が通じていないので、鉄道が全てなのである)
そして旅客用の車両はと言うと、開放型トロッコの「普通車」の他に、窓付きの「特別車」、転換シートを完備した「リラックス車」など多様な客車を連結した列車が運行されており、しかも約20分毎の運行と観光にも利用しやすい設定。(一方でやはり電力会社の100%子会社だけあって、採算度外視な気もしてならないのだが)
シーズンには相当混雑するとのことで、この「黒部ルート」の見学当選者には「集合時刻に間に合う列車の特別車のチケットを優先的に事前購入できる」という便宜が図られている。
今回はその便宜を遠慮無く利用させていただくことにしたのが…梅雨時に台風まで近づいている中で、わざわざ黒部峡谷鉄道に乗りに来る乗客は殆どおらず、ガラガラなので何も事前購入せず、当日好きな車両のチケットを買えば良かったかもしれない。
今回乗車した特別車
結局、黒部ルート見学者+数名しか乗客がおらず、指定された号車ではなく「空いている車両に乗るように」と誘導され、1車両に5~6人しか乗車しておらず、至って快適な旅になったのだが、定員まで乗車するとかなり狭いのではないかと思う。
そして出発(普通車は殆どガラガラ)
黒部川水系に作られたダムや発電所を眺めながら
客扱いをする駅は少ないものの、作業員の乗り降りなどのために多くの駅が作られている
ちなみに写真に写っている貨車は、重機などを運ぶ専用貨車。
またその奥に見える「冬期歩道」と書かれたトンネルは、鉄道が運休する冬場にダムや発電所を維持管理する人員が安全に通行できるように設けられているトンネルである。
ゴミ収集車も在籍
黒部川を眺め
鐘釣の万年雪
そして一時間ほどで、旅客鉄道としての終点である欅平に到着。
ここから先、黒部ルート見学会となるのだが…
先ずはセキュリティチェック
そして関西電力の案内人の紹介と、非常用設備の説明などが行われる。
「日頃は電力事業へのご理解を頂き…」と言った口上付きで、誰もが苦笑。
そして防煙マスクの装着方法の実演。
「安全に十分配慮してはおりますが、JR北海道のようなことがありましたので…」と何だか他人事のような口上付きで、誰もが苦笑。
なお見学コース内では、ヘルメットの装着が求められるのだが、手前のお爺さんが被っているような、ヘルメットの下に被る使い捨ての紙キャップが配られ、衛生面に配慮されているかと思いきや…
ヘルメットを被ってみると、ヘルメットの紐から強烈な加齢臭。何だか詰めが甘い気がしてならない。
…と、思っていただのが、実際に見学コースに入ると、乗り物にすし詰めになるシチュエーションが多いので、この程度の臭いを気にしていてはダメと言うことなのかも知れない。
実際、参加者の半数以上が団塊世代なので、どうしてもお年を召した方特有の致し方ない体臭・口臭が充満してしまうのである。
#ブログで書く話では無いとは思ったのですが、今後参加される方で、臭いに敏感な方が嫌な思いをされてもいけませんので、それなりの覚悟を決めるか、あるいはマスクなどの自衛手段を用意されることをオススメするという意味で敢えて記載しました。
団塊世代の話が出てきたところで、序でに書いておくと、このツアーの参加者の半数以上はこの手のお爺さんお婆さん。
(その他はカップル、家族連れ、鉄チャン風、山ガール風などで、それぞれ1~2組ずつ。逆にハードな行程のためか団塊以上の世代の姿は無し。)
やはり平日にしか行われず、その前後の移動も考えると、相応の時間と費用が要求される見学会なので、どうしても団塊世代が多くなってしまうのだろう…
しかも「毎年一回限り」とされているこの見学会に毎年来ている人が多いのだとか。
やはり時間に自由が利くためか、毎年全部のコースに応募しつづけて、「今年は6月で当選した!去年はもう少し遅かったのに!」とか「去年はもっと早くに当選したのに今年は…」と言った様な会話が展開されており、片っ端から応募しているリピーターもそれなりに居る様子。
これは関西電力へ提出したアンケートにも書いておいたのだが、例えば「定員の何割かは、全くの新規の見学者に限定する」といった配慮をしなければ、お爺さんお婆さんの「例年のイベント」になってしまうだけで、貴重な見学の機会に本当に見学したい人が見学できないという状況になってしまっているのでは無いかと感じる。
そして見学会開始。どこへ行くかと思えば、先ほど載ってきた黒部峡谷鉄道の改札を抜けてホームへと入っていく。
何でも、旅客線の終点である欅平駅から先にも、事業用の路線が延びており、先ずはその路線に乗車して先へ進むのだとか。
列車を待つ間に先ほども車窓から見てきた「冬期歩道」をちょっとだけ見学させてくれる。
事業用列車(と言っても作業員輸送用なので、歴とした客車)に乗車
そして本当の意味での終点に到着
ここから先は標高差があるため、貨車や客車がそのまま積めるエレベーターで上部へと上がる。
エレベーターにある緊急用脱出口
案内人は全ての乗り物に非常用設備が完備していることを強調している。
そして険しい山の中へと到着。
霧がなければ、山岳救助隊の訓練に使われている崖などが見渡せるそうなのだが、今回はこの有様。
そしてエレベーターの上部にある「欅平上部駅」から関西電力黒部専用鉄道(上部軌道)に乗車するのだが、事業用の路線ながら案内板や待合室、駅務室など本格的な設備。(但しホームは無いので、見学者用に踏み台が用意される。)
見学者は10人ずつ、1つの客車に乗車し、それぞれの車両に案内人が乗り込む。
客車内
手動ワイパー
ちなみにこの客車は、高熱地帯を走るため耐熱仕様になっているとのこと。
そのため案内人曰く「サイズは軽四、価格はベンツ」なのだとか。
この高熱地帯は、黒部ルートの難工事の場所として知られ、冷水を作業員に拭きかけるなどの苦労を重ね、更に当時最先端の工法を取り入れつつ、完成に漕ぎ着けた場所なのだとか。
そして出発
10人も乗ればパンパンの車内でも案内人のレクチャーは続く
高熱地帯を通過(ドアを開けて、硫黄臭などを体験させてくれる)
そして途中、唯一地上を走る仙人谷の鉄橋(但し冬場に備えて屋根や鎧戸など完備しているのでそういう雰囲気ではないが)の停留所で一時休止
鉄橋から眺める仙人谷ダム
そして暫く進むと、数年前の紅白歌合戦で中島みゆきさんが生中継で歌った場所を通過。
当時、「プロジェクトX」で黒部ルートの難工事を取り上げた関係で、その主題歌を歌っていた中島みゆきさんがこの場所から生中継で出演したとのこと。
そしてこの先の案内は…
「生中継といっても、トンネル内は無線が使えませんからね。結局、大町近くの扇沢からケーブルを引っ張ったんですよ。」
「中島さんが、作業員用の宿舎に泊まるのが嫌だと言い出しまして、発電所の応接室で泊まられまして、それで応接室が『中島ルーム』と呼ばれるようになったんですよ。」
…といったエピソードの紹介が中心となり、後刻当時の紅白歌合戦のVTRも上映された。
そして上部軌道の終点に到着
ここが「黒四」の愛称で知られる、黒部川第四発電所。
環境への配慮から完全に地中に作られた発電所で、まるで秘密基地のような趣。
そして、本来のメインである黒部川第四発電所の見学がスタート。
先ずは立派な部屋に通され一休み。
これまた黒部ルートを難工事にしてしまった「破水帯」から湧き出たミネラルウォーターがサービスされる。(関電の関連企業の関電不動産なる会社が販売しているとのこと)
そしてこの部屋の中は、見学ルート上で唯一ヘルメットの脱帽が認められる場所でもある。
模型やビデオを使ったガイダンスの後、いよいよ発電所本体を見学。
灯台のような構造物の下にタービンが設けられ、黒部ダムから導水してきた水でそのタービンを廻し発電しているとのこと。
そしてそのタービン(ペルトン式水車)の現物(メンテナンスのローテーションの関係で、常時1個は取り外されているので、その現物を展示)
ペルトン式水車の模式図
そしてガラス越しに制御室も見学(後に富山市から遠隔制御が行われるようになっているので、現在は予備的な存在)
更に階段を下り、地底深くへ進んでいくと…
何と実際に水車が廻っている部屋の前に
そしてガラス越しの見学かと思いきや…
一人数秒ながら、何と実際に水車が回っている(毎秒6回転)部屋に入って見学。
<つづく>