※今回の内容は「五新線専用道を走るバスに乗る(前編)」からの続きとなります。
※繰り返しとなる説明などは省略していますので、前編と併せて読んでいただけると幸いです。
※また特記がない限り、撮影機材は「FUJIFILM X-E1 (PRO Neg. Hi) + XC16-50mm」となります。
バス専用道として使われている区間は、旧・西吉野村の中心部の「専用道城戸」バス停(国鉄バス時代は「城戸駅」)で終了。
この先も天辻峠を越えて、阪本地区まで鉄道施設が作られているのものの、こちらは専用道としては使用されておらず、一般人が通行する機会は基本的に無い。
元々、城戸駅には交換設備を設ける予定だったようで、かなり広い敷地が確保されており、構内の余剰敷地は五條市西吉野支所(旧・西吉野村役場)の駐車場として使用されており、バス車窓から役場関係者のものと思われる車が停まっているのが見える。
そして専用道城戸のバス停へと到着。
ここから先、バスは専用道を外れて、1km程東にある西吉野温泉まで乗り入れて折り返すのだが、このまま乗っていっても、温泉の営業開始時間前に到着してしまい手持ち無沙汰になるだけ。
なので温泉は後のお楽しみに残しておき、一旦専用道城戸で下車し、バスが西吉野温泉まで行って折り返してくる約20分程、ここのバス停の観察に当てることにしたい。
ここのバス停は、かつて国鉄バスの運行拠点として使われていたこともあり、待合所やロータリーを兼ね備えた、ちょっとしたバスターミナルになっている。
南側(阪本方面)から撮影
北側(五条方面)から撮影
駅舎は、小さな待合室とトイレを除き、雨戸が閉まったままになっているものの、往時はバス駅ながら駅員が常駐し、また乗務員の休憩所なども設けられていたとの事。
待合室内部の様子
おそらく正面のシャッターがかつての窓口跡。
そして待合室に置かれている灰皿がJR西日本バスカラーになっているのがポイントだろう。
他に「駅」らしいものと言えば、周辺の名所案内。
そしてバスが戻ってくるまでの間、ちょっとだけ周辺を歩いてみることに。
先ずは専用道の終点のゲートと待合所
ちなみに三角屋根の建物は西吉野タクシーというタクシー会社。
こちらは現役の会社でタクシーが1~2台程度、待機していることが多い。
ちなみに国道側を走るバスから、この駅を見上げた画がコレ
*SIGMA DP1
(
日本最長の一般路線バス・八木新宮線に乗るより引用)
三角屋根のタクシー会社と、その左手に四角い待合室があるのが解るだろうか。
しかし何も知らないと、本当に鉄道の駅があるようにも見えそうな画である。
そして上の写真ではタクシー会社の右手に、立派な高架橋が続いているのが見えるのだが、これを間近で見るとこんな感じ。
*FUJIFILM X-E1(PRO Neg. Hi) + CarlZeiss Touit Distagon 12mm F2.8
この高架橋から先は専用道としては使われておらず、橋の上のスペースも役場の駐車場として使用されている。
この高架橋の奥にはトンネルが続いているのだが、こちらはもう使用されておらず、フェンスで閉じられている。
それにしてもトンネルから、もくもくと霧が吐き出されており、何となく不気味な雰囲気。
橋のたもとから、ふと下を見下ろすと、一般道から専用道に繋がるスロープをワゴン車が上ってくる。
ちなみにこのワゴン車は自治体が運行するバスで、奈良交通が撤退した支線系統のバスの代替として運行されているもの。
ちなみにこのバスの乗客はおばあさんが1人で、専用道経由のバスへと乗り継いで五條市内へと向かう様子。
そのバスが走ってきたスロープを観察。
ちなみに正面に見える、大きな焦げ茶色の建物が五條市西吉野支所(旧・西吉野村役場)である。
このスロープは単純に一般道と専用道を繋ぐスロープとしての役割もあり、先ほど乗ってきたバスもこのスロープを下って一般道へ下りて西吉野温泉へと走り去っていった。
しかしそもそも専用道城戸(城戸駅)は西吉野村の中心部と川を挟んだ対岸にあるため、このスロープは純粋に橋としての役割も果たしており、これを上らないことにはバス停へとアクセスできないのである。
そしてもし鉄道の駅が開業していたならば、駅前へ乗り入れる道路として重要な役割を果たしていたに違いない。
とは言え、駅は周辺と比べれば1段高いところに位置しているわけで…
もし鉄道が通っていたなら、スロープの上にバスの回転場など設けることはスペース的に難しそうで、支線系統のバスで城戸まで来たものの、駅前までは乗り入れないので、このスロープを徒歩で上がらなければ鉄道に乗り換えできない…という事になっていた可能性もある。
そう考えると現状の「支線系統のバスも専用道のバス停まで乗り入れる」「本線系統のバスの殆どが、スロープの上の専用道ではなく、平面上の国道にあるバス停に停車する」という現状は、実はお年寄りにとっては便利なのかも知れない。
もう少し時間があるので、スロープを下りてみることに。
スロープの入口から
こうして見ると、実に立派な高架橋である。
そしてスロープ入口にはこんな看板が…
「国鉄」の文字の上に張り物をして、「JR西日本」と訂正しているものの、「バス
駅前お土産店」とあり、この専用道城戸(旧・城戸駅)バス停が「駅」として認識されていたことを物語っている。
(念のため再度説明しておくと、この五新線は鉄道用として作られたものの、実際に鉄道が走ったことは無い未成線なのである。)
しかしその土産物屋も今では見あたらず…現在はタクシー会社が使っている建物か、あるいはその横のシャッター付き駐車場がその土産物屋だったのだろう。
(そういえば、何故か今はそのタクシー会社で「地元産の蒟蒻」など売っているのだが。)
そして少し離れた、国道近くから撮影した写真
*FUJIFILM X-E1(PRO Neg. Hi) + CarlZeiss Touit Distagon 12mm F2.8
こうしている内に、西吉野温泉まで往復してきたバスが、折り返しの五條バスセンター行きとなって戻ってくる。
往路は私1人の貸切状態だったのだが、今度は先ほど自治体バスでやってきたおばあさんも一緒に乗り込む。
このおばあさんと運転手さんは顔見知りのようで、「今日、おじいさんはどうしているの?」と言った具合に気さくに会話を交わしている。
そしてバスは先ほど通ってきた道を戻っていく
トンネルに入り
トンネル内の霧に驚き
如何にも、鉄道らしさを感じさせる専用道を走行
まあ細かなことは前回との繰り返しになってしまうので省略。
しかし単線鉄道分の幅しかない専用道ならではの事件(?)もあって…
何と飼い主から逃げた犬が専用道に立ち入って道をふさいでいるのである。
しかも相手が犬なので、「路肩に避ける」などという気の利いた行動が出来るはずもなく…
バスを停めてしまい、しばらく睨み合いのような状態が続いた後、歩き始めたものの、よりによってバスの前を歩いていくため、バスは完全に犬に先導される格好に。
何しろ元が単線鉄道なので、犬を追い越せるだけの道幅もなく、このまま次のバス停までずっと犬の後ろを走る羽目になったのである。
で、私はその“次のバス停”で下車し、散策へと移ることにする。
しかしバス停であれば、バス同士の交換用に多少広めに作られているので…
これこそ犬を追い抜く絶好の機会。私が下車すると早々に扉を閉めて慌てて発進。そして一気に犬を追い越して去っていったのである。
下車したのは、前編でも少しだけ紹介した賀名生バス停。
五条方面から撮影
周囲より少し高い場所に存在していて、前後をトンネルと橋梁に挟まれているという、いかにも専用道らしい立地条件のバス停である。
ここも元々、鉄道の駅が計画されていたバス停だけに少し広めの敷地が確保されている。
城戸方面から撮影(奥に橋梁→トンネルと専用道が続いていく)
しかし前後をトンネルと橋梁に挟まれていることから考えると、交換設備を設けられるだけの長さは無さそうで、おそらく駅舎+ホーム1面+線路1線といったシンプルな構造になっていたものと思われる。
そういえば現在専用道として使われている範囲内で、鉄道の駅が計画されていたのは、ここ賀名生と、先ほどの城戸だけであり、鉄道として開通したところで五条-城戸間は1閉塞になっていたのかも知れない。
(ちなみに駅に関して言えば、五條市内で専用道に入る手前、現在は専用道として使われていない区間にも駅が1つ予定されていたほか、もしかすると正規の「駅」としてではなく簡易な「停留所」として駅が設けられた可能性も否定は出来ないのだが。)
そして小さな待合所があるだけのバス停ではあるのだが…
有名な賀名生梅林や南朝関係の史跡の最寄りということもあり、しっかり観光案内がある。
またもう運行期間は終了しているのだが、梅のシーズンなどを中心に、観光客向けの「ごじょう周遊バス」というバスが運行される旨の案内も掲示されている。
このバスは、2~5月の運行期間中の土日祝、日中に1日3往復、しかも無料で、更に専用道経由で運行されるとの事。
専用道経由の路線バスは、特に土日祝は早朝に1日1往復だけの運行と言うこともあり、かなりハードルが高くなっているが、このバスが運行されている期間を狙えば、比較的気軽に専用道経由のバスに乗車できるだろう。
そしてここのバス停から、集落へと続くルートはこんな道。
しかし下(集落側)から見てみると、そこはかとなく鉄道っぽい雰囲気がある。
おそらくこの階段が駅の正面玄関と繋がる予定だったのだろう。
そして駅の裏側には…
以前にも紹介した映画「萌の朱雀」で、主人公がバイクで送ってもらい専用道バスへと乗り継ぐシーンで使われているスロープがある。
(バイクが専用道バス停へとこのスロープを上がってくるシーンが多くある)
またこの賀名生バス停そのものも、映画で頻繁に登場する場所でもある。
※ここで専用道の話は終わりです。もう専用道の話題はもう出て来ませんので、専用道だけを目当てにされている方は、ここで中断されても宜しいかと思います。
そしてスロープから再び専用道に上がり、五条方面へ数十m進んでみると…
右手の橋梁と、その先のトンネル(見えにくいが…)が、専用道。
そして左手の立派な茅葺きの古民家が堀家住宅。
この堀家というのは、南北朝時代に、一時その住居が南朝の御所として使用された事もある、由緒ある地元の名士。
現在残る母屋は江戸時代の建物とのことだが、南朝当時の建物を一部再利用している箇所もあるのだとか。
ちなみに今でもこの敷地内に堀家の末裔が実際に居住しているというのが凄いところ。
今回はそんな賀名生地区をちょっとだけ散策してみることにしたい。
※今回は南北朝時代の話が出てくるのだが、少々マニアックな部分とは言え、教科書に出ているような日本史の単語や知識についての細かな説明は省略することにします。
但し一つだけ申し述べておくと、たまたま後醍醐天皇が存命のうちは吉野に拠点があったことから「南朝=吉野」と思われがちなのだが、それは南朝の歴史のなかではごく一部の期間に過ぎず、実際は勢力の盛衰に応じて、南朝の拠点はここ賀名生を含む大和・河内・摂津・山城といったエリア内で移動を繰り返していたのが実情であることを留意していただきたいと思います。
ちなみに「賀名生」と書いて「あのう」と読むのだが、元々は「穴生」(あなふ)という漢字が当てられていたのだが…
後村上天皇がこの地に移ってきた際に、南北朝の統一が“叶う”ようにと、「叶名生」(かなう)と地名を改め、更にその後一時的にではあるが「正平一統」として南北朝の統一が実現した際に、その喜びから“賀”の文字を充て「賀名生」と改められたという由来がある。
しかし漢字表記はともかく、地元では昔からの「あのう」という読み方で通っており、明治以降昭和34年まで、正式な村名が「賀名生村」(読みはあのう)とされたいたのだが、昭和34年に合併により西吉野村となって以降、この地名は消滅。
しかし歴史ある地名を復活させようという動きがあり、平成23年になって「五條市西吉野町賀名生」という形で由緒ある地名が復活したという次第。
そして賀名生の集落は専用道とは川を挟んだ対岸にあり、橋を渡っていくことになるのが…
橋の上から眺めると、ますます専用道が鉄道らしく見えている。
*FUJIFILM X-E1(PRO Neg. Hi) + CarlZeiss Touit Distagon 12mm F2.8
そして反対側は静かな雰囲気
更に味のある集落の中を通り抜け
先ほど、専用道側(川の対岸)から見ていた堀家住宅の正面に到着
まあもちろん今では皇居でも何でもないのだが、正面には「皇居」と書かれた立派な扁額が掲げられている。
まあここは元々あった堀家の屋敷に、南朝の天皇が身を寄せるような形で滞在し、御所として使われていた…とそんなトコロだろうか。
ちなみに内部の公開は…春と秋に1回ずつ予約制で行われるという説や、事前申込で奥さんの都合が良ければOKという説、更には研究等の目的でのみ受け入れてくれるという説など、諸説あるようなのだが、要は「原則非公開だが応相談」という事なのだろう。
(※興味のある方は、直接堀家へアポを取るのではなく、先ずは役場や観光協会などを通して問い合わせてみるべきだろう。)
まあ「突然訪れても、まず見学は不可能」という事だけは確かなので、今回は外観だけの見学に留める。
そしてこの“皇居”のすぐ横には、ちょっとした公園があり、その一角に資料館が建っている。
ココはいわゆる民俗資料館的な内容に加え、堀家に伝わる南朝や天誅組由来の文物を展示している施設なのだが、残念ながら撮影禁止のため写真は無し。
しかし後醍醐天皇から下賜された、現存最古の日の丸など興味深い文物も多く、興味深く見学。
元々はこうした品物は堀家で保管されていたのだが、1個人である堀家で管理するには膨大で、また実際に泥棒に入られるなどの事件もあったことから、自治体が資料館を整備し、堀家の文物を寄託する形で保管・公開しているのだとか。
また館内の休息スペースも綺麗で居心地が良く、バスの時間までしばし休憩。
そしてバスの時間を見計らい、今度は国道沿いの賀名生和田北口というバス停へと移動。
専用道経由のバスはもう夕方まで走っていないので、この後の移動は国道経由のバスを利用することになる。
専用道の賀名生停留所とは川を挟んで、徒歩2~3分と言ったところ。
しかし国道のバス停と専用道のバス停は、必ず別の名前を付けて厳密に区別されており、すぐ横にあっても同じ停留所名という事は無い。
多くの場合、国道のバス停が「○○」なら、専用道のバス停が「専用道○○」のように、「専用道」と冠して区別されているのだが(例えば「城戸」と「専用道城戸」)、ここ賀名生に冠しては例外で、専用道のバス停がただの「賀名生」、一般道のバス停が「賀名生○○○」(例えば「賀名生和田」「賀名生農協」など)となっている。
そして実は専用道の「賀名生」と対応するバス停が、この「賀名生和田北口」であるということは、実際に現地に行ってみるまで把握していなかったのだが…
そして走ってきたバスは…
*FUJIFILM X-E1(RAW) + XC16-50mm
私のブログを見て下さっている方なら、「どこかで見たような…」と思われるかも知れないのだが、実はコレ、八木駅から走ってきた八木新宮線の特急バスで、
数日前に八木駅から新宮駅まで乗り通したのと同じ便なのである。
数日前に乗ったばかりなので、八木駅から延々と走り続けて来ていることは先刻承知しており、まあ10分程度遅れて来たものの「まあ仕方ないね~」と笑って済ませることができる。
そしてバスに乗り込むと、新宮まで乗り通したときは意識もしていなかったのだが、普通にICカードが使えるなど、意外と都会的。
更に新宮まで乗り通したときは、バス目当てに来た人だけで十数人と大賑わいだったのだが、今回は地元客風の人が中心で、バス目当てらしい人は1~2人と言ったところ。(1人1人に聞いて回ったわけではないので、パッと見て地元客らしからぬ人やあるいは如何にもな感じの人が…という意味。)
それに数日前、新宮まで一緒に乗り通した運転手さんがたまたま乗務しており、顔を覚えていてくれたのが嬉しいところ。
先ほどバスで往復してきた第七丹生川橋梁を見上げて
*FUJIFILM X-E1 (RAW) + XC16-50mm
バスは改良済みの国道を気持ちよく快走。
単線鉄道規格の専用道とは異なり、トンネルでも特に神経を使う事なくスイスイ走行。
これほど国道が改良されてしまうと、専用道経由のバスと所要時間が逆転してしまうのも納得できるところ。
そして今度は国道沿いの「城戸」バス停で下車。
国道沿いのバス停から専用道城戸方面をみるとこんな感じ。
*FUJIFILM X-E1(PRO Neg. Hi) + CarlZeiss Touit Distagon 12mm F2.8
「専用道城戸」バス停との位置関係がわかるだろうか。
そして次のお目当ては、朝乗車した専用道経由のバスの終点でもある西吉野温泉なのだが…
何故か西吉野温泉まで乗り入れるバスは、朝夕の専用道経由のバスだけで、日帰り温泉へのアクセスとしては殆ど使い物にならない。
夕方の便は温泉からの帰路にも使えるが、朝の便は温泉の開店時間前に着いてしまい、あまり利用価値が無さそう。
無理矢理ポジティブ考えみたところで、西吉野温泉に何件かある宿泊施設へ宿泊客の送り込み用…という事なのだろうか。
とは言え、特に有名な温泉という訳でもなく、しかも宿泊施設と言っても、営業しているのかどうか解らない程に寂れているのだが…
そんな訳で、城戸から西吉野温泉まで、距離にして1km強を歩いて行くことにする。
まあこちらも改良済みの県道で、歩道もある快適な道をあるくのみ。
但し日陰はなく、時間的にもちょっと厳しいのだが、それなりに通行量のある道で、人気も自販機もあるので万が一のことがあっても大丈夫という安心感があるだけマシだろう。
(もちろん万が一の事など無いように、帽子や水分補給といった対策はとっているが)
しかし県道と平行して流れている川で水遊びをしている人の多いこと…なんとも羨ましく思いつつ、アスファルトの道を歩き続けていくことに。
そして西吉野村の中心部(?)を抜けて、トンネル(日陰になるので嬉しい)を抜ければ、温泉のある地区。
西吉野温泉のバス停を横目に歩き
雰囲気のある神社(城戸神社)があり、お参りしていこうにも、何故かフェンスで囲われており立入不能。
そしてお目当ての「きすみ館」という日帰り温泉へと到着。
バスの時間もあるので、特に焦ることもなく、先ずは汗を流してから、休息室で駅弁を食べ…と、ひたすらノンビリと過ごす。
ちなみに、私とほぼ入れ違いになった利用者はいたものの、基本的には温泉も休息室も貸切で、これまた実にノンビリと過ごすことが出来る。
浴室
*FUJIFILM XF1(ASTIA)
ちなみに温泉は「加温・加水・循環・塩素」と4拍子揃っており、特に特筆すべき泉質でもなければ、浴室も至ってシンプルな内湯のみ(窓から外に出て休息することはできる)で、特に評価することもないのだが、偶然とは言え“ほぼ貸切”でノンビリと過ごせるというのは何事にも代え難い贅沢なのである。
そして時間を見計らい、再び城戸のバス停まで歩いて戻る。
ちょうどバス停に到着した途端に、五條方面から城戸止まりの国道経由の区間便が到着したのだが、車両はそのまま回送となり専用道のスロープを上っていく。
どうやら折り返しまでの約1時間、専用道城戸のバス停で待機するようだ。
そしてもしかすると雨戸が閉まっていた駅舎の一部は、今でも奈良交通の乗務員休憩所として使われているのかも知れない。
(専用道経由のバスは、西吉野温泉まで直通する便を含め、基本的には五條方面からの折り返し運行で、乗務員の休憩は行われていないと思われる。)
そして、ふと思ったのが…朝夕のみの専用道経由便ではなく、この国道経由の城戸止まりの区間便を西吉野温泉まで延長したほうが利便性が高まるのではないかということ。
しかし専用道経由便は、そもそもJRバス撤退後の代替として、自治体からの委託で運行されており、当然然るべき補助があっての事。
そう考えると自治体の意向が反映されやすい専用道経由便だけが西吉野温泉まで乗り入れている理由も見えてくるような気がするのである。
それにJRバスが運行されていた当時は西吉野温泉へは乗り入れておらず、自治体の委託による廃止代替便になってから乗り入れを開始しているところを見ても、これはやはり自治体の意向なのだろう。
しかし逆に奈良交通が主体で運行している国道経由便を、西吉野温泉まで延長しようとすると、今度は奈良交通側の意向も絡んできて、更にその区間に対する補助金云々といった話も出てくるはずで、そう簡単な話では無いと言うことなのだろう。
そして国道沿いの城戸バス停でバスを待つ
*FUJIFILM X-E1 (RAW) + XC16-50mm
*FUJIFILM X-E1 (RAW) + XC16-50mm
地元の木材を使ったという簡素な待合所があり、温泉マークがついていて西吉野温泉の最寄りであることをさり気なくPRしているほか、城戸発の国道経由便だけでなく、専用道城戸発の専用道経由便のバス時刻表も併せて張ってある。
そして今回最後のバスとなるのが…
*FUJIFILM XF1(ASTIA)
(五條バスセンターでの休憩時間に撮影)
今度も八木新宮線の特急バス。しかも新宮からはるばる走ってきた便である。
この便で八木駅まで一気に戻り、近鉄に乗り換えて帰宅するつもりだったのだが…
しかしこのバスは数日前に八木から新宮まで乗り通したばかりで新鮮みが無いので、どこか途中下車しようかと思い始める。
本当のことを言うと…実はこのバスには十数人の御団塊様グループが乗っており、半ば貸切状態。要は2人掛けの席に1人ずつ座っているような状態。
しかし五條の市街地が近づくにつれ、乗客が増えてくるのだが…自分たちが2席ずつ占拠して座りたいために、ワザと荷物を置いたり、露骨に嫌そうな顔をしてみるなど…相変わらずな有様。
更にメンバーの隣に座った(奈良交通は乗客が着席しないと発車しない)高校生に対し、ひそひそ話を装いつつ、わざと聞こえるように悪口を延々と聞かせ(しかも「こういう田舎の高校に通うような子は、往々にして云々…」と直接本人に関係無い決めつけ&言い掛かり)、更には不正乗車の打ち合わせまでし始める有様。
こんな御団塊様と同じバスに乗り続けるのが苦痛になってしまい、逃げ出したくなってきたというのが実情…
そんなとき、このバスが近鉄御所駅を経由することを思い出し、少々遠回りにはなるものの、御所駅で近鉄に乗り換えることに決定。
まあもう日が傾きかけており、途中下車や散策が楽しめる時間ではないのだが、近鉄御所線は今まで乗ったことが無く、新鮮みもあることからこのルートで帰宅することにした次第。
近鉄御所駅
*FUJIFILM XF1(ASTIA)
近鉄御所線の列車
*FUJIFILM XF1(ASTIA)
そして尺土・橿原神宮前と、乗り継ぎが多く、やや遠回りなルートになったものの、未知の路線を含めたルートで楽しみつつ帰宅したのだった。
<完>これで最近続いていたバスシリーズも終了となります。
※ここでちょっとだけX-E1の些細でマニアックな感想など。
・今回はフィルムシミュレーションモード「プロネガHi」をメインに使ってみたのですが…少々派手すぎる感は否めないものの、富士のSuperGやVenus系のネガフィルムを思わせる発色で、これはこれでナカナカ好印象。
但し細かな突っ込みを入れると、これらのネガフィルムは「プロ」用ではなく「アマチュア」用の筈(笑
・JPEG画像の満足度は高いのだが…露出を失敗するなどしてRAWから現像しようとする場合、カメラ付属ソフトがシルキーピクスのため、カメラ内現像とは全く違った画になってしまうのはちょっと困りもの。
・また今回はコントラストの高いシーンが多く、DR拡張機能を多用していたものの…この場合ISO感度が最大800まで上がってしまい、晴天下だとどうしても絞り込まなければいけない事になり、回折現象やセンサーホコリが大丈夫かと心配になるのだが…
・しかしセンサーのホコリに関しては、アンチダストが優秀なのか殆ど気にならず。
「ミラーレスはホコリに弱い」という人も多いですが、個人的な意見としてはミラーの有無よりもアンチダスト機能の性能に左右されるのではないかというのが正直な感想。
(ソニー機を使っていた頃は、ミラー有りでも旅先で毎朝ブロアーが欠かせなかったのに対し、Xは全くと言っていいほど気にならない。)
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