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● 街の公共施設
氷の海のクルージングを終え、ホテルでの昼食を挟んで、午後からは個人でアンマサリクの街を散策することに。
ヘリポートにあったアンマサリクの市街地図
今回のブログで取り上げる範囲をプロット
ちなみに持ち歩き用のパンフレットも確認できた範囲で、ヘリポートで入手した東グリーンランドの観光協会(?)発行の小冊子と、ホテルでチェックイン時に渡された地図の2種類を入手している。
と、いうことでホテルを出発。
既に車で何度か往復している坂道を下っていく。
昨日の市内ドライブツアーなどで、大体の方向や距離感などは把握していたつもりなのだが、実際に歩いてみると、思っていた以上にアップダウンが激しく、散策としてはなかなかハードである。
一旦、谷へ下る格好になる。
しかし下ったかと思えば、またすぐに上りに転じる。
ちなみに写真右手に写っているケルンが、昨日のドライブツアーでも訪問した教会裏の展望所。
そして坂を登り切ったところが市役所。
正面から見ると、そこまで大きく見えないが、角度を変えてみると実はかなり大規模な建物。
あまり実感はないが、ここアンマサリクは東グリーンランドの中心都市なのである。(とは言え、人口は2000人ほどだが)
そして市役所前の広場は、子供達が遊んでいたり、人々が井戸端会議に花を咲かせていたりと、憩いの場となっている。
アンマサリクではあまり見かけない乗用車。
ホテルの車や救急車、タクシー(RAV4)などは偶に見かけるものの、純粋な乗用車は珍しい。(但しどこかの公用車の可能性はあるが)
街自体があまり大きくなく、しかも車自体も輸送費などコスト面でかなりの高嶺の花だとかで、一般の住民では滅多と買うことなど出来ないようだ。
上の写真を拡大
どうやらビニール袋に入ったサーモン、あるいは海獣類なのだろうか、を自慢(販売?)している人の姿もある。
そして街の掲示板。

(グリーンランド語もデンマーク語も解しないので、何が書いてあるかわからず、掲載の是非も判断しかねるため、画像処理で対応しています。)
よく見てみると、住民同士の物々交換なども行われているようである。(写真では猟銃を売りに出している?)
そして更に歩いていくと、また下り坂。ホントに坂の多い町である。
幼稚園(?)
ここアンマサリクには数カ所の幼稚園があるとのことだが、その所在地は観光マップには記載されていないため、実際のところは違っている可能性も大いにあるのだが。
そしてアンマサリク唯一の小中学校。
デンマーク領だけあって、かなり立派な施設である。
なお高等学校はここアンマサリク、というか東グリーンランドには存在せず、グリーンランド西海岸に位置する首都ヌークで寄宿舎生活をすることになるのだとか。
更に大学進学希望者はデンマーク本土の大学へ進学することができ、高校・大学とも無償で、更にアンマサリクからのエアチケットや寄宿費まで全て支給されるとのこと。
(但し希望者全員が進学できる…という話かどうかについては未確認。)
こういう事情もあってか、「子供」は沢山見かけるのだが、あまり「青年」を見かけない街である。
そして病院。
正面から見ると質素だが、横へ回ってみると…
実はなかなか大きな病院で、一通りの診療科(歯科を含む)を備え、簡単な手術なども対応できるとのこと。また医師数も研修医を含め10人以上在籍し、更に無料…と、医療にかなり手厚い手当がされている。
そして病院の隣に、日本で言うところの“児童相談所”に相当する施設があるとのこと。
病院の隣のそれらしい建物。
この“児童相談所”に相当する施設は、主に家庭内の事情により親と一緒に暮らせない(親が居ないわけではない)子供達を引き取って養育している施設とのこと。
ここグリーンランドの冬は極寒かつ漁にも出られず退屈なため、体を温めがてらお酒に手を出す人が多く、しかもその飲酒が際限なく続き、最後には家庭内のDVといった問題が引き起こされている…という現実があり、親が居るにもかかわらず、こうした施設で暮らさざるを得ない子供が多いとのこと。
そもそもイヌイットに飲酒という習慣はなく、外部との接触の増加、貨幣経済の浸透などにより飲酒の機会が増えたのだが、元々飲酒の習慣がないこともあり、深刻なトラブルを引き起こすケースも多く、現在ではアルコール販売などにも制約が設けられている。
(実は信じられないような悲劇の実例も聞いているが、信頼できるソースが確認できないため、言及は避けます。)
そしてアンマサリクで一番の繁華街(?)
左手前の赤い建物が総合スーパー、その奥のグレーの建物がスポーツセンター、その奥に新市街の新しい住宅(集合住宅?)が見えている。
特にスーパー前の広場には多くの人が集まっており、なかなかの賑わい。
しかしスーパー探検(?)は後回しにして、この道を真っ直ぐ歩いて、新市街の高台へ。
上の写真では分かり難いが、相当な急坂である。
そして新市街の新しい住宅地を抜けると、もうアンマサリクの街外れ。
この街外れには孤児院が設けられている。プリンセス・マルグレーテ(現:デンマーク女王・マルグレーテ二世)の名を冠した施設である。
ちなみに昨日のドライブツアーの際に、私もフランス人夫妻も「orphanage」(孤児院)という英単語を知らず、ガイドさんにかなり解説して貰ってようやく理解できたというのはナイショの話。(だって中2の時の英語の成績が「1」…)
とにかくここアンマサリクは、人口規模で考えると小笠原の父島程度の規模の街にも関わらず、こうした福祉施設が非常に充実している印象を受ける。
更に学校や医療も無料など、相当に手厚い政策が行われていると言えるだろう。
しかもそのほとんどがデンマーク本国からの支援(人的・金銭的…)で賄われており、流石は北欧デンマーク領…というのが、私の正直な感想である。
現在グリーンランドは高度な自治権を持つ地域(中国と香港のような関係)とされており、独立への動きも現実的だと聞くが、逆にこれだけ優遇されていると独立後が大変なのでは…と思ってしまう。
実際ここアンマサリクの人も、「独立に向けた動きがある」といった言い回しはするものの、私が話した範囲では積極的に「独立すべし」と言っていた人はおらず、こうした手厚い支援に言及するなど、本音の部分ではどうも独立を望んでいないのではないかという印象を受けた。
(但しあくまで私の受けた印象であり、また同じグリーンランドでも南部や西部では考え方が違っている可能性もある。)
● グリーンランドハスキー
孤児院を過ぎると、民家は殆ど無くなってくる。
そして高台から見下ろす海は…(ワンパターンご容赦)
街外れのこの周辺は、冬期の交通として活躍する犬ぞりを曳くであろうグリーンランドハスキーが多く飼われている。(犬牧場的な雰囲気)
ちなみにグリーンランドでは、グリーンランドハスキーの血統を守るため、地域によって「グリーンランドハスキー以外の犬の飼育禁止」エリアと、「グリーンランドハスキーの飼育禁止」エリアにハッキリと分けられている。
ここ東グリーンランドや、北極圏は前者に属しており、ここで飼われている犬は全てグリーンランドハスキーである。
冬場にはオーロラに加えて、犬ぞりというアクティビティも楽しめるとのことで、一生のうちにまた冬のグリーンランドへも訪問してみたいものである。(…とは言え、そう簡単に来られる場所ではないのだが)
片隅に置かれていた犬ぞり。
そして道は完全に街外れに。
更にフィヨルドの奥へ続く細い道が存在している。
しかしこの先になにかお目当てがあるわけでもなく、しかも不用心に人気のないところに深入りするのも良くないという判断から、ほどほどで切り上げて、今度は海沿いの道を市街地へと戻ることに。
<つづく>
撮影機材
・SONY α200 + SONY CarlZeiss T* Vario-Sonnar 3.5-4.5/16-80(24-120)[SAL1680Z] and SIGMA 10-20(15-30)mm F4-5.6 EX DC and TAMRON SP AF 18-250mm Di II LD Aspherical [IF] Macro [Model A18]
・SONY CyberShot DSC-TX5 (CarlZeiss T* Vario-Tessar 3.5-4.6/4.43-17.7(25-100))
・MINOLTA αsweet II + MINOLTA AF 24-105mm F3.5-4.5 + FUJICHROME PROVIA 100F or VELVIA 100F
※なおグリーンランドに関しては、日本語で書かれた資料も少なく、今回の旅行記の執筆にあたっても、断片的な情報から判断していたり、また資料や現地で見聞きした英語を私の拙い英語力で解釈しているものが多くあります。
当然のように正確さを欠いていたり、間違いもあることが予想されます。
地名などのカタカナ表記はWikipedia等を参照しておりますが、日本語での統一的な記載が定まっていないうえ、私自身がデンマーク語やカラーリット語が読めるわけでもなく、正確さを欠いている可能性があります。
また文中で“旧市街”“新市街”“流氷の見える丘”といった日本語の呼称を用いていますが、当然現地にこのような日本語訳が存在している訳はなく、私の理解に基づいて、あくまで便宜的に名付けたものにすぎません。
以上、ご了解のうえ、あくまで“無責任な素人の日記”としてお読みください。
間違ってもこのいい加減な旅行記を根拠にした論などなさらないようにお願いいたします。
また何か間違いがあっても当方では一切責任を持ちません。(ご指摘やご教授は歓迎いたします)