#「札幌でペンギンを見た話」(申し訳ありません、みん友さん限定です)の続きです
引き続き豊富から宗谷本線の普通列車で移動し
抜海を過ぎた後、宗谷本線全体の中で一瞬だけ日本海が見える場所を走行するが、残念ながら利尻富士は見えない
初めて稚内を訪れた時、夜行急行「利尻」で目が覚めると目の前に雄大な利尻富士が見えていて大いに感動したことを鮮明に覚えているのだが・・・それも私がまだ高校生だった大昔の話(大汗
そして稚内駅に到着
The国鉄といった感じの箱形駅舎も今は昔、今では道の駅の片隅に1面1線だけの簡素な設備に縮小されてしまっている(そういえば最後の夕張駅もこんな感じだったかなぁ)
昔、駅の入口に誇らしく掲げられていた「日本最北端 稚内驛」の木札はホームに移されて健在
おまけ:ふと思い立って古い写真を探してみると、平成中期の稚内駅舎の写真を発見
おまけはさて置き、話を稚内駅に戻すと、改札口には「15時以降は切符を集札箱に」という案内があるものの、今はまだ12時過ぎ
かといって改札には誰もおらず、窓口があるわけでもなく、数m離れた所にみどりの窓口があるだけだが接客対応中・・・と、そんな調子
駅舎内からホームを見る
かつての駅舎は駅前広場になっており、旧駅の車止めがそのままの位置に残されている
つまり宗谷本線は若干短くなってしまったという事なのだが・・・
改めて駅舎内を見渡してみると
道の駅の特産品コーナーの一角に暖簾が掛かっている
実はこの店、昔から稚内駅の駅舎内にある(上の平成中期の写真でも左の方に写っている)ラーメン店で、稚内駅の駅弁販売業者でもあるという有名店
まあ、昔の話ではあるのだが・・・悪い意味で昭和の観光地食堂の雰囲気をプンプン残していて、味やメニューはともかく、店のおばさんの「観光客に食べさせる」感と、とにかく強気な価格設定(平成初期の段階で殆どのラーメンが千円超えだった気が・・・)ばかりが印象に残ってしまっているお店
しかし一見の観光客向けに利便性の高い場所で、ラーメンなどの気楽なメニューながらエビや帆立などの特産品も少々トッピングに取り入れて、それを「強気」で済ませられる程度の絶妙な価格で出す・・・商売人としてはいい線を突いているのかも知れない
とは言え、20世紀の観光地食堂としてはスタンダードで、逆に今とは違って地元の名産を手軽に食べさせる店も少なかったので重宝されたのも事実だろう
そんな訳で良い思い出だったかどうかは別にして、旧駅舎時代の記憶が残る店が現役で続いているという事にちょっと感動
そしてここにも楽しげなマンホールが存在
すっかり変わってしまった稚内駅の観察(?)を終え、昼食を求めて周囲を歩いて見るも・・・
かつて観光客で賑わい、カニ族向け・・・いやそこまで古くはないのだがバックパッカー向けの安宿や北海道っぽい物を食べさせる観光客向けの飲食店が犇めいていた界隈も、今ではガランとしている
結局駅前のバスロータリーに面したラーメン屋の暖簾をくぐる事に
感じの良いご夫婦が切り盛りしている大変清潔なお店なのだが、ラーメンの味の方もなかなかで・・・北海道の定番のラードたっぷりの熱いスープ+稚内の定番の塩味という組み合わせなのだが、奇を衒うことなく、シンプルに定番を極めた感じで、コレは大当たり
まあ奇を衒った部分無いので、感想を書くのは難しいのだが、オーソドックスを極めた味、といったところだろうか
そして目の前のバスターミナルから十数分バスに揺られ
こんなバス停で下車
稚内市街の外れにあるノシャップ岬である
「稚内まで来たのなら、
(他国に占拠されている地域を除いて)日本最北端の宗谷岬へ行けよ」と言われそうなのだが、何せ北海道在住経験もあって、実は宗谷岬もノシャップ岬も何度も足を運んでいるスポット
しかし実はまだ行ったことのなかったスポットがノシャップにあることに気がつき、今回はそちらへ行ってみることにした次第
先ずはバス停の目の前の神社に参拝してから
10分程歩いてノシャップ岬へ
残念ながら利尻富士は見えず
そしてこのアタリで目立つ建造物といえば・・・
何の変哲も無い灯台で、稚内灯台と呼ばれているのだが・・・
実はこの灯台が北海道で一番高い灯台であったという事実を初めて知ることに(大汗
ただ残念ながら内部公開はされていない灯台
そしてここにもユニークなマンホールが
で、すぐ横に今まで来たことがなかったスポットが存在
稚内市立ノシャップ寒流水族館+稚内市青少年科学館である
ノシャップ岬へは足を運んでも、車だと岬だけサッと見て次のスポットへ移動してしまいがちで、実はこれらの施設(同一敷地で共通券)に入場したことがなかったのである
そんな訳で今回敢えて入場してみることにした次第
先ずは寒流水族館から
冬場はショーは行われていないのだが、たまたま訓練をしている最中だったので、お邪魔にならない範囲でそっと拝見させていただく
そして生き物なのだが
屋外水槽に海獣類
そして何気に今回のお目当てだったフンボルトペンギン
この旅の直前に見た
マゼランペンギン(申し訳ありません、みん友さん限定です)とは「嘴が太くて長い」程度にしか違わない近縁種にあたるペンギン
(両種の交雑もよく知られており、実は同種なのではないかという説もあるらしい)
実は旅に出る前はここの水族館へ来る予定はなかったのだが、前日に
札幌でペンギンを見たとき(申し訳ありません、みん友さん限定です)に、道内の水族館でのペンギンの飼育状況についても触れられており、ここの水族館にフンボルトペンギンが居ると知り、急遽稚内滞在中の予定に組み入れた次第
そしてそれ以外の水槽は・・・
ニモなんかも居るには居るのだが・・・
何だか完全に開き直ったような、食用種中心のラインナップ(笑)
そして同じ敷地内にある青少年科学館へ
なかなかレトロな施設なのだが・・・大らかな時代を思い出させる壁画(今となっては公営施設としては大胆の極みかも)^^;
で、展示の方は大きく3本だて
先ずは手作り感溢れる「科学の不思議」的なコーナー
次に宗谷地区でもよく見かける風力発電などを軸とした「エネルギー」のコーナー
そして最後に目玉となっているのが「南極探検隊」のコーナー
更に別棟にも南極探検隊関係の展示が続く(駐車場の倉庫を改造したようなスペースで、本館からの動線も業務用通路を通って駐車場に出る必要があるなど、後付け感満載)
この科学館、全体的に予算の厳しさが手に取るように見えている反面、色々と手作りで精一杯創意工夫していこうという取り組みも同時に伝わってきて好感が持てるところ
また係員も皆、親切かつ丁寧で、ハード面もソフト面も「なかなかに好印象」というのが私の感想
そして更にバスに乗り、稚内市外から山を隔てた反対側にあたる日本海沿いを南下
そしてこんな施設で下車
「日本最北の温泉」を謳う稚内温泉「童夢」という公営温泉施設
北海道滞在中に散々温泉には足を運んでいたのだが・・・「交通事情は悪くとも泉質の良い温泉」が多数あるがゆえに、こうした源泉掛け流しでない箱物系温泉にはなかなか足が向かず、訪問せず仕舞いだったのである
(北海道内は行き尽くしたような気分になってはいるのだが、こうして探してみると何かと漏れが見つかるのである)
そんな訳で日本最北の温泉に入浴(流石に写真はないので、公式サイトのキャプチャで)
そして自販機にはタオルや歯ブラシと並んで、ちゃっかり最北端の温泉の「入浴証明書」まで売られている
まあラミネートで手作りしたような簡単な物ではあるのだが、ついつい記念にと買ってしまう
まあ泉質云々を求める温泉ではないのだが、清掃スタッフが巡回し清潔、開放感のある広い施設など、公営温泉施設としてのポイントはかなり高いと言えるだろう
またスタッフの方々も親切で、私がバスで到着した様子を見ていて、帰りのバスを丁寧に案内してくれ、出発時間だけでなく、経由地により料金が異なることなども踏まえて案内してくれるなど、非常に好感の持てる対応
先ほどの水族館・科学館もそうだったのだが、稚内市営の施設は全体的にとにかくきちんとしていて丁寧な印象
実はバス料金的には先ほど通ってきた道を戻るノシャップ経由のバスの方が安いのだが・・・
本数が限られていることもあり、入浴時間を鑑みて適当な便であるという点と、同じ道を戻るのは面白くないという個人的な趣向もあって、このまま日本海沿いに南下を続け、反時計回りに一周する形で稚内市街へと戻るバスを利用
バスは先ほど宗谷本線から日本海を眺めた(利尻富士は見えなかった)場所の手前まで海沿いを南下し、そこから一気に標高を上げて峠越えで市街地へと戻っていくのだが、今回も利尻富士は姿を見せておらず、山裾だけ・・・
そして稚内駅までは戻らず、少し手前の市街地のバス停で下車
近くのセイコーマートで買い物をしてから、今宵の宿にチェックイン
ご夫婦が営む昔ながらの民宿が建て替えられてビジネスホテル風になった感じで、観光客よりも仕事で来ている人がメインのようなお宿
実はここの宿、北海道在住時代から何かとよく利用しており(特に冬場は車中泊もできないので)、ラグジュアリー感とは無縁だが、リーズナブルで綺麗、そしてご夫婦のお人柄、更に美味しい料理と、その素朴さが気に入って愛用している宿なのである
そんな訳で観光客向けのサービスは殆どないのだが、追加料金でグレードアップ版夕食をオーダーすることが可能
で、そのグレードアップ版の夕食はこんな感じ
稚内名物の蛸シャブはもちろん、煮付けから毛蟹半身、そして脂ののったお刺身まで、なかなかに豪華
但し材料の仕入れ状況による部分もあるとかで、女将さん的には本当は煮付けに別の魚を使いたかったのだが手に入らず、その分刺身のグレードが上がっているとのこと
但し観光旅館でもなければ、割烹旅館でもなく、あくまで民宿なので・・・味付けは家庭料理風で、天ぷらが少し冷めていたりするなどちょっとご愛敬的な部分もあるのだが・・・
とは言え、実はお会計がアップグレード料金込みで一泊二食\11,000程なのでで、そんな細かいことはどうでも良くなってしまう、というよりもむしろ申し訳なくなってしまうほど良心的過ぎるかと
そして部屋に戻り
セコマPBのお酒でナイトキャップ
実は最近、セコマPBの十勝ブランデー系アルコール飲料がなかなか美味しい事に気づき、ちょっとしたマイブーム
おつまみは豊富駅横のの観光案内所で買ってきたチーズ
「1日持ち歩いていたのか!?」と突っ込まれそうなのだが、まあ「真冬の北海道だから」と自己責任で持ち歩いていた次第
そして翌朝の朝食はこんな感じ
定番の「旅館の朝食」といった感じで外さない
そしてチェックアウト後は稚内市街へ徒歩で出発
お目当ての施設が見えてくる
角度を変えて
見た目は普通の民家なのだが・・・
実はこれ旧瀬戸邸という建物で、稚内の網元であり市議会議員も務めた名士である故・瀬戸常蔵氏の自宅として建てられたもの
現在は稚内で唯一の登録有形文化財に指定され、市の教育委員会の管轄で一般公開されている
内部へお邪魔することに
冬場であるにも関わらず、教育委員会の職員が常駐し、一通り丁寧に案内してくれたうえで、その後は自由見学というシステム
またこの手の施設としてはやや珍しく、見学料として¥200が設定されている
で、ポイントなのは常駐しているのが会計年度任用職員ではあるものの、教育委員会の職員であり、きちんと市の教育委員会で人を雇って管理・運営・案内対応をしている点だろう(会計年度任用職員制度そのものの問題点はさておき)
全国的にはこの手の施設での対応は無報酬のボランティアガイド(専らリタイア世代)に任せきりというケースが多いのだが、無報酬でとなると、知識も不十分なまま適当な対応をしているケースが多く・・・高い旅費と時間をかけてやって来た訪問者のほうがボランティアで老人の話し相手をさせられている有様になっている施設も多数見てきている
なので、ここの施設のように、相応の受益者負担を求めるが、同時に職務としてのきちんとした対応をするという稚内市教育委員会の姿勢には大いに賛同するところ
昨日の水族館や科学館、そして温泉などもそうなのだが、稚内市の施設運営にはこうした「予算は潤沢ではないが、工夫を重ねて、きちんと運営していこう」とのポリシーが感じられ、非常に好感が持てる
(あと仕事上の事なので詳しくは書けないのだが・・・北海道在勤だった頃もかなり遠いにも関わらず稚内関係の案件は職員に好評だった)
不交付自治体に住んでいなければ、ふるさと納税で応援もしたいのだが・・・
それはさて置き、内部は・・・
廊下も立派で、何より贅沢な材料を使用している
網元の屋敷ということで、冠婚葬祭やおもてなしと言った公的な役割を果たす部屋も多い
そうした役割を支えるお勝手もかなり広い
これが茶室・・・
自在鉤も工芸品
応接室
客間
一方で瀬戸家の生活スペースは妙にリアルで、何だかちょっと安心できる感じ
「登録有形文化財」という響きで勝手に歴史ある旧家を想像してしまっていたのだが・・・
実は瀬戸常蔵氏は明治42年生まれで昭和62年没と実は私の祖父母くらいの世代の人物
更にこの建物そのものも昭和27年築ということで、私くらいの世代だと「祖父母の家」のような時代感覚なのである
それ故、文化財という堅苦しさよりも、どちらかというと懐かしい雰囲気の方が強く感じられる建物なのである
と、そんな感想を職員の方に伝えると「やっぱりそう思われますか。実はそう仰る方が多いんですよね。」との事で、やはり昭和生まれは同じ感想を持つらしい
他にも瀬戸常蔵氏の行跡や、建物内に残されていた什器類、更には映画のロケ地になったときの事についてなどの展示も行われている
また庭園も凝った作りで、日本最遅咲きのサクラもあるらしいのだが・・・
残念ながら雪の下(雪に何かの足跡が・・・)
そして瀬戸邸を後に、稚内副港エリアへ
副港市場という施設
立地と雰囲気は釧路の和商市場などの海産物市場を思わせるのだが・・・実際は純然たる観光施設(観光施設なりの商店やレストランはある)
有名なのは温泉施設なのだが、今回は時間的にもパス(実は昨夜の宿からも近いので、稚内温泉に行っていなければこちらで入浴していたところ)
懐かしさを演出するエリアがあり(一部館外まで続いており、そちらは飲み屋街になっている)
そして樺太連絡の拠点だった時代の稚内港駅をイメージしたエリアも(内部は駅や連絡線の歴史展示)
更に稚内市樺太記念館という施設も同居し、明治以降の樺太の歴史について紹介している
ココの目玉はかつて樺太に存在した日本唯一の陸上国境の境界碑
日本側
ソ連側
こうして稚内散策は終了
近くのセイコーマートで色々買い込んでからバスで移動
到着したのは稚内空港
個人的懐かしさから、セイコーマートでホットシェフのお弁当だの、PB商品だの買い込んだのだが・・・冬場なら(もちろん自己責任で)そのまま東京まで持ち帰っても大丈夫だろうという判断
旅先でわざわざセコマ弁当を食べるというのはやはり味気ないのだが・・・それでもやはり懐かしさで食べたくなってしまい、最終日に買って持ち帰るという荒技を繰り出した次第
NHのB737に乗り込み
宗谷岬と宗谷丘陵を見ながら離陸
年度末でアップグレードポイントが余っていたので、こんなシートで遅めのランチ&日本酒を楽しみながら羽田空港へと帰還
実は航空券そのものもマイル消費のため「今週のトクたびマイル」で直前に確保したチケット^^;
(つまり実は今回の旅そのものが思いつきに近い旅だったという事でもある)
まあ個人的に北海道というところは、在住経験も含め、かなりあちこち訪れてはいるのだが・・・
それでもあちこち行っているが故に、今更季節も気にせず、定番スポット巡りに忙殺されることもなく、こうして新規開業を含め初訪問のスポットを探してみる楽しみがあり、また更にある程度土地勘やノウハウ、行きつけなども有って、気楽に旅できるのが有り難いところ
おまけ:個人的に夏場なら宗谷丘陵がおすすめスポット(平成中期の写真)



宗谷岬ばかりが有名で、すぐ近くのこんな素敵なスポットの知名度がやや低いのがちょっと不思議に思えるところ(但し地上高が低いとちょっと面倒かも)