※「立佞武多と奥津軽いまべつ駅」からの続編となります。
新幹線で青函トンネルを抜け、木古内駅で下車。
しかし新幹線木古内駅は在来線駅の裏手に独立した建物として存在しており、駅前方面へ出るには一旦地上に出てから跨線橋を登り、在来線駅の構内を横断する形になる。
木を活かした雰囲気の跨線橋
そして駅前へと抜ける
ぱっと見には一軒の駅舎に見えるのだが…奥に見える長い新幹線(JR)駅舎と、手前の短い在来線(道南いさりび鉄道)の駅舎は独立した構造。
そもそも、道南いさりび鉄道自体が、新幹線開通に伴い並行在来線である江差線が第三セクターに転換した路線であり…在来線駅も元々はJR駅だった訳で、何もこんなにキッチリ別構造にする必要などあったのだろうかという疑問もわいてくる。
というかこの在来線駅舎、後から考えてみると…内外装は新しく、一瞬「新築か?」とも思ったのだが…屋根の上にある三角形の突起や左手の旧バス乗り場の屋根などに何となくデジャブを感じて…
過去の写真と比較してみると
※以前のブログより引用・2001年頃撮影
大改装され、随分と雰囲気は違っているものの、建物そのものは増改築されているだけの様子。
と言うか、駅改札付近は昔のままっぽい…と言うか、昔の記憶は無いが、相当に草臥れている。
一方で駅前はと言うと…かつては松前線の分岐駅だった時代があり、その後も代替バスが発着するなど、ちょっとした交通の要衝だったとはいえ、基本的には北海道の地方駅らしい駅前風景が広がっていたのだが…
しかしかつての面影は無く、立派なロータリーが設けられ、駅前もすっかり整然と区画整理され、更に隣接して道の駅まで開業し、まったく別の駅のような雰囲気でただただ戸惑うばかり。
と言うか、このギャップも、在来線駅舎も新築だと錯覚させる一因だったのだろう。
そして乗り継ぎ時間もあったので近くを歩いていると…
「焼きそば」の旗がたなびく店を発見
「もしかして…」と思って屋号を確かめると…「駅前飯店 急行」
かつて区画整理前の木古内駅前にあった店で、とにかく癖の強い女将のキャラで有名だった店。しかも何故か焼きそば以外のオーダーはあれこれ理由を付けて拒否されるという謎な店。
時間もあったので暖簾をくぐってみることに
店こそ新築移転したものの、内部の什器や、事細かい注意書き
(「某事情により焼きそばをおすすめします」「急ぎの注文お断り」「(何故か)(テイクアウトの)弁当は10時までの要予約」等々、女将の強烈なキャラを反映した注意書きの数々)はそのまま移転しており、当時の雰囲気を残している。
そしてその女将も健在で…壁に貼られていた3年ほど前の新聞記事で85歳と紹介されていると言うことは…しかしきちんとした身なりと凜とした雰囲気からはそんな年齢は微塵も感じさせない。
ちなみに女将の他にも2名の店員がいるのだが…揃いも揃って無口で無愛想でムスッとしているのは相変わらず。
建物の他に変わっていたことと言えば、メニューが名物の焼きそばに絞られ、他にはスープやライス、ドリンク類といったサイドメニューがちょっとあるだけ。
まあ元から事実上の“焼きそば専門店”だったので、頼まれても断るだけのメニューを整理して解りやすくなったのは良いことだろう。
そして今回は焼きそばの大(¥1000)をオーダー。
店員からオーダーを受けた女将は…一息ついて自分のペースで調理をスタート。他の店員は給仕の他、材料や皿を差し出すなど、補助に徹しており、肝心の調理には女将以外の人間がタッチする事は無い。
まあこんな調子で、「オーダーを受けてから調理」しかも「タイミングは女将の気分次第」といった感じなので、急ぎのオーダーなど受けられないのは当然だろう。
効率化による多売や、客に愛想を振りまくよりも、何より自身のコダワリで焼きそばを作り続けている…そんな感じだろうか。
まあそうでもなければ、年齢を考えれば店を移転してまで続ける必要は無い訳で…
で、運ばれてきた焼きそばはこんな感じ
見ての通りの具だくさんの醤油風味のソース焼きそばで、おそらく麺も蒸し麺ではなく生麺。
まあやや麺の一部にソースが絡みきっていない箇所があるのはご愛敬ということで…
あまりに久しぶりだったので、味そのものに関して以前の記憶とリンクできず、味の変化についてはコメントも出来ないのだが、少なくとも美味しく頂いて満腹。
で、最後にお会計をした時に…無愛想な女将から「どうぞお気を付けて」という言葉が出てきてビックリしてしまったのは内緒…
そして木古内駅へと戻り、初めての道南いさりび鉄道乗車となる。
ちなみに木古内駅は青函トンネルの玄関口だったこともあり、多数のホームがあるのだが、現在使われているのは1面2線だけ。
他のホームは貨物列車の通過線と化しており、駅名標もこの状態
まあこの路線自体は江差線・海峡線時代に何度も乗っているので、特に新鮮なこともないだろうと思っていると…
案の定、車両もJR時代からそのまま
車内の掲示などには、JR北海道と書かれていた部分にシールを張ってあるだけ。あまりに味気ないと言えば味気ない…
そして出発。車内は各ボックスに1人乗客がいる程度なのだが…実はかなり鉄系の人が多い様子。
途中駅で青函トンネルへと向かう貨物列車と行き違い
途中の渡島当別で鉄系の人が一気に降りていったので、修道院へでも行くのかと思ったのだが…
なるほど、そういう事ですか…
ちなみに何故、鉄系の人だと解かったかというと…その風貌もさることながら、車内で旅行貯金の通帳だの風景印だらけの紙だの取り出してニヤニヤしていたからなのだが…(「旅行貯金=鉄の人」というのは偏見なのだろうか)
そして五稜郭からJR線に直通し、車窓に車両基地が見えてきたのだが
道南いさりび鉄道オリジナルペイントの車両はお休み中
更に函館駅構内には役目を終えたスーパー白鳥用の車両が多数
こうして函館駅に到着。
まあ昔と比べると函館駅の変貌も凄いのだが…但し今回が初めてではないので特に驚く訳では無い。
現在の函館駅
昔の函館駅
※過去のブログから引用・2001年頃に撮影
少し話は前後するのだが…
翌日、函館駅の駅弁を買い求めたところ、そのパッケージに旧駅舎のイラストが載っていて、何だか懐かしい気分に
函館駅からバスで湯ノ川温泉へ移動し、今宵の宿にチェックイン
ハッキリ言うと共済組合の保養所で、それを比較的安価に一般に開放しているプランを利用。
なので、豪華さや細やかなサービスには期待できないのだが…
きちんとリノベートされ、清潔な水回りや
シンプルな造りながら、源泉掛け流しの温泉が魅力かと
で、お楽しみの夕食。ちょっと奮発してグレードアッププランで申し込んでいたのだが…
更に後から一気に皿が運ばれてきて、こんな感じ
地元の素材を豪華に使った料理ではあるのだが…
懐石のように食事の進み具合にあわせて調理し、暖かいものを温かいまま食べられる訳では無く、全ての料理が一気に運ばれてきて、食べている間に段々冷めてしまうのが一寸残念ではあるのだが、このあたりはやはり宿のグレードやお値段との兼ね合いだろう。
部屋に戻って、サッポロクラシックの限定品で晩酌
そして翌朝の朝食は定食スタイル
チェックアウト時間ギリギリまでのんびりと過ごし、宿をチェックアウト。
何故ギリギリの時間まで宿で過ごしていたかというと…帰路は新函館北斗駅を12:44という中途半端な新幹線を利用することにしていたため。そして何故そんな中途半端な便を選んだかは…また後ほど。
市電で函館駅へと戻り
※以前のブログから引用した写真で、今回実際に乗車した車両ではありません・2014年撮影
新函館北斗駅行きの新幹線連絡列車「はこだてライナー」まで時間があったので、駅前のデパ地下でバラ撒き用のお土産など購入していると…
ローカルコンビニであるハセスト(ハセガワストア)がデパ地下に出店しているではないか!
但し、通常のコンビニ店とは事なり、店内調理のホットシェフ
(…って、セコマ用語か・大汗)のみの営業で、要はテイクアウト専門のキッチン方式の弁当店としての出店。
今回はほとんどローカルのB級フードを楽しむ時間も無かったので、この機会に名物の「やきとり弁当」(但し実際は文化的背景から鶏肉では無く豚肉)購入することに
しかし…思いつきで後先考えずに買ってしまったことは否定できず。ロングシートの「はこだてライナー」の車内で食べるのも辛いし、かといって新幹線に乗ってしまえば車内サービスもあるので…
結論;函館駅の待合室ベンチで食べてしまうことに。
実はこのやきとり弁当…容器にスリットが入っていて…
串をスリットに乗せ
一気に引き抜いて食べやすくなるという仕掛け(但し具が片側に寄ってしまうのは致し方なし)
そして更に時間があったので、駅ナカをブラブラしていると…
ウニを使った駅弁などが売られており、「そういえば今回、ウニ食べてないなぁ…」と思ってしまい…
流石に同時に2個は辛く、新幹線車内サービスとの兼ね合いもあり、賞味期限を越えて翌日の朝食までスライドしてしまいましたとさ(苦笑
そして「はこだてライナー」に乗車
ロングシートの座席がさらりと埋まる程度に混んでおり、味気ない通勤的光景かと思いきや…
やはり新幹線乗り継ぎ客が多く、スーツケースを持って、あれこれ楽しげに盛り上がっていたり、更に車内アナウンスで北海道新幹線の紹介が行われるなど、微妙に盛り上がる空気なのが嬉しいところ。
ただ…新函館北斗駅での乗り継ぎがスムーズで無く待ち時間が発生してしまうのはちょっと残念かも。
しかし駅をじっくり見学する時間があるとも言える訳で…
北欧風テイストを感じる駅構内
駅舎脇には前身の渡島大野駅時代のレンガ小屋が移築保存されている
そして今回はスマートSuica特急券の利用だったので、おサイフケータイを改札にタッチしてホームへ向かおうとしたのだが…
改札機からIC利用票が出て来ないので、一瞬故障と勘違いして駅員さんを呼んでしまったのは内緒…如何に自分が東海道新幹線に慣れきっているのか認識する羽目に(苦笑
そして今回乗車する車両にご対面
そう、ラベンダー色の帯のH5系
まあ基本的にピンクの帯のE5系とほぼ同じではあるのだが、折角北海道新幹線に乗るのならと、敢えてH5系で運用される列車を選んだ次第。
とは言え、H5系自体が4編成しか存在せず、うち2編成は予備として運用されている状況なので…適当な時間に新函館北斗-東京を通しで走る列車がコレしか無かったというのもまた事実。
それ故、この日一日が新幹線乗車だけに消えてしまうと言うやや非効率なスケジュールになってしまったのだが。
一応、車内壁の化粧板が木目になっていたり、カーペットの柄が流氷をイメージしたものになっていたりと、H5系を基本としつつもちょっとだけ北海道仕様になっている
そして今回は東京までの通し乗車と言う事もあり、こんな車両に乗車
こんなシート
展開式のカクテルテーブルが便利
ちなみにメーカーは
ちょっと気になったのが…このグランクラスの車両、本来は利用者以外は車内には立ち入れず、以前に東北新幹線や北陸新幹線で利用した際には、出入り口でアテンダントが利用者かどうかをチェックしていたのだが、今回はそれが無し。
で、利用者でも無い古典的な風貌の鉄系の人が平然と車内に入り込んできて、正面に座っている人がいるような状態でも平然と一眼レフを振り回し…雰囲気が完全にぶち壊し(苦笑
そして東京へ向けて出発したのだが…新函館北斗駅出発時に青函トンネルへ入る時間の案内放送こそあったものの、それ以降は実際に青函トンネルへ入る際も含め何らアナウンスがなく、往路と比べやや盛り上げに欠ける感じはあるのだが、やはり本州発と北海道発では車内のテンションも違うのだろう。
そしてアテンダントから飲み物や軽食などのサービスの案内があったのだが、函館駅で食べたやきとり弁当から時間も経っていなかったので、飲食サービスは盛岡出発後にとお願いし、しばし休息することに。
そして新青森に到着した段階で、「日本の全新幹線に乗車したことがある」「JR北海道の全路線に乗車したことがある」という2つのタイトルを奪還。
新函館北斗-東京の乗車時間の約半分を過ぎた頃に盛岡駅へと到着
車内から盛岡の街を眺める
実は私、その昔盛岡に勤務したことがあるのだが…但し1年を待たず配置換えになってしまい、それっきり。
しかし新卒ゆえあちこち散策するほどの余裕も無く、結局「住んだことはあるけど、あまりよく知らない街。」と、微妙にミステリーゾーンになってしまっているのも確か。まあ、随分と時も経っているので、そろそろ1旅行者として訪問してみるのも悪くないかも知れない。
余談はさておき、盛岡駅では5分の停車。
その理由は…秋田からやって来た「こまち号」を併結する作業のため
ちょうどトラベリングタイム的に、中間休み的な空気もあり、多くの乗客がホームに出てこの作業を見学している。
しかしこの角度から見てみると、在来線規格の秋田新幹線車両が小振りである事がよくわかる
そういえばE6系って、未だに乗ったことが無いなぁ…
キャビンアテンダントに「お帰りなさいませ」と迎えられて車内へ戻り、軽食タイム
函館駅弁「みかど」製、和軽食
アップで
まあ見ての通り、量は抑え気味なのだが、沿線の名物を取り入れつつ、冷めても美味しい献立に仕上げられており、満足。
ちなみに飲み物は長野の五一ワイン製のオリジナルラベルの白ワイン。
他にサッポロクラシックもあったのだが…特に限定品という訳でも無いので、今回はパス。
更に食後はハーブティーと、道南産イチゴのパウンドケーキをオーダー
こうしてのんびりと食事をしているうちに、列車は大宮を通過し、グランクラスの旅も終わりに。
そして東京駅に到着し、約4時間半の北海道新幹線の旅も終了。
そのまま東海道新幹線に乗り継いでも良かったのだが、何だか新幹線ばかりで飽きそうな気もしたので飛行機利用としたのだが…
で、車内の軽食が“軽め”だったからと言い訳して、羽田空港のターミナル内でこんなものを食べてしまいましたとさ(苦笑
<おわり>
※お知らせ
誠に勝手ながら、新年度のスタートの時期である事に加え、ちょっと後ろへスライドしたGWに大型の旅に出ることにしたため、来月中旬までみんカラ上での活動は縮小モード(5月上旬は完全休業)とさせていただきます。