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2009年07月19日 イイね!

諦めたのに災難

諦めたのに災難白馬大雪渓、逝ってきました。

・・・マジで逝きかけた。


画像は下山時の雪渓のとりつき部付近ですが、落石だらけなの、わかりますでしょうか?
前を行く同行者の右ふくらはぎあたりが破れているの・・・は、ちょっとわかりづらいかな。



当日は朝から雨。
現地に着き、駅前の登山案内センターに問い合わせると、早朝からけっこう入山者があるとのことで、とりあえずバスで猿倉まで行き、白馬尻まで登山して状況を確かめることに。
登山口の猿倉を8時ジャスト発、ほとんどが林道なので登るのはさほどキツくは無いのですが、山道に入ってからが酷かった。。。

山道のすぐ横は清流が流れていて、いつもなら涼を堪能しながら登山できます。
林道の横を流れている本流も、雪渓の下を通ってきた翡翠色の流れを眺められるのですが。。。。
この日はどちらも見事な濁流。
川の流れもハンパなく激しいです。
おまけに登山道にも雨水が流れて川の中を歩くような状態。
幸いにも、上りのときは防水機能に優れた登山靴のおかげで、靴の中が浸水することなく上りきれました。


1時間20分ほどで白馬尻着。
雨宿りと登山の様子見の人々で溢れています。
山小屋の方に情報を訊くと、山頂へ向かう方も多いとのこと。
でも、この雨のなか登り、標高が上がったときに体が冷えるのは危険ではないかと判断。
山頂小屋をキャンセルし、3号雪渓あたりまで登山したら、引き返して下山することにしました。

白馬尻から雪渓のとりつき部まで10分ほど、やっぱり登山道が川になっています;
しかも、猿倉からの道よりも流れる水量が多い。
途中の沢は小さな滝のようになっていて、水を被って渡るハメに。
ゴアテックスさんのおかげで体は濡れませんが、水の冷たさは衣服越しでもわかるほど。
このまま登頂したら絶対凍える。。。
しかし、頂上を目指す人々が雪渓に行列を成して登っていきます。

明日の天気が良いのならわかるけど、明日は今日以上の雨になるかも・・・というなか、無謀だなぁ;;
山頂付近の気温を考えると体感温度は氷点下に近くなるかも。
雨の尾根縦走などとても体力がもちません。
尾根は風も強いだろうし。
あのひとたちはきっと、ものすごく屈強でベテランの山岳会の方たちなんだと思うことにし、雪渓に降り立ち、ゆっくりとアイゼンを装着します。


雪渓の上はまさに氷上。
冷気に包まれるのは晴れた真夏の登山なら極楽ですが、雨の中では最悪の敵と成り得ます。
午前10時、固まった雪の上を、一歩一歩アイゼンの爪を効かせて登山開始。
上り始めて、周囲に散らばる落石の多さに驚きます。
大雪渓を最後に登ったのは10年以上前になりますが、以前はこんなじゃなかった。。。
昨年大雪渓で大規模な土砂崩れが起こり悲惨な事故がありましたが、その後崩落が進んでいるのかも。

3号雪渓に近づいてきたあたりまで登ると、左側の山肌が大きく崩れ、広い範囲で土砂が積もっている箇所が。
雪渓の上にあるということは、今年崩れた箇所ということですね。
とりつき部からここまでに延々散らばっている落石は、ここからのものと思われます。

・・・・・と、後ろの同行者が「危ない!危ない!」と叫びました。
振り返ると、こわばった表情で「上!!!」と。
慌てて顔を上げ前方を見ると、直径50センチもあろうかという、鋭利な石が物凄い勢いで転がってくるじゃないですかっ(冷汗

幸い、その石は登山用の紅ガラルートの10メートル横あたりを通過してくれたのですが、自分たちの下には数十人もの列が続いています。
ルートは蛇行しているので、方向を変えた石が突っ込まないとも限りません。
下に向かって「らくせきーーーっ!」と声を出す同行者。
自分は土砂が来るかもと緊張して、上に注意を払います。
案の定、間髪入れずに次の石が・・・・・登山ルートに沿って凄いスピードで転がってきました(滝汗

よけられないかもっ!

自分たちより上の登山者の間を縫うように転がり、あっというまに目の前にやってきた石の塊に身構え、「また落石!」と大声で叫びながら咄嗟に身をよじって辛くも回避。
ほんの30センチ横をかするように通り過ぎたそれは、でこぼこした雪渓の斜面でどっちに跳ね返るかわからない勢いのまま、下の登山者めがけて突っ込んで行きます。

振り返って「ラーーーークッ!ラーーーークッ!!*」と叫ぶと、登山者たちが次々に顔をあげて慌てる様が。
*「ラク」・・・登山用語で「落石」の意。落石があった場合判りやすいようこのように叫ぶ
その人々のすぐ横を石が転がり続けていきます。
ふと視線を手前に戻すと、なんと、同行者がひっくり返ってるじゃないですか!!!

自分たちのすぐ下を登っていた方が次の落石を監視している間に、同行者の場所まで7、8歩降り、「大丈夫!??」とたずねると、足を押さえて呻いています。
途端に青ざめていく自分がわかりました。

「当たったの!?」と尋ねると、「やられたっ・・・ちっくしょー、足に当たりやがった」と足を抱えて起き上がります。
良かった。起き上がれるし、しゃべれる。。。(T△T)

当たったのは右足の裏、膝下あたり。
出血や外傷はなく、骨折もない様子。
でも、油断は禁物です。
なにせ、ゲンチャリのタイヤ以上の大きさの尖った石が、ありえないスピードで当たったのですから、ただで済むはずがありません。
同行者の顔は恐怖で真っ青になっていました。

どうやら落石は収まった様子で、すぐ下を登っていたパーティーの先頭の方が心配して様子を尋ねてくださり、「すぐ下りたほうがいいですよ」と促してくれます。
同行者が立ち上がって歩行できる様子だったので、そのまま下山を開始しました。
また落石があるかもしれない中、下りは上の様子を掴みにくく危険です。
同行者を先に行かせ、自分は7、8歩下ったら振り返って上の様子に注意をしつつ下りていきます。

なんとか雪渓のとりつき部まで下り、アイゼンを外して小屋へ向かいます。
ところが。
行きに通ってから2時間経っていないというのに、登山道の水の流れが増水。
特に、小屋手前の沢は轟くような滝と化していて、迂回ルートをとらねばなりません。

迂回ルートでは、小屋の方が登山ロープを持って待機していてくれて、ロープの端を体に巻き付けて濁流を渡るのを助けてくれました。
同行者は足を庇いつつも渡れましたが、私は体重が軽かったせいで濁流に流され全身が水に浸かり、あやうく本流へ呑み込まれるところでした。
流された瞬間、「私の人生『水死』で終わるのか」と頭に浮かびましたよ。
ロープがなかったら命はなかったかも。
まさに「命綱」。
流される私を見て、同行者は手を伸ばし驚愕したそうです(^^;

山小屋に辿りついて、足の応急処置をしてもらい、ホッと一息。
ふくらはぎの打撲と膝の筋を痛めたようですが、骨折がなく、レスキューを頼むほどではないので、小川が増水する前に自力で下山してそのまま病院へ行くよう勧められました。
ちなみに「レスキューを頼むと物凄くお高い金額がかかるので、命に関わる事態でなければ自力で降りた方がいい」と言われました。暗に「その程度の怪我でレスキューを呼ぶな」ということですね(^^;
落石と増水の危険で、パトロールの警察が3人ほど小屋に向かって登ってきているとのこと。
なにかあったらその人たちに声を掛けるよう言われて、小屋を後にしました。

林道には物資を運ぶ車も停まっていましたが、登山とは過酷なものです。
腫れ上がったふくらはぎを庇いながら、自力で下山ですよ。
足の痛みが酷くなってきた同行者に、松葉杖代わりにストックを2本とも渡し、川だか道だかわからなくなっている山道を下ります。
これはもう、「沢下り」ですね(^^;
ほどなく林道に出て、同行者にあわせたペースで歩きつづけます。

同行者はほとんど足を引きずるような状態。
弱音を吐かず、泣き言も口にせず、よく我慢して歩きとおしたと思います。
いい年齢の成人男子とはいえ、骨が折れかねない衝撃を受けておいて自力で1時間以上も歩くのですから、激痛の連続だったはず。
「痛い」とか「シンドイ」とか、きっと泣きそうなほど辛かったはずなのに。

途中、頂上まで行くという登山者数人とすれ違いましたが、上の状況を伝えると皆諦めて引き返していきました。
賢明な判断だと思います。
もう午後になっていたので、その時間から頂上を目指すのは、この気象状況ではあまりに危険すぎます;


無事、猿倉登山口に下山したのが13時前ごろ。
20分ほどでバスが来る時間だったので、タクシーを呼ぶより早いだろうということで昼食をとりつつ休憩。
バスに乗って13時50分ごろ駐車場のある八方停留所で下車。
ちょうど総合案内センターの真ん前がバス亭だったので、すぐに診て貰える外科を探していただき、30分後にやっと応じてくれる病院を見つけました。
ふたつかみっつ隣の町にある外科医院まで、50分ほど車を走らせます。

15時すぎに病院に到着、すぐに内診とレントゲン撮影。
骨や関節や腱に異常はなく外傷も擦り傷程度、強烈な打撲でふくらはぎの全体に内出血をしており、膝周りの筋を痛めているとのことですぐに処置していただきました。
レントゲン室から車椅子で出てきたのを見た時は血の気が引きましたが、「出血が止まって腫れが引くまでは足をあまり動かさない方が良い」との配慮からと知ってホッとしました。

登山では命に関わる怪我もあるので常に保険証を持ち歩きます。
その習慣が、まさかこんな風に役立つとは。。。。
とにかく病院で支払いを済ませた時点でやっと、無事だったことに安堵できました。

もちろんそのまま速攻で横浜に帰ることに。
時間は16時。
早朝3時前に出発してから13時間が過ぎていました。
本来の予定だったら、頂上山荘に着いている時間でした。

それから4時間ほどひたすら運転。
八王子までは渋滞が酷いので、相模湖ICで下りて下道。
疲れているはずなのに、自分がシッカリしないとと気が張って、落石事故がおきてから妙に冷静です(^^;
気を取り直して夕飯に焼肉を食べ、帰路へ。
同行者を降ろして、帰宅後即濡れた衣服を洗濯、入浴ついでに沢に浸かった登山具を、使用しなかった梱包物からレインウエア、靴やザックに至るまですべて水洗い。
やっとお風呂に浸かったときは、全身の力が抜けました;;

いえね、泥水の沢に浸かって下着までびしょぬれのまま帰ってきたので、すごく気持ち悪かったのよ;
でもそんなことかまっていられなかったし。
なんかずっと、自分がすごく「池」臭かったです(^^;


お風呂上りに洗濯物と水洗いしたものをベランダに干して、ひと段落付いたのが午前0時ごろ。
ゆっくりとお茶を飲んで、髪を乾かし、午前1時すぎ・・・ベッドに入った途端に涙が溢れてきました。


私が石を避けさえしなければ、彼は怪我をしなかったのに。


そりゃ、自分が石の直撃を受けてたら、体ごと吹っ飛ばされて骨折どころじゃ済まなかったかもしれないけれど。
周囲にも、すごく迷惑をかけたかもしれない。
だけど。

石は凸凹した雪渓に跳ね返った弾みで方向を変え、同行者のふくらはぎを斜めに掠るように当たったらしい。
正面から当たっていたら脛の骨を折っていたと思われるので、むしろ後ろを向いて下に落石の注意を促していたことが不幸中の幸いだったか。
若いころ陸上と登山で鍛え上げた「美しいふくらはぎ」を持つ同行者は、帰路の車内で

「あの石を跳ね返すとは、オレの『ダム』もまだまだイケルな!」←ガンオタwww

と冗談を言っていましたが、お高いゴアテックスのウエアは膝から下が無残に裂けていて、衝撃のほどを窺わせます。

「いやぁ~、膝から下が捥げたと思ったよ。すげー衝撃だった。もうバイク乗れない!って思った」

それを聴いた瞬間、顔にこそ出しませんでしたが、運転しながら胸が張り裂けそうになりました。
・・・・・このひとから「バイクに乗ること」が奪われることになっていたかもしれない。
そう思ったら、盾になるどころか避けてしまった自分が情けなく。
むしろ、雪渓登山をせずに引き返せばよかったかもしれません。


一夜明けて、同行者の足は倍に膨れ上がり、痛みも増してまともに歩けない状態のようですが、湿布と鎮痛剤で大丈夫とのこと。
しばらくは不自由な身となりますが、勤め人ではないので自宅で仕事をするのはなんとかなりそう。
・・・・バイクは当分乗れそうに無いですが(T_T)
1日も早い回復を心から祈るばかりです。

<追記>
後日大きな病院で検査の結果、膝の靭帯を少し裂傷していいたとのこと。
全治1ヶ月以上でしたが、普段から鍛えていたおかげかひと月で松葉杖無しで歩けるようになりました。



白馬は今日も雨のようです。
あのまま上っていった何十人もの方々(朝からだと100人以上はいるはず)は、無事山頂山荘に着けただろうか。。。
今日も安全に縦走できたのだろうか。。。
白馬尻小屋に停泊した方々も、今日はルートを跨ぐ沢の増水で登山できずに足止めを喰っているはず。

仮に、大きな落石に遭ったのが私たちだけで、石に当たったのも同行者だけだったとして、それを「不運」と飲み込むのはとても残念でなりません。
山の事故に「たられば」は無いし、避けられない災難もあると解っていても。
朝の時点で登山を諦め帰ってくれば良かった・・・・と言ってしまうと元も子もないのですけど。
どんな登山でも、危険と隣り合わせにかわりないのですから。

それでも。
また縦走登山には行くつもりでいます。
大雪渓ルートは同行者から禁止令が出そうですが(^_^;


落石は、3号雪渓付近だけでなく、2号雪渓付近上部や大雪渓全体で増えているそうです。
天候に関わらず晴れた日でも多くみられますので、このルートで登山される場合は上りで通ることを強くお奨めします。
登山中は足元だけを見ず、まめに顔を上げて前方を注意してください。
雪渓の上では目の前にくるまで落石の音がしません。
Posted at 2009/07/19 20:46:32 | コメント(18) | トラックバック(0) | 山はいいねぇ | 日記

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