2021年12月10日
モータースポーツを始めたい人が選ぶクルマについては、前編では、ザックリ書くと、まずは「今、既に所有しているクルマで走る」ことを勧めてきました
後編では、前編で結論を書くことができなかった「競技会に参加し、いずれは上位を目指したい」人やこれからクルマを別途購入したい人について書きます。
既に「心に決めているクルマ」があれば、自分の思いのままにそのクルマにすれば良いと思います。
では、これから選ぶという人にとっては、大まかに書けば、次のことを選択の要素として入れておくと良いと思います。
「購入予算と維持予算」、「駆動方式」、「ターゲットにしている競技会のクラス」、「部品調達のし易さ」、「積載能力」
1点目の「予算」については、車両購入費だけでなく当たり前に消耗していく部品や税金等も含めて維持費を考えなければなりません。
予算に上限がなければ選択肢はいくらでもあるでしょうが、まぁ、そういう人の方が稀でしょうし、普通は、いくらか決めた予算内に収まるクルマを選ぶことが一般的だと思います。
新車だと高いから中古車で・・・と思ったら、スポーツカー全盛だった時代のクルマの高騰が激しく、手が出せない価格になっていることも少なくありません。
また、無理して買ったはいいけど、まともに走らせる前に修理ばかりで、走ったらまた壊れて修理が嵩むということも、中古車である以上、覚悟も必要です。
それがイヤなら、しっかりメンテナンスやレストアがしてあるクルマや、前オーナーの顔がわかり、メンテナンスもしっかりしてあるクルマを選び、その分、初期投資は覚悟するという考え方もあって良いと思います。
それと、一昔前の10万km走っているからもうダメという走行距離至上主義ではなく、メンテナンスがしっかりしてあるかどうかで判断することの方が重要だと思います。
ノーメンテでチョイ乗りしかせず、エンジン内部がスラッジまみれの走行距離5万kmの個体よりも。メンテナンスがバッチリしてある10万kmの個体が遙かにマシと私は思います。
競技に勝つことを目的とするのであれば、中古車で200万~300万払うよりも、トラブルの心配から解放され、「勝てる新車」を選ぶという手もあります。
稀に「(予算の都合で)維持できないので、クルマを泣く泣く手放します」という人がいますが、初めから身の丈に合っていないクルマを選んでいるケースではないかと思います。
そんな結果になるくらいなら初めからそのクルマを選ばない方が良いです。メンテナンス代をケチらないと乗れないようなら、クルマも可哀そうですからね。
とはいえ、「乗りたい」という衝動を抑えきれないのもクルマ好きの性ではありますけどね。
2点目の、クルマを選ぶ要素がスタイリングという人とは異なり、「駆動方式」で選ぶ人はかなり、自分の目指す方向性が明確な人だと思います。
FF、FR、MR、4WDとありますが、それぞれ楽しさが異なります。
一般的に雨は4WDやFFが強く、FRなどリア駆動車は不向きと言われますが、セッティングが決まっていて、相応のタイヤを履いていれば、リア駆動車もFFと遜色ない・・・いや、ドライバー次第ではFFよりも速い場合もあります。
例を挙げれば、ジムカーナのPNクラスでよくある2LのNDロードスターとZC33スイフト(1.3Lターボなので、ターボ係数×1.7が排気量とみなされ同クラスとなります)が同クラスとなっていて、雨でもいい勝負をするというケースです。
気になる駆動方式やその駆動方式のクルマがあれば、その駆動方式のクルマで競技を行っている人の意見を聞いて、参考にすることは大いにアリだと思います。
3点目の「ターゲットにしている競技会のクラス」は、ジムカーナでいえば、軽自動車クラス、コンパクトカークラス、FFクラス、FRクラス、1.5Lまでの2輪駆動(駆動方式関係なし)クラス、1.5L以上の2輪駆動(駆動方式関係なし)クラス、4WDクラス、またクラス毎でラジアルタイヤクラス、Sタイヤクラスなど、競技会によって様々です。
自分が参加したい競技会のカテゴリを調べ、どのクラスで戦いたいかということを調べ、自分が乗りたいクルマとのマッチングを調べるのも一つの方法です。
4点目は「部品調達のし易さ」は新車であれば何も悩む必要がありませんが、特に年式の古い中古車の場合、そのクルマの消耗部品がメーカーから生産中止となっている場合が多くあります。
「え?こんな部品も出ないの(=生産中止)?」と愕然とすることもしばしばあります。
「旧車乗り」と呼ばれる人たちは、その愛車を飼育し続けるために、予備の部品を事前に調達したり、出入りの整備工場やショップに生産中止となった部品を作ってもらったりと、いろいろ苦労をしているのです。
スポーツカーと呼ばれるクルマが各メーカーから販売されていた1990年代や2000年代初め頃のクルマは、製造から20年から30年が経過しようとしています。
それらの時代のクルマは、必ず「部品調達」という壁にぶつかります。
乗りたいクルマがそれらの時代にあたるクルマを選ぶ場合、「部品調達」の可否も重要になりますし、当然、部品の値段も新車当時の値段よりも高騰していることを覚悟しなければなりません。
古いクルマに乗る以上、前述の「維持費」については、場合によっては心中するくらいの覚悟がないと乗れないクルマもありますので、重要な要素になります。
5点目(最後)の「積載能力」は、走るクルマに関係のない要素のように思えますが、実は無視できない要素です。
現行車の事例でいえば、NDロードスターとのZC33スイフトスポーツの積載量は悲しいくらい大きな差があります。
2シーターだと予備タイヤを積んでいくことの選択肢は基本ありません。別途積載できる取りつけ器具を用意するとか、別な車両に運んでもらうとか、みんな苦労しています。
その他、ヘルメット、工具、予備の部品、燃料(携行缶)、パドック用のタープ、遠征するならば遠征に必要な着替え等、トラブルを想定しての物品まで含めれば、積載能力は無視できません。
2シーターを飼育している私は、遠征時に「持っていきたいけれど、こっちの荷物の方が大事だからもっていかない」という取捨選択に迫られます。
積み込みの順番を間違えたら荷物が載らないことは当然あるため、予め手順も決めています。
後半はマニアックな内容になりましたが、それも踏まえて、「前編」の冒頭に書いた結論のとおり「自分が乗りたいクルマに乗ればいい」と思います。
Posted at 2021/12/10 21:04:55 | |
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