
クルマ・ジャケコーナー第334回は、Miles Davisの「many miles of Davis」(1962)です。
Miles Davis(マイルス・デイヴィス 1926 - 91)、ご存知でしょうか?
アメリカのジャズトランペッターで、いわゆるジャズの巨人(チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーン、オーネット・コールマン、ルイ・アームストロング、アート・ブレイキー等々)の一人
日本では「モダン・ジャズの帝王」とも!
トム・クルーズが初の本格的な悪役に挑戦したことでも話題になった映画「Collateral(コラテラル)」(2004)にこんなシーンがあります
殺し屋ヴィンセント(トム・クルーズ)が、ジャズの問題が正解なら見逃すと言い、「マイルスはどこで音楽を習った?」と質問
マイルスと一緒に演奏したことがあるという男が「1945年にニューヨークのジュリアード音楽院・・・」と答え終わらないうちに、ヴィンセントは額を打ち抜き、こう呟きます
「ジュリアード音楽院を1年足らずで中退、5丁目でチャーリー・パーカーに出会い、3年間学んだんだ・・・」
マイルスは、ニューヨークでチャーリー・パーカーとディジー・ガレスピーに可愛がられたそうです
↑ 『マイルス・デイヴィスの真実』/小川隆夫(2002 平凡社)より

マイルス本人や周りの人のインタビューを中心に、マイルスの一生をまとめた分厚い本でとても興味深い内容でした
実は少し前に未盗掘のすごい遺跡があったんです❣ 全部ジャンク!!
で、それらを合わせて持ってるレコをご紹介~
「Charlie Parker On Savoy vol.6」(1974?)
B3『Ko-Ko』の解説
“45年のセッションではマイルスがイントロとエンディングを知らないということで、ガレスピーにトランペットを吹いてもらったいわくつきの曲。実際のところは恐らく当時はまだまだ未熟だったマイルスにはこの急速調の難曲をこなす自信がなかったので辞退したのであろう。その時から3年経ったこの録音では、パーカーと堂々4つに組んでこの難曲をこなしている成長したマイルスの雄姿がうかがえ興味深い”
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Charlie Parker on Savoy Vol 6A
『死刑台のエレベーター サウンド・トラック盤』/マイルス・デヴィス五重奏団(1958)
映画「死刑台のエレベーター」(1957)のラッシュ・フィルムを見ながら即興演奏で録音したという伝説があり、ジャケ裏の解説には、“ジャズを最初に映画音楽として使ったのはハリウッドではなかった。フランスなのである。”
メンバーは、Barney Wilen(T.Sax)、Rene Urtreger(P)、Pierre Michelot(B)、Kenny Clarke(D)
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Ascenseur pour l'échafaud - Bande-annonce
「Somethin' Else」/Cannonball Adderley(1958)
キャノンボール・アダレイ名義ですが、実質的にはマイルス・デイヴィスのリーダーアルバム(契約の関係上、自身名義のソロ作が出せなかったらしい)
『Autumn Leaves(枯葉)』をシャンソンの世界からジャズへ持ってきた名盤です
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Cannonball Adderley - Autumn Leaves
マイルスにとっての初めての海外旅行だった1949年のパリ公演で、まだ駆け出しの歌手だったジュリエット・グレコと恋に落ちたことが、シャンソン『枯れ葉』がジャズに、「死刑台のエレベーター」の音楽につながったそうです
ジュリエット・グレコとの恋の結末については、
クルマ・ジャケ「Chanson Custom Collection」/V.A. で少しだけご紹介しております
「Relaxin' with the Miles Davis Quintet」(1958)
ジョン・コルトレーン(Sax)、レッド・ガーランド(P)、ポール・チェンバース(B)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(D)とのクインテットで1956年に2回のセッションで録音した音源を、契約の関係で「Workin'」、「Cookin'」、「Relaxin'」「Steamin'」の4枚のアルバムに分けてリリース
「Porgy And Bess」(1959)
ギル・エヴァンス(P)とのコラボで、1曲を除き、ジョージ・ガーシュウィン作曲の1935年の同名のオペラを演奏したオーケストラ・ジャズ・アルバム
「Kind of Blue」(1959)
モード・ジャズを拓き、売上500万枚以上という、史上最も成功したジャズアルバムの1つ
ジョン・コルトレーン(T.Sax)、キャノンボール・アダレイ(A.Sax)、ビル・エヴァンス(P)、ポール・チェンバース(B)、ジミー・コブ(D)をフィーチャーしたセクステット
全曲、マイルス作と記されてますが、『Blue in Green』などはビル・エヴァンス(P)作とも言われてます(エヴァンスのアルバム「Portrait in Jazz」にマイルスとの共同作として収録)
マイルスは、スタジオにプレイヤーを集めるとき、曲のアイデアを持って来るよういつも言ってたそうです😅
「BILL EVANS THE RIVERSIDE YEARS」(2012 5CD)
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Miles Davis - Blue In Green (Official Audio)
「Workin' with the Miles Davis Quintet」(1960)
はたらくくるま「ロードローラー」のクルマ・ジャケ!
メンバーは、ジョン・コルトレーン(T.Sax)、レッド・ガーランド(P)、ポール・チェンバース(B,Cel)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(D)
「My Funny Valentine: Miles Davis in Concert」(1965)
1964年2月12日、ニューヨーク・フィルハーモニックホールでの録音で、そのうちスローテンポとミディアムテンポの曲を集めた盤(アップテンポの曲は「Four & More」としてリリース)
メンバーは、ジョージ・コールマン(T.Sax)、ハービー・ハンコック(P)、ロン・カーター(B)、トニー・ウィリアムス(D)
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My Funny Valentine (Live at Philharmonic Hall, New York, NY - February 1964)
「In a Silent Way」(1969)
エレクトリック楽器が使われ、テープ編集が行われたマイルスの「エレクトリック」時代の最初のアルバム
最初のフュージョン・レコーディングとする評論家もおり、マイルスのベストアルバムの1つとしての評価もあるようです
メンバーは、ウェイン・ショーター(S.Sax)、ジョン・マクラフリン(E.G)、チック・コリア(E.P)、ハービー・ハンコック(E.P)、ジョー・ザヴィヌル(E.P,Or)、デイヴ・ホランド(B)、トニー・ウィリアムス(D)
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Miles Davis - In A Silent Way ( Full Album )
「Bitches Brew(ビッチェズ・ブリュー)」(1970)
マイルスのアルバムとして最高の全米35位を記録し、翌年、グラミー賞の最優秀ラージ・ジャズ・アンサンブル・アルバム賞を受賞
ジャズ・ロックというジャンルの先駆として、また、ジャズの最高傑作アルバムの1つとしての評価も
メンバーは、ウェイン・ショーター(S.Sax)、ジョン・マクラフリン(E.G)、チック・コリア(E.P)、ハービー・ハンコック(E.P)、ジョー・ザヴィヌル(E.P)、デイヴ・ホランド(B)、レニー・ホワイト(D)など
映画「Collateral(コラテラル)」でオーナーが殺される前に演奏していたのが『Spanish Key』
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Miles Davis - Spanish Key (Live at Isle of Wight 1970)
「On the Corner」(1972)
ファンクを取り入れた問題作
ワウワウペダル付きエレクトリックトランペットを奏で、ジャズ評論家から酷評され、最も売れなかったアルバムの一つ(後には「ロック、ファンク、エレクトロニカ、ジャズの融合における実験の最高水準」という評価も)
「In Concert」(1973)
1972年ニューヨークのフィルハーモニック・ホールでの録音盤
「Agharta」(1975)
伝説の地下王国「アガルタ」を描いたジャケは横尾忠則!
1975年2月1日、大阪フェスティバルホールでのライブ録音(昼公演)
まばらなマイルスのトランペット、エフェクトを多用したギター、不協和音…などで酷評されましたが、後には、ドラマチックでダイナミックな重要なジャズ・ロックのアルバム、マイルスのエレクトリック時代の集大成アルバムと評価されているようです
なお、夜公演は「Pangaea」としてリリースされ、ジャケ・アートワークは田島照久
「Live-Evil」(1971)
1970年のワシントンDCでのライブ音源と、ニューヨークのスタジオ録音を組み合わせた2枚組アルバム
タイトルの“Evil”は“Live”を逆に表記したもので、A1『Sivad』、C1『Selim』もMiles Davisを逆さにしたもの
ジャケは、マイルスが「片方は生命、もう片方は悪の絵がいい」とマーティ・クラーワインに依頼したイラスト
メンバーは、ゲイリー・バーツ(Sax)、ウェイン・ショーター(Sax)、ジョン・マクラフリン(E.G)、キース・ジャレット(E.P,Or)、ハービー・ハンコック、チック・コリア(E.P)、マイケル・ヘンダーソン(E.B 当時18歳!)、デイヴ・ホランド(B)、ジャック・ディジョネット(D)、ビリー・コブハム(D)など
1975年に一時的に引退するも、1980年に活動再開
ビル・エヴァンス(Sax)、マイク・スターン(G)、マーカス・ミラー(B)など、当時それほど有名ではなかったフュージョン系の若手を従え、ポップ・ジャズ色を強めます
クルマ・ジャケ「Fahrenheit」/TOTO でもご紹介しましたが、TOTOの6thアルバム「Fahrenheit」(1986)のラスト曲『Don't Stop Me Now』にデヴィッド・サンボーンと共に参加
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Don't Stop Me Now
↓ Live in Germany 1988 (Munich Philharmonic Concert Hall)
Youtube
MILES DAVIS - Don't Stop Me Now
プリンスとセッションしたり、チャカ・カーンとマイケル・ジャクソンの曲を演ったりもしてたんですね
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Miles Davis & Chaka Khan: Human Nature (live in Montreux 1989)
↑ なんかスゴイ緊張感溢れる『ヒューマン・ネイチャー』💦
掘り出したベスト盤は3枚(いずれもCBS・ソニー)
「MILES DAVIS Vol.2」(1981)
『So What』『Walkin'』『Seven Steps To Heaven』『My Funny Valentine』『I Thought Abaout You』
「MILES DAVIS Vol.3」(1981)
『E.S.P.』『Prince Of Darkness』『Paraphernalia』『Nefertiti』『Spanishi Key』
「MILES DAVIS GRAND PRIX 20」(1976)
『Round Midnight』『So What』『Milestones』『Summertime』『The Sorcerer』『Oleo』『Someday My Prince Will Come』『Concierto De Aranjuez』
ビバップでキャリアをスタートさせ、クール・ジャズ、ハード・バップ、モード・ジャズ、エレクトリック・ジャズ、クロスオーバー、ヒップホップ・ジャズなど、様々な音楽性を見せ、ジャズ界を牽引したマイルス・デイヴィス
1991年に65歳で旅立ちました・・・
『マイルス・デイヴィスの真実』/小川隆夫(2002 平凡社)によると、マイルスは女性もクルマも好きだったようですね💛
↑ このフェラーリは黄色・・・ってネット上に画像ありました💦
ネット上には愛車との画像が山ほど・・・
Ferrari 275 GTB
Ferrari Testarossa
Lamborghini Miura
ミウラでクラッシュし両足を骨折したとか…😿
さて、本日ご紹介のクルマ・ジャケ・レコは、
「many miles of Davis」/Miles Davis(1962)
これがWikipediaに載ってないレコでして💦
ジャケには「CP Parker RECORDS」のマークが、裏ジャケには「MANUFACTURED BY APEX RECORD CORPORATION」とあります
「チャーリー・パーカー・レコード」はパーカーの死後、コレクターの手に渡った多くの違法ライブブートレグの流通を管理するため、パーカーの未亡人ドリス・パーカーとオーブリー・メイヒューが設立したレーベル(1961 - 65)で、1962年以降はエイペックス・レコード・コーポレーションが製造を担当
マイルスがレコードに登場したのは、ビバップ・サックス奏者チャーリー・パーカーのクインテットのメンバーとして1944年から1947年にかけて、サヴォイ・レーベルからリリースされたもの
この盤には、チャーリー・パーカー・バンド在籍時となるマイルスのキャリア最初期の演奏(1946 - 47年録音)が収められてます
Youtube
Out of nowhere-Charlie Parker
Miles Davis(trumpet),Charlie Parker(alto sax),Duke Jordan(piano),Tommy Potter(bass),Max Roach(drums).
Youtube Miles Davis & Charlie Parker - A Night In Tunisia
https://www.youtube.com/watch?v=KxibMBV3nFo
Youtube
Charlie Parker / Bird Of Paradise 1947
私的には、エレクトリック期よりずっといいなあ・・・
さてさて、ジャケのクルマは・・・
右のメーター中央に「Morgan」❣
ネット上には、いろいろな内装のモーガンがあり、このステアリングはすぐに見つかりましたが、左メーターが黒、右が白というのはなかなか無く・・・
やっと見つけました!
1959 Morgan Plus 4 Roadster
ボディスタイルは、2シーター、4シーター、ドロップヘッドクーペ(DHC)があり、DHCの4シーターもあった(1954 - 56)ようです
「+4」と「4/4」の違いがよくわかってないのですが、「+4」は「4/4」のハイパワー版という位置づけで、スポーツ性では「4/4」の方が上で、「+4」はGT的な味付けだそうです(ネット情報)
“軽い車体に細いタイヤでキビキビと走るには「4/4」”だそうで(ネット情報)、やっぱり「4/4」にするか!(笑)
「Morgan 4/4」は、
クルマ・ジャケ「青春に恥じないように」/南沙織 Part.1 でそうしてますが、「+4」かも知れませんね💦
インパネ右のメーターは「M.P.H」(mile/h・1マイル毎時)スピード・メーター
アルバム・タイトルに合わせると、回転計(RPM)と入れ替えてジャケにしたら・・・いやいやそれはスポーツカーに対して失礼でしょう😅
このレコがリリースされたと思われる1962年のル・マン24時間レース1601-2000cc GTクラスで「+4」が優勝してます!
【登場車両】
Morgan Plus 4 roadster 1950 - 69
【自己採点】
クルマ度 7点(一度は乗ってみたいMorgan!)
魅惑度 6点(タイトルに合わせて「M.P.H」でも良かった❓)
音楽度 7点(マイルス初期の音源🎺)