クルマ・ジャケコーナー第69回は、Air Supplyの「あなたのいない朝(I'll Never Get Enough Of You)」(1981)です。
Air Supply(エア・サプライ)、ご存知ですか?
Graham Russell(グラハム・ラッセル1950- )とRussell Hitchcock(ラッセル・ヒッチコック1949 - )の2人が中心となり、1976年にオーストラリア・メルボルンで結成されたグループです。
背が高い方がグラハム・ラッセルで、ギターは左利き。
もう片方、ラッセル・ヒッチコックのハイトーン・ヴォイスが大きな売りですが、グラハムの声もまた良く、二人のハーモニーが美しいです。グラハムの書く曲も素晴らしいです。
二人の出会いは、ロック・ミュージカル『Jesus Christ Superstar(ジーザス・クライスト・スーパースター)』のオーストラリア公演。
そこに集まったミュージシャンの中に二人がおり、「ラッセル」がらみで年齢も近く、すぐに意気投合したそうです。
ちなみに「Jesus Christ Superstar」はイエス・キリストの最後の7日間を描いたロックミュージカル。
「Jesus Christ Superstar」(1970)
リードボーカル(ジーザス役)は、な、なんと、Deep PurpleのIan Gilan!
1971年ビルボード年間アルバム部門1位がブロードウェイの舞台公演に繋がり、世界約30ヶ国で上演され、メルボルン・・となるのですから、このアルバムが無ければエア・サプライも生まれなかった・・?
さて、手持ち(一部ネットから借用)のレコとCDでエア・サプライのアルバムを辿っていくわけですが、日本のみの(Japanese reissue)のジャケとタイトルがわかりずらい~~!
まあ、夏のイメージで売ろうという販売戦略は実にわかりやすいんですが・・(笑)
1stアルバム「Air Supply」(1976)
日本盤では「Strangers In Love」(1980)となります。 ジャケイラストは永井博氏。
B2『Love And Other Bruises 』がデビューシングル。
A4『What A Life』はベースのJeremy Paul(ジェレミー・ポール)のヴォーカル曲。
A5『Secret Agent』はSteely Danを思わせる曲。
B4『We Are All Alone』はBozのそれとは同名異曲です。
2ndアルバム「The Whole Thing Started」(1977)
オリジナル・ジャケは、まんま先輩Bee Geesですね。
右端は誰だろ?
日本盤は1stと同じく永井博氏のイラスト。
「パシフィック・ラヴ(The Whole Thing Started)」(1980)
1st同様、全曲グラハム・ラッセルの手によるもの。
A2『Do It Again』はSteely Danのそれとは同名異曲で、いかにもエア・サプライという曲。
A4『There's Nothing I Can Do』はジェレミーのヴォーカル曲。
A5『Ready For Love』はグラハムがリードヴォーカル。優しい声が魅力的です。
1st、2ndともにゴールド・ディスクを獲得したようですから、素晴らしいデビューですね。
4th以降に比べ、聴かれた方はそれほど多くないと思いますが、若々しく爽やかでバンド的でかなりイイですよ!
この頃、ロッド・スチュワートのオーストラリア・ツアーの前座を務めて認められ、ロッドにアメリカとカナダのツアーにも同行するように言われたらしいです。
3rd(?)アルバム「Love And Other Bruises」(1977)
デビューシングル『Love And Other Bruises 』をアルバムタイトルとしたアメリカ・デビュー・アルバム。
1st、2ndのベストテイクに未発表曲2曲(A4『Who Will Love Me Now』、B4『Does It Matter』)を収めて作られたアルバム。アレンジを変え、ギターソロなどを省いた曲もあり、2人を中心に売り出そうとした感じ?
ジャケも表も裏も2人のラッセルだけ。
ジャケ写真撮影はGary Heery(ゲイリー・ヒーリー)。こちらも手掛けているようです。
「MADONNA(バーニング・アップ)」/MADONNA(1983)
日本盤は、そんな写真家(この時は無名だったかもしれませんが)のジャケ写とは無関係に・・・
「 スピリッツ・オブ・ラヴ(Love And Other Bruises-ベスト・オブ・エア・サプライ)」(1981)
4thアルバム「Life Support」(1979)
オリジナル
日本盤
「スーパーナチュラル(Life Support)」(1983)
エア・サプライがブレイクした後に「大発見!」として日本で発売された4thアルバム(アメリカ編集盤を除くとオリジナル3作目)。
オリジナルと日本盤が逆?と思えるほど、意味不明な日本盤ジャケ。
オーストラリア盤には『Lost In Love』の原曲が入っているそうですが、日本盤には残念ながら入っておらず、代わりにA5『Biliever』(シングル『Lost In Love』のB面、アルバム未収録曲)が入ってます。
この『Lost In Love』が、オーストラリアで13位、ニュージーランドで3位を記録し、Arista Records(アリスタ・レコード)の目に留まり、録音し直された『Lost In Love』が全米3位の大ヒットとなります!
5thアルバム「Lost In Love」(1980)
オリジナル
4thのジャケは?でしたが、コチラはバンドだぞっというメッセージが伝わるジャケ。
日本盤
「ロスト・イン・ラヴ(Lost In Love)」(1980)
日本盤はバンドも何も関係なく、ただもう、夏のイメージで売るという感じ。
日本ジャケのペパーミント色がピッタシなのは確か。
やはり何といってもA1『Lost In Love』。全米チャート3位となる最初の大ヒット曲。
日本盤シングル『ロスト・イン・ラブ(Lost In Love)』(1980)
アルペジオの響きで始まり、ラッセルの甘いハイトーンヴォイス、ハーモニー、次第に盛り上がる美しいメロディ・・・。素晴らしい曲ですね!
A2『All Out of Love』(全米2位)、A3『Every Woman in the World』(全米5位)も大ヒットしました。
アルバムは全米22位まで上昇し、ダブルプラチナム(200万枚)に!
2ndシングル『All Out Of Love(オール・アウト・オブ・ラブ)』(1980)
“スキッと爽やか”ペパーミント・サウンド第2弾!!
クルマ・ジャケだ~
VW Type-2 Camper Van ?
6thアルバム「The One That You Love」(1981)
オリジナル
日本盤
「シーサイド・ラヴ(The One That You Love)」(1981)
どちらも気球ですが、日本盤は海。こだわりますネ~(笑)
『あなたのいない朝』は初めは日本でも『ネバ―・ゲット・イナッフ』だったようですね。
『あなたのいない朝』がヒットしてからは帯が変わってます。
アルバムは全米10位と彼らの最高を記録。
シングル・カットされたA4『The One That You Love(シーサイド・ラヴ)』は全米1位!
A2『Here I Am』とB1『Sweet Dreams』も全米5位と大ヒットしています。
『Here I Am』は、Norman Saleet(ノーマン・サリート)の曲。
「Here I Am」/Norman Saleet(1981)
『Here I Am』がアリスタ・レコードの社長に気に入られ、エア・サプライが歌いヒットしたことでようやく作ることができたアルバムということです。
ほぼエア・サプライが歌っておかしくないイイ曲が並びます。
『Hang On In(北風のラスト・レター)』はアート・ガーファンクルのLPにも収められています。
「エア・サプライ ダブル・プラチナム」(1981 ?)
「Lost In Love(ロスト・イン・ラヴ)」と「The One That You Love(シーサイド・ラヴ)」の2枚を抱き合わせたアルバム(\4,000)。まあ、少しお得なんでしょうか。
コチラもクルマ・ジャケですね!
7thアルバム「Now and Forever」(1982)
オリジナル
日本盤
「Now and Forever(ナウ・アンド・フォーエバー エア・サプライⅢ)」(1982)
エア・サプライⅢは、「Lost In Love(ロスト・イン・ラヴ)」から数えて3枚目ということですね。
こちらも同じ気球ですが、ここまでくるとどうなんでしょう・・・?
裏ジャケも全く違います。日本盤の裏ジャケが本日ご紹介のシングル『I'll Never Get Enough Of You(あなたのいない朝)』のジャケですね。ごていねいに背景を海にしてますが。(笑)
A2『Even The Nights Are Better(さよならロンリー・ラブ)』は全米5位、アルバムは全米25位を記録。
日本のオリコン洋楽アルバムチャートでは5週連続1位を記録しています。
ベスト・アルバム「Greatest Hits」(1983)
オリジナル
日本盤
「Greatest Hits(グレイテスト・ヒッツ/渚の誓い)」(1983)
このアルバム用に用意された曲、A4『Making Love Out of Nothing at All (渚の誓い)」がシングルカットされ、Billboard Hot 100 の第2位まで上昇。エア・サプライにとって全米トップ10入りした最後の曲です。
日本盤には、B1『I'll Never Get Enough Of You(あなたのいない朝) 』、B6『Late Again』が追加収録されてます。
8thアルバム「Air Supply」(1985)
オリジナル
日本盤
「潮風のラブ・コール エア・サプライⅤ」(1985)
1stと同じくバンド名を冠したアルバム。心機一転でしょうか?
日本盤の方は、心機一転とは全く関係なくいつも通りです(笑)
A1『Just As I Am(潮風のラブ・コール)』がシングルカットされヒット(全米19位)。
B2『Sandy』はブルース・スプリングスティーンの曲!
9thアルバム「Hearts in Motion」(1986)
オリジナル
日本盤CD「Hearts in Motion(ロンリー・イズ・ザ・ナイト)」(1986)
日本14thシングル『Lonely Is The Night(ロンリー・イズ・ザ・ナイト)』(1986)
アメリカでチャート入り(84位)した最後のアルバムで、これ以降は人気が低迷していきます・・・。
サウンドがメリハリあるシンセ・打ち込み風になってきていることが少し気になりますが、それほど悪いわけではありません。売れ筋ポップAOR的ないい曲が多いです。
『Lonely Is The Night』、『One More Chance』ではマイケル・ランドゥーがGを弾いてるようです。
10th「The Christmas Album(エア・サプライのクリスマス)」(1987)
『ホワイト・クリスマス』などの定番曲にオリジナル2曲が入ったクリスマス・アルバム。この2曲はなかなかイイですよ!
さすがにジャケを海やヨットにするわけにはいかず、日本でも同じジャケですが、これ以降、日本ジャケは無いように思います。
11th「The Earth Is ...」(1991)
『Without You』はバッドフィンガーの曲で、ニルソンがカバーしたものが72年に全米1位になってます。
ハート(1978)や、メリサ・マンチェスター(1980)、マライア・キャリー(1994)など、全世界で180以上のアーティストに録音されているそうです。
日本でも弘田三枝子がカバーし(1984)、三菱「ランサー・フィオーレ」のCMソングとして使われました。
『Dame Amor』はスペイン語の詩。『Dancing With The Mountain』はどこか民俗音楽的でプログレ風。
『Love Conquers Time』のようにグラハムが歌い出し途中からヒッチコックに替わり、ハーモニーが美しいエア・サプライらしい美しい曲もあり、期待は裏切られない内容と思います。
12th「The Vanishing Race」(1993)
タイトルは直訳すると「消えゆくレース」。タイトルとジャケから想像できるように、さわやか路線から脱する渋いAORアルバム。
全米アダルト・コンテンポラリー・チャートで48位とスマッシュ・ヒットした『Goodbye』はデヴィッド・フォスター作。
クレジットにBilly Sherwood(ビリー・シャーウッド)の名があったので、ん? と思ったら、前作も今作もその兄Michael Sherwoodが全面的に参加してました。
Billy Sherwood(ビリー・シャーウッド)は、後にYes(イエス)の正式メンバーとして、アルバム「Open Your Eyes」(1997)でキーボード、「The Ladder」(1999)ではギターを担当した人物!
いやあ、エア・サプライとイエスが繋がるなんてビックリ~!!
「The Ladder」/Yes(1999)
シャーウッド兄弟の名は、次作「news from nowhere」でもクレジットされてます。
13th「news from nowhere」(1995)
さらにジャケが渋く抽象的になりました。内容もその路線。
『Unchained Melody』はライチャス・ブラザースのカヴァー。
『Feel For Your Love』はおそらくビリー・シャーウッドが中心的に作ったと思われるリズミックな曲。確かにイエス風味が・・・。
「Greatest Hits Live ... Now and Forever」(1995)
エア・サプライ20年のキャリアで初のライブアルバム。結構ハードな演奏でスタジオ盤とは違った魅力があります。
「The Vanishing Race」から1曲、「news from nowhere」からも3曲。『The Way I Feel』は新曲でヒッチコックのハイトーンヴォイスがとても美しい曲。
ラストの『Now and Forever』はライブではなく新録音(?)。
14th「The Book of Love」(1997)
いきなり打ち込み(bassはAbraham Laboriel) + 語り? Vocalはthe beejeagles ? う~ん、かなりの新境地。
だからこそ、2人のヴォーカルが光る。『ONCE』はインストゥルメンタル曲ですが・・・。
『Would You Ever Walk Away』は往年のサウンドを思い起こさせますが、『Lost In Love』は忘れて愉しみたいアルバムです。
15th「Yours Truly」(2001)
往年を思い起こさせるオープニング。しかし、2曲目でガクッ(個人的に)。
アコギ、ピアノ中心の佳曲が多くジャケのイメージと合うのですが、合わない曲も2,3あり、惜しいな~という感じ。ヒッチコックのハイトーンにもやや翳りが・・・
16th「Across The Concrete Sky」(2003)
いきなりStinaなる女性voをフューチャーした曲で始まります。
アコギ、ピアノで聴かせるいかにもエア・サプライと明るいロックっぽい曲がバランスよく収められたアルバムと感じます。
アマゾンでは結構な高値になってます。
17th「Mumbo Jumbo」(2010)・・・残念ながら持ってません。
先行配信のチョイ聞きで、コレはもう違うな~と思い買いませんでしたが、現在はやはり高値になってしまってます。
Youtubeで聴いてみるとかなりハードなギターがあって・・?
でも買っておくべきでした・・・(T_T)
DVDも1本ありました。
「ALL OUT OF LOVE LIVE」(2010)
意外にもロングコートを着て飛び跳ねながらギターを弾くグラハムの姿が!
『The One That You Love(シーサイド・ラヴ)』では、観客席に降りたヒッチコックに大勢の女性が抱き着き、微笑ましくも羨ましく(女性の方ね)もあり、感動的です。
凝った演出は全くありませんが、大ヒット曲を一緒に歌う幸せそうな観客で素晴らしいライブとわかります。流石、7曲連続全米トップ5入りのグループ!
日本では1984年に武道館などで公演。2002年にはクリストファー・クロスとのジョイントコンサートを行っています(コレは後から知って後悔しました...)。
さてさて、本日ご紹介のクルマジャケ・レコは・・・
『あなたのいない朝(I'll Never Get Enough Of You)』/Air Supply(1981)
全米10位と彼らの最高を記録したアルバム6thアルバム「The One That You Love(シーサイド・ラヴ)」(1981)からのシングル・カット曲。
『Here I Am』と『Sweet Dreams』が全米5位ですが、その間に出たこれだけチャートインしてません。残念ながら本国でも特にヒットしてないようです。
・・・と思ったら、日本のみでシングルになった曲だそう。(^-^;
TVドラマ「いつか黄昏の街で」(1981 主演:沢田研二、多岐川裕美主演)の主題歌になったからですね。
当時、日本公演でアンコールの最後に歌われた・・・セットリストに入ってなかったということでしょうか・・・。
作曲はGary Portnoy(ゲイリー・ポートノイ)という人。唯一(?)のソロアルバムが、
「Gary Portnoy(星影のロング・ナイト)」/Gary Portnoy (1980)
ジャケがなんだかな~ですが、AOR隠れ名盤と言われるだけの内容です。
『Say Goodnight』はドリー・パートンやエンゲルト・フンパーティンクがカヴァーしてます。
歌詞は、歌い出しが、
♪ All last nite we lay in bed maiking love・・・昨夜は一晩中ベッドでメイキンラヴ ?! (#^^#)
サビの♪ I'll Never Get Enough Of You は、・・・もう十分に〇ルことは決してないだろう ?!
・・・って、直訳しちゃダメですね(笑)
この
Hな 素敵な詞を書いたのはJeannie Napoli 。
Amazonで「Jeanne Napoli」(スペルが少し違います)を調べると、『ニューヨーク5大マフィア・ジェノベーゼ一家の幹部 James Napoliの妻』・・マジ!? ( ゚Д゚)
"Morning" なんて歌詞は出てこないのに、邦題『あなたのいない朝』を考えた人も素敵です(^-^;
【登場車両】
Chevrolet Bel Air 1953–57 ?
シボレー・ベル・エアーは、最もアメリカ車らしい1台であり、エンスージアストの間で人気が高いクルマ。
名前はロサンゼルス西部の高級住宅地“Bel Air”のイメージを拝借したそう。
ジャケのクルマとネット上の画像では微妙(サイドラインやリアエンドなど)に違うので、ちょっと?です。
【自己採点】
クルマ度 6点(Air SupplyだからBel Air?)
魅惑度 5点(できれば海辺で撮ってほしかった・・・)
音楽度 7点(直訳はダメヨ♡ あくまでもソフトにペパーミントに・・・ ♪ネヴァゲライナ、ネヴァゲライナ)