
クルマ・ジャケコーナー第152回は、渡哲也の「渡哲也BEST20 DELUXE」(1972 ?)です。
渡哲也(わたりてつや 1941 - 2020)、ご存知でしょうか?
映画『あばれ騎士道』(1965)で宍戸錠(ししどじょう 1933 - 2020)とのW主演でデビュー。
宍戸錠の弟役としてオートレーサーに扮し、密輸組織と戦う・・・
2作目『青春の裁き』で早くも単独主演!
お相手は山本陽子?
『東京流れ者』(1966)では主演し、主題歌「東京流れ者」を歌いました。
ミュージカル風に描いた異色のやくざ映画?
吉永小百合との初共演映画の『愛と死の記録』(1966)で第17回ブルーリボン賞新人賞を獲得しています。
“裕次郎2世”と言われ、リバイバル版『嵐を呼ぶ男』(1966)に主演。
オリジナルは石原裕次郎が主演(1957)で、渡哲也の後には近藤真彦のリメイク版(1983)があります。
『東京流れ者』や『無頼シリーズ』(1968 - )などでスターになりますが、日活がロマンポルノへ路線変更すると『関東破門状』(1971)を最後に日活を退社。
東映などから声がかかるも、借金で倒産寸前の石原プロモーションへ入社(1971)。
『甦える大地』(1971 監督:中村登)の冒頭で、治水工事に失敗し自殺する水戸の郷士・中館広之助を演じています。
その自殺から数百年後・・・
茨城・鹿島を一代工業地帯にしようと、世界最大の掘り込み港と堤防を作るために立ち上がる、建設省の植松一也(裕次郎)ら男たちのロマンを描いた史実に基づいた貴重な作品です。
映画は、巨大な姿を現わした鹿島コンビナートが植松が思っていた“緑の楽園"とはあまりにもかけ離れたものであったと描いていますが、映画の興行成績も期待通りにならず、石原プロは莫大な借金を背負ってしまいます。
う~ん、開発も難しいけど映画制作も難しい・・・
石原プロはその後、TVドラマ『大都会』及び『西部警察』シリーズで、負債を完済し再建に成功していますが、「角刈りにサングラス」をトレードマークとした渡哲也の活躍が大きかったと思います。
『大都会 PARTⅡテーマ』/演奏:GAME(1977 ?)
渡が刑事、裕次郎が外科医師を演じたドラマ。
作曲:杉本真人、編曲:GAME・江夏健二
GAMEは深町栄(Key)、 小室邦男(B) 、長尾謙一(D)、 伊勢田真資(G)で、リーダーの深町栄は、桑田佳祐、BOROなどのバックや小林克也&ザ・ナンバーワン・バンドなどで活躍したキーボーディスト。
「西部警察 サウンド・トラックPARTⅡ」/演奏:ホーネッツ(1980)
図書館にこんなCDがありました!
「ありがとう!石原軍団」
聴きごたえのある2枚組CDです。
渡哲也は歌手としても人気がありました。
『くちなしの花』(1973 26thシングル)
1974年の年間シングルチャートで7位を記録。全日本有線放送大賞金賞を獲得し、NHK紅白歌合戦にも出場('93にも)しています。
「あじさいの雨」(1975 ? ベスト盤?)
↑シングル『くちなしの花』『わかれ花』『あじさいの雨』『あいつ』を収録。
この後、『みちづれ』(1975)、『水割り』(1976)、『ひとり』(1977)などがヒットしました。
『水割り』(1976 31stシングル)
『ひとり』(1977 32ndシングル)
↑ 「大都会PARTII」挿入歌。50万枚の大ヒット!
『酒は男の子守唄』(1980 38thシングル)
『めぐり逢いしのび逢い』(1982 43rdシングル)
↑ 多岐川裕美とのデュエット
『青春ばんから』(1989 52ndシングル)
Wikipediaでは50thシングル『ラストシーンは見たくない』(1988)が最後のEPとなっており、この『青春ばんから』は8cmCDのみであるように表記されてます。
ジャケ裏にもどこにも“見本盤”のような表記は無く、このシングル盤は一体・・?
宝酒造 松竹梅CMソング
Youtube
Shoh Kuramoto - 青春ばんから
↑ 4:16辺りからがCM
NHK大河ドラマ「勝海舟」(1974)の主演に抜擢されるも、長期入院などで途中降板(実弟の渡瀬恒彦が代役)するなど体調不良が続きましたが、『やくざの墓場 くちなしの花』(1976)で第19回ブルーリボン賞主演男優賞を獲得しています。
石原裕次郎が癌で52歳の若さで死去(1987)した後、石原プロの2代目社長に就任。
しかし、自らも直腸癌であると発表(1991)。
そして復活。大河ドラマ『秀吉』(1996)では織田信長を、『義経』(2005)では平清盛を演じました。
目力がありましたね~
2015年には急性心筋梗塞で緊急入院。退院後、仕事と石原プロの経営陣(相談取締役)に復帰。
2020年に肺炎のため78歳で亡くなられました・・・。
宝酒造 松竹梅のCM(2020年版)では、過去の映像を合成し、裕次郎と日本酒を酌み交わす「よろこびをお伝えして50年~幻の共演~」編が作られ放映されました。
渡哲也は「最後のコマーシャルを裕次郎さんとの共演で終わらせていただくのは、感慨深いものがあります」とコメントしていたそうです。
きっと二人でゆっくり酒を酌み交わしていることでしょう。
クルマ・ジャケ「祐ちゃんのリバイバル・ヒット・メロディー」/石原裕次郎
さて、本日ご紹介のクルマ・ジャケ・レコは・・・
「渡哲也BEST20 DELUXE」/渡哲也(1972 ?)
2枚組ベスト盤。
発売年がはっきりしませんが、テイチクレコードに在籍した1969年~72年の楽曲なので1972年か1973年の頃かと。
ポリドール・レコードに移籍しヒットした『くちなしの花』(1973)などは入ってません。
TVドラマや映画の主題歌、『花と竜』『関東流れ唄』『荒野の赤い花』『赤い夕陽に』などを収録。ムード歌謡?ヤクザ歌謡? 淡々とした歌い方が渋いです~。
さてさて、ジャケのクルマですが・・・
GM(ゼネラルモーターズ)の1926年から2010年にあったブランドのPontiac(ポンティアック)のGrand Prix(グランプリ) ですね。
ブランド名は、デトロイトのネイティブ・アメリカンの「ポンティアック首長(Chief Pontiac)」が由来で、かつては首長の肖像を広告に多用していたようです。
ちなみに「グランプリ」は「F1GP」を意味していて、ポンティアックは後に「GTO」、「ル・マン」、「トランザム」、「グランダム」、「カンナム」とモータースポーツに関連する車名を発表します。
かかと潰しもそうですが、足元の吸い殻が気になります。吸い殻2本も写ってるジャケはそうないのでは・・・(^-^;)
4代目ポンティアック(1973 – 77)は
クルマ・ジャケ「Hard Times」/Boz Scaggsで登場してます。
【登場車両】
GM Pontiac Grand Prix 3代目 1969 - 72 ?
【自己採点】
クルマ度 6点(渡哲也にはセドグロなんかの方が・・・)
魅惑度 6点(足元の吸い殻が気になって・・・)
音楽度 5点(ムード歌謡?ヤクザ歌謡? 渋すぎます~)