
クルマ・ジャケコーナー第98回は、The New American Orchestraの「Blade Runner ~End Title(ブレード・ランナー~エンド・タイトル)」(1982)です。
ジャケ裏の解説に『ヴァンゲリスの美しい旋律を、ジャック・エリオット率いるニュー・アメリカン・オーケストラが見事に再現』とあります。
Jack Elliott率いるThe New American Orchestra、ご存じでしょうか ?
Jack Elliott(ジャック・エリオット 1927 - 2001)はアメリカの作曲家・指揮者・アレンジャー・TVプロデューサーで、「The New American Orchestra」の共同創設者。
「The New American Orchestra」は後の「American Jazz Philharmonic(アメリカン・ジャズ・フィルハーモニー管弦楽団)」。
アメリカのTVバラエティ番組「The Andy Williams Show(アンディ・ウィリアムズ・ショー)」(1962 - 71)の音楽監督やグラミー賞の音楽監督を30年間務めたようです。
そして、この曲の作曲者は、Vangelis。
Vangelis(ヴァンゲリス 1943 - )、ご存知でしょうか?
ギリシャ出身の作曲家・シンセサイザー奏者です。
「Aphrodite's Child(アフロディテス・チャイルド)」(1967 - 71 ?)でヒットを出し、その後、映画音楽、オリジナル作品を数多く発表。世界的に活躍し続けています。
作品が数多く、聴いてないものたくさんあるので、私が持ってるアルバムなどを中心にまとめてみます。
「Albedo 0.39(反射率 0.39)」(1976)
サントラを含めると8作目のアルバム。
「Albedo」とは光の反射率のことで、鏡を1.00とすると、地球は0.39だったそう(1976年当時)。
1974年にRick Wakeman(リック・ウェイクマン)の後任としてYes(イエス)への加入を打診されるも加入せず。
ウェイクマンは、アルバム「Tales from Topographic Oceans(海洋地形学の物語)」(1973)のコンセプトや出来に不満を持ち、それらの曲の演奏に飽き飽きしてYes(イエス)を脱退したそうですが、、、 わかる~ (^^;
それを機にJon Anderson(ジョン・アンダーソン)との交流が深まり、以後、相互のアルバムにゲスト参加するなどし、2人名義のアルバムも発表しています。
「Short Stories」(1979)/Jon and Vangelis 全英4位
J.アンダーソンとのコラボ1作目。4作(1991)まであり、いい関係が続いたようです。
アルバムタイトルどおり小作品集(海洋の反省!?)。
ちなみに、アルバム「Anderson Bruford Wakeman Howe(閃光)」(1989)のラスト曲『Let's Pretend』の作者にもヴァンゲリスの名を見ることができます。
彼がイエスに加入していたらどうなってたんでしょう? 「海洋地形学の物語」みたいな作品が続いた・・? (゚Д゚;)
「See You Later(流氷原)」(1980)
こちらにもJ.アンダーソンがボーカルで参加。
最も有名なのは映画「炎のランナー」のサントラでしょうか。
「Chariots of Fire(炎のランナー)soundtrack」(1981)
第54回アカデミー賞作曲賞を受賞(1982)。ビルボードアルバム及びシングルでもチャート1位を獲得! インストゥルメンタル唯一の全米No.1アルバムでもあるそうです。
日本では『南極物語』(1983)のサントラや、日韓同時開催2002 FIFAワールドカップの公式アンセム(シンボルとしての賛歌)がTVなどで頻繁にオン・エアされ、オリコンチャートでトップ10入りし話題となりました。
「Soil Festivities(大地の祭礼)」(1984)
「炎のランナー」、「南極物語」で注目を浴びた後のアルバム。
美しいメロディはありますが、淡々とした曲調が延々と続く感じも・・・
「海洋地形学の物語」に近いと言えば近い?
リドリー・スコット監督作品『1492 コロンブス』のサントラ盤(1992)は、ドイツでアルバムが100万枚、シングル『新大陸発見/コロンブスのテーマ』が150万枚売れるなど、欧州17ヶ国でゴールドまたはプラチナ・ディスクを獲得し、「炎のランナー」を凌ぐヒットとなりました。
ヴァンゲリスの音楽はシンプルで美しく印象的なメロディで、様々な分野で使用され続けています。
さて、本日ご紹介のクルマ・ジャケ・レコは、
「Blade Runner ~End Title」/The New American Orchestra(作曲:Vangelis 1982)
映画「Blade Runner(ブレードランナー)」(1982)で緊迫したシーンやエンドロールで使用された曲です。
監督はリドリー・スコット。「エイリアン」(1979)に次ぐSF作品で、主演はハリソン・フォード。
この映画で注目されたのが、Syd Mead(シド・ミード 1933 - 2019)がデザインしたクルマなど。
「Blade Runner Deckard's sedan」
自走できる劇用車なども制作されたようです。
映画は1983年度のアカデミー賞(視覚効果賞・美術賞ノミネート)、ゴールデングローブ賞(作曲賞ノミネート)程度で大ヒットとはならなかった(むしろ不評?)ようですが、一部マニアに受け、日本では2018年度キネマ旬報「1980年代外国映画ベスト・テン」で第1位に選ばれてます。
で、ジャンク箱にLDの「Blade Runner」があったので買って観直してみました。
・・・う~ん、良さがよくわからん~(音楽に気を取られ過ぎて?)
ロボットが感情を持ち、限りなく人間に近づく恐ろしさ?
映画のサントラ盤は当時は無く、ニュー・アメリカン・オーケストラ演奏の「オリジナルスコア版」(1982)が発売されました。今回ご紹介のシングルと同じですね。オリジナル・サントラは1994年にリリースされてるようです。
さてさて、ジャケのクルマは・・・
「mazda SAVANNA RX-7 TVCMソング」ということで、RX-7!
2代目で、まだ「サバンナ」の呼称が付いてます。
スカイラインGT-Rの連勝記録を止めるなどモータースポーツで活躍した「サバンナRX-3」(1971 - 78)の後継車で、「R」は「ロータリーエンジン」、「X」は「未来を象徴する記号」を表してるそう。
エンジンはインタークーラー付きターボ13B型。フロントブレーキには日本車初の対向4ピストンのアルミキャリパーを採用。キャッチコピーには「4WS感覚」という言葉が使われました。
ロータリーエンジン生誕20周年を記念して電動ソフトトップのカブリオレ仕様(FC3C型)も登場してます(1987)。
昔、同僚が乗ってて、その頃は値段も値段だし、それほどいいと思わなかった・・・(^-^;
アメリカでは「プアマンズポルシェ」と揶揄されたようですが、評論家 徳大寺有恒は『耐久性はポルシェにはかなわないが、その他の性能ではRX-7のできは上々で、総合点ではポルシェ944を凌ぐ』と評したそうです。
最近、全く見ないですね・・・ 特にカブリオレ、生き残ってるんだろうか・・・
【登場車両】
2代目 mazda SAVANNA RX-7(マツダ サバンナ RX-7) FC3S型(1985 - 92)
【自己採点】
クルマ度 7点(昔よりカッコよく見えるのは・・リトラのせい?)
魅惑度 6点(Deckard's sedanとRX-7が競走するような絵なら面白かったカモ)
音楽度 6点(近未来的。今聴くと懐かしい... 未来は面白いの? 怖いの?)