
クルマ・ジャケコーナー第187回は、Heatwaveの「Current(オータム・ハイウェイ)」(1982)です。
Heatwave(ヒートウエイブ、ヒートウェイヴ 1975 - )、ご存知でしょうか?
ヒートウエイブは1975年にロンドンで結成されたバンドです。
西ドイツ駐在の米軍人Johnnie James Wilder Jr. (ジョニー・ワイルダー・ジュニア 1949 - 2006)とKeith Wilder (キース・ワイルダー:Vo.)のワイルダー兄弟が、“同郷、オハイオ州デイトン”出身のEric Johns(エリック・ジョンズ:G)と出会うことから始まります。
この“同郷、オハイオ州デイトン”は「Ohio Players(オハイオ・プレイヤーズ)」などを生んだ地でもあり、ファンキーな土地柄なのかもしれません。
「Jass-Ay-Lay-Dee」/Ohio Players(1978 11thアルバム)
↑ 最高レベルのクルマ・ジャケ!💦
そのうちご紹介したいです。
そして、ワイルダー兄弟たちは'70年ごろからロンドンで活動を始め、強力なメンバーを集め、「Heatwave」を名乗るように。
そのメンバーは・・・
イギリス人のRod Temperton(ロッド・テンパートン:Key)
マドリッド出身のMario Mantese(マリオ・マンセ:B)
チェコ出身のErnest "Bilbo" Berger(アーネスト"ビルボ"バーガー:D)
そしてこの多国籍6人組に目をつけ、スター・グループにしたのが、プロデューサーのBarry Blue(バリー・ブルー 1950 - )です。
1stアルバム「Too Hot to Handle」(1976)
全米11位、全英46位とヒット。
3rdシングル『Boogie Nights』(1977)
英米のチャートで2位まで上昇する大ヒット!
日本盤を発掘しました。
↑ ジャケ中央に「火糸雨泳舞」の文字💦
売れたんでしょうか?
その後も、6thシングル『Always and Forever』(1977 全米18 位)、8thシングル『The Groove Line』(1978 全米7位)とヒットが続きます。
しかし1978年、ロッド・テンパートンが曲作りに専念するため脱退。

↑ 本日ご紹介のレコの帯裏より
このロッド・テンパートン(1949 - 2016)は、マイケル・ジャクソンのアルバム「Off The Wall」(1979)と「Thriller」(1982)に曲を提供してる人物!
「Off The Wall」/Michael Jackson(1979)
タイトル曲など3曲がR.テンパートン作。
全米3位。800万枚を売り上げた5thアルバム。
「Thriller」/Michael Jackson(1982)
こちらもタイトル曲など3曲がR.テンパートン作。
シングルカットされた7曲全てが全米チャートでトップ10入り。グラミー賞では史上最多となる7部門を制覇した6thアルバム。売上推定7000万枚、ギネスで「史上最も売れたアルバム」と認定されてます。
R.テンパートンは脱退後も1982年までヒートウエイブに曲を書き続けてますが・・・
その後もグループはメンバーチェンジを繰り返し、6thアルバム「The Fire」(1988)の頃にはオリジナル・メンバーはキース・ワイルダーだけに。
「The Fire」はR. Temperton作品ゼロなので、本日ご紹介の5thアルバム「Current」が実質的なラスト・アルバムと言ってもいいかもしれません。
1990年代にオリジナル・ドラマーのアーネスト・バーガーが復帰し米ツアーを行ったり、2001年にシングル『Grooveline』をリリースしたりしてるようです。
さて、本日ご紹介のクルマ・ジャケ・レコは、
「Current(オータム・ハイウェイ)」/Heatwave(1982)
「Current」は「今、現在の」という意味ですが、邦題はなぜか「オータム・ハイウェイ」。「秋の高速道路」?
「Heatwave」は「熱波」・・・今年の暑さもようやく・・・
いや、本日2023/11/3 文化の日、全国300地点以上で「夏日」!
秋風はどこへ・・・
基本、ディスコ・ファンクですが、ポップでメロウ、美しいコーラスもあり、AORとして売ろうとしたんでしょうか?
日本盤は“Cover Illustration and Design:Kenji Uyeda & After Hours Studio”
オリジナルジャケはこちら↓
プロデューサーはバリー・ブルーとジョニー・ワイルダーJr.。
全米 156 位。ロッド・テンパートンが書いたシングル『Lettin' It Loose(風に消えたレディ)』も小ヒットにとどまりました。
R.テンパートンは他に、A3『Look After Love(想い出のホット・ブリーズ)』、B1『The Big Guns(秋風のベルエア)』など5曲を提供。
邦題もAOR的ですね。
『The Big Guns(秋風のベルエア)』にはハービー・ハンコック(P)がゲスト参加してます。
さてさて、ジャケのクルマは・・・
『レイラ』の出だしを思わせる『The Big Guns(秋風のベルエア)』という曲があるので「シボレー・ベルエア」?
ちょっと違いますね。「CHEVROLET Bel Air」はこれまでにも何度か登場してます。
クルマ・ジャケ「Late For The Sky」/Jackson Browne
クルマ・ジャケ「あなたのいない朝(I'll Never Get Enough Of You)」/Air Supply
クルマ・ジャケ「ONE DAY」/KUWATA BAND
ジャケにははっきりと「Dodge」とありましたが、結構時間がかかり、やっと「Dodge Custom Royal Lancer」(1956)を見つけました~。
ジャケに似てるカラーはセダン。
「ダッジ・カスタム・ロイヤル」(1955 - 59)の2ドア&4ドアハードトップ、コンバーチブルは「ダッジ・カスタム・ロイヤル・ランサー」の名称で販売され、1955・56年には「La Femme」というバージョンがあったようです。
「Dodge La Femme」(1955 - 56)
この「La Femme」、1950年代に自動車に関心を持つ女性が増えたことを受けて女性のためにデザインされ・・・
淡いシルバーピンク地にピンクのバラのつぼみをあしらった内装。
また、助手席後部に収納できるキーストーン型のカーフスキンのハンドバッグが付属し、コンパクト、口紅ケース、シガレットケース、シガレットライター、くし、コイン入れなど、フェイクべっ甲プラスチックとゴールドトーンの金属で作られたアクセサリーセットが入ってたとか?!
「Dodge Custom Royal Lancer」の最終(1959年)モデルはこんな表情豊かな顔だったようです。(*^^*)
ところで、この裏ジャケのクルマは・・・?
【登場車両】
Dodge Custom Royal Lancer 1956
【自己採点】
クルマ度 7点(古き良きアメ車!「La Femme」も魅力的)
魅惑度 6点(『秋風のランサー』だったら良かった?)
音楽度 5点(基本、ディスコ・ファンクなので・・・m(__)m)