2011年02月23日
ご無沙汰しております。一昨年6月の社長就任以来、時代の大転換点をいかにしてサバイバルして行くか。すでにグローバルな巨大企業と化した本田技研工業を軌道修正することのタフさは、傍目に見ても偉いこっちゃと、心中お察し申し上げます。
この頃では、年に何度かの記者会見かニューモデルの発表会、あるいは国内外のモーターショーぐらいしかお会いする機会もなくなってしまいました。年明けのNAIAS会場のCOBOセンターでちょっと長めの立ち話の時間をいただいたのが直近のことになってしまいます。
そういえば、2月4日のモータースポーツ活動発表会見の席で、スポーツカーの開発を表明なさったとか。リーマンショックの煽りで凍結されたNSXの後継モデルは、オリジナルのアルミボディ開発を陣頭に立って仕切り、ホンダの歴史に残るモニュメントに仕立てたコーシンさんとしては、その社内活性を可能にする効果も含めて喫緊の課題としたいのでは? 大企業病を克服するには、モノ作りに本業本物志向というぶれない方向性が不可欠のように思われます。
スポーツカー開発には超高性能なフラッグシップ以外にも、身近な普及型小型スポーツの構想もあるとか。そういえば、一昨年末の某誌特集のインタビューの際にも、最後の最後で「軽のBEATってあったじゃない? あれ今見てもいいんだよねぇ!あんなクルマあったら、オレ買うね!!」思い出したように呟かれたことが印象に残っています。
そういえば、国内市場における軽自動車の存在意義は重要で、経営的にも疎かにはできない課題であると、意見を述べられていました。BEATの再現もいいのですが、ここはもう一段ジャンプしてもらって、ホンダS600の再構築にトライして欲しいものです。
オリジナルのS600は、全長3300㎜、全幅1400㎜、全高1200㎜、ホイールベース2000㎜で695㎏。改めて振り返るとビックリですが、現在の軽自動車枠にきっちり(というか余裕を持って)収まります。当時画期的と言われた606㏄直4DOHCエンジンは、グロス表示の57ps/8500rpm、5.2㎏m/5500rpm。これは今日の軽自動車が普通に発揮可能なレベル。
今更ながらですが、現在の軽自動車の必要十分さ加減が分かります。これをそっくりそのまま再現というのは無理としても、660㏄のキャパシティがあれば、そして現在の3.4m、1.48mの枠組みを上手く使えば、面白いことになりそうです。余裕があれば、軽自動車枠に囚われることなく、800㏄から1.3ℓくらいの間で衝突安全にも意を配った登録車の世界に踏み込みたいですね。
当然のことながら、厳しい法規対応が迫られる今日の社会環境下において、適正な価格で市販化するには相当の困難が予想されそうです。しかし、潜在的な需要は我々が思う以上に見込めそうです。
S360に始まり、S500、S600、S800と続いて、自動車メーカーとしてのホンダの礎となったちっちゃなスポーツカーは、約50年の時空を経て、巡りめぐって最先端を行く期待の星となりそうな予感があります。
小さいけれど、精密で他国には真似の出来ない作り込みの深さで迫ってくる。10年20年の風雪に耐えられるような未来に誇れるクルマ。そういうの、やりませんか?
次にお会いできるのはいつか分かりません。来月頭のジュネーブでまた言葉を交わす機会があるかもしれません。それはともかくとして、一度突っ込んだ話をする場を設けることは叶いませんか?世界の欧米亜を回っていると、ホームグラウンドだけが停滞している感じがしてやるせないです。
ホンダはグローバルな視点に立つと業績面ではそんなに悪くはない。でも、今の国内の存在感のなさは、どうにも肩入れのしようがありません。いつでも馳せ参じる用意はあるので、とちぎで談義の場などを是非。まだまだ老け込むわけには参りません。
草々
Posted at 2011/02/23 22:28:43 | |
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