
いろいろ思うところがあって、長々と潜っている状態が続いてしまいました。誰もが感じているように、3.11大震災は時代の変化を浮き彫りにし、具体的な対応を各自に迫るという事態をもたらしました。
それでも地球は回っていて、海外に出れば日本人が直面している問題は他国の人々にはほとんど関係なく、それが日常的な話題として語られることもない。日本国内での煮詰まり感を、上海ではまったく意識することもなかった。情報発信力のなさは今に始まったことではありませんが、あらためて乏しい語学力のままでは未来はない。我が身の至らなさを痛感しました。あきらめるのはまだ早いので、少しでも言葉の壁をなくして前進しようと思っています。
しかし、今回で3回連続となる上海国際オートショーは、その盛況ぶりとはも裏腹に内容的に深みを欠いた、漠然としたものに感じられました。出展メーカー数は世界最大級だし、詰めかけたプレスの数も半端じゃない。ワールドプレミアもそれなりにあって、成長市場であることは間違いない。
でも、周辺の景観の激変ぶりとは対照的に上海国際展覧中心の雰囲気はむしろ奇妙な落ち着きに満ちていた。賑わいはたしかに世界でも稀なほどですが、日中欧米亜各国各メーカーの取り組みは、最大の成長市場で21世紀のモビリティを問うといったビジョンのあるものではなくて、単に覇を競うだけのビジネスの場になっている。クルマの未来を語るというよりも、鉄火場に前のめりになっているような印象が強まった。市場や顧客の熱気にどう答えたらいいのか分からなくなっている、そんな感じもする。
理想主義に燃えた提案があるわけでも、現実を真正面から直視した新興国のモータリゼーションに応える具体例が提示されたわけでもない。要するにサバイバルのための金儲け?なんかすっきりしなかったわけである。
呆然とだだっ広いコンベンションセンターを彷徨っていると、足が棒になったわりに実りは限られた。そんな中で、小ネタをひとつ。トヨタは今回とくに目新しい出展はなかったが、豊田章男社長が足を運び中国市場の重要性をアピールすることは忘れなかった。そのトヨタブースの右最奥にジュネーブで見たFT86ⅡコンセプトがAE86と一緒に並んで展示されていた。基本的にはジュネーブのままだが、たまたま顔を合わせた多田哲也CEは「タイヤをチェックするよーに。スクープですよ」
何のことやら…と見に行くと、サイドウォールにPOTENZA RE86のロゴが。1980年代前半、ブリヂストン初のスポーツラジアルRE47に次ぐブランド名を発見して、なるほどね。FT86の開発陣は、たとえばエンジンのディスプレースメントにも同じような洒落を入れ込んでいるが、86という数字にとことんこだわろうとしているように見える。今年末に予定される正式発表までに様々なティザーを考えているという話も風の便りに聞いている。09年のTMSでデビューしたFT86コンセプトにはもう一つ乗れなかったが、FT86Ⅱコンセプトになって何か面白そうなことをやっている気配が漂ってきた。
今回
展示ブース下のモニターに映し出された動画を見て、僕の妄想はさらに加速したわけですが、これを見てあなたは何を思うだろう? ヴァーチャルとリアルを行き来するツールとしてのクルマ。そんな新しいスポーツカーの提案がなされたら面白いだろうなあ。ポリフォニー・ディジタルのグランツーリスモⅤで迫真のドリフト走行を見せるその姿を見て、むむむっとなった。FT86のフルスペック情報はすでにポリフォニーに渡っていたりしてね。
Posted at 2011/04/28 23:49:22 | |
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