2012年02月15日
成田(NRT)を2月15日の午後に飛び立って、ロサンゼルス(LAX)には同じ日の朝8時過ぎに着く。
もう一回やり直し・・・人生はなかなか逆もどりできないことになっているけれど、この半日もう一遍ヤッテヨシ感は、何度やっても楽しいな〜。人生をずっと東回りの旅に明け暮れたくなる欲望に駆られるのは俺だけか?
少し前に旅を続ける理由を書きました。旅している時の高揚感と緊張感が一体になった、自分を客観的に感じ取れる瞬間がたまらなく好きです。普段はなかなか自分を客観視することはない。日常は馴れ合いの中の記憶と現実がない交ぜになったまさにいつもの一日で、考えているようで実はあまり考えてはいない。
考えることは案外楽しいことで裏を返せば、スケジュールが決まっていて予測が可能な日常は面白くはない。次から次へと予期せぬ出来事が出現する非日常の一人旅は、効率的ではないけれど己を知るという点で何物にも変え難い。
虚栄心を満たすという意味ではゴージャスなプレスツアーも時には良いが、自分で動く充実感を知ってしまったら、元には戻れない。飼い犬の幸せと野良犬の危険と背中合わせの奔放。前者は十分味わったので、後者で己の本性や素の実力を把握して見たい。その上で成功が掴めたらそれ以上の幸せはない。
現実は程遠く、年甲斐のなさばかりが募るが、まだまだやるというモチベーションにはなる。
早朝LAX(ロサンジェルス国際空港)につき、初めて使うparking spotで試乗車をピックアップ。たったこれだけでも程良い緊張感があじわえる。空港を降り立ったらバスに押し込まれるか、恭しく試乗車が用意されている。楽チンだけど、大事な経験を失っている。そのことに気づくかどうかだ。
旅をしながら、目下話題のトヨタ86とスバルBRZについて考えることにした。
生産が富士重工スバルの群馬製作所であり、開発の主体も当然スバルとなることから、スバルのトヨタ向けOEM(相手先ブランド向生産)と看做す論調が目立つが、このクルマの本質はそこにはない。
トヨタが、若者のクルマ離れに危機感を抱き、その解決にはクルマ好きの"王道"たるスポーツカーから逃げていてはどうしようもない。そこで立ち上がったのがこの企画のオリジンだ。そしてその現実解として行きついたのが、スバルの水平方向4気筒2ℓエンジンを搭載するFRスポーツカーで、生産拠点も必然的に群馬になった。
この場合、企画とデザインがクルマ作りの主体であり、製造者は実行部隊として機能したにすぎない。そう言ってしまってはスバルの立つ瀬はないが、共同開発の形を取り、スバルブランドのBRZを容認したところにトヨタの意識改革とこれからのクルマ作りにたいする深謀遠慮を見る必要がある。
簡単に言ってしまうと、トヨバル86BRZFR-S(北米はTOYOTAではなくSCIONサイオン)は、Appleスタイルの自動車版だ。企画デザイン機能の提案が商品の魅力のすべてであり、どの部品を使い、何処で作るかは、どれが最適かという企画部門の判断に委ねられている。注目すべきはここだろう。
技術の進歩がグローバル化した現在、世界中の自動車メーカー間で決定的な技術差はなくなりつつある。自前に拘るよりも、まず作りたいクルマは何か、マーケットが求めるクルマを考え、その最善解を得る道筋を具体的に追求する。
"脱自前主義"は自動車会社がサバイバルするためには避けて通れない道なのだ、という86開発のキーマン多田CEの説明は刺激的であり、衝撃的でもある。
スポーツカーのすべては、開発の最後の10%走りの味付けに尽きる。そう断言もした。アーキテクチャーがすべて同じなのに、最後のところで互いに譲れないところが出て、セッティングに違いができた。非効率ではあるけれど、それこそがスポーツカーであり、個性の源泉。
そうゆう視点で、スポーツカーを考え育てよう。トヨバル86BRZFR-Sは、オールジャパンで日本のスポーツカーを作ろうよ!!というメッセージだと捉えて欲しい。
ニューヨーク-マンハッタンで、思いのままを書いてみました。
Posted at 2012/02/16 15:50:04 | |
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